2008.11.25 (火)健康つくりのススメその他
足の痛くない腰椎椎間板ヘルニア
おじいちゃんのヘルニア騒動は一段落し、今日もおじいちゃんは畑仕事に精を出しています。
でも、芳子さんがいつもと違う様子です。
お昼をとりに畑から帰ってきたおじいちゃんは、芳子さんに気がつきました。
おじいちゃん「あれ?芳子さん、どうしたんじゃ、ずいぶん腰が痛そうじゃが?」
芳子さん「そうなんですよ。おとといぐらいから少しずつ腰が痛くなって。このところ痛くて眠れないこともあるんです。思い当たることはないんですが、衣替えの行李(こうり)を持ったせいかしら?」
おじいちゃん「そりゃたいへんじゃ!すぐにお医者さんに行っておいで。」
「いやいや、この前ワシの腰が痛くなったとき鍼の先生に世話になった。あの先生はたいしたお方じゃ。まず鍼の先生にかかりなさい。」
「そうじゃ、そうじゃ、そうしなさい。」
芳子さんはおじいちゃんの薦めどおり、近所の鍼灸院を訪れました。芳子さんは鍼をするのは初めてで、なんだか心配です。
順番を待って芳子さんの診察がきました。
受付の女性に呼ばれて中へ入っていくと、優しそうな先生がデスクのイスに座っていました。
芳子さんは一通り病状をお話ししました。先生は芳子さんを診察ベッドへ誘導して、芳子さんの姿勢を観察したり、関節をできる範囲で曲げさせたり、ハンマーで足をたたいたり、ハケでなぞったりして診察をしていました。
再びデスクにもどると先生は「あなたの腰痛は腰椎椎間板ヘルニアの可能性があるので紹介状を書きますから、隣町の総合病院へ行ってMRIなどの検査を受けてきてもらえませんか?」「今日はとりあえず痛みが軽減するように鍼治療をします。」「しかしヘルニアがあれば今後の鍼治療のやり方も変えないといけないので、お手数ですがお願いします。」
芳子さんはびっくりです。芳子さんは足に神経痛をおこさなかったおじいちゃんの件でてっきりヘルニアは足に神経痛を起こすもんだと思っていましたから。ご近所のご主人のヘルニアも足に神経痛がきて痛くてしようがないって言ってたんですから。
その日の鍼治療は一つも痛くなく、気分がよくなり体も軽くなって帰ってきました。このまま治るんじゃないかと思ってみたりしましたが、一応鍼の先生もそう言ってるから、明日総合病院へ行こうと決心しました。
数日後の鍼灸治療院で。
芳子さんの病院での診察結果を書いた「診療情報」を見ながら鍼の先生は、
「やっぱり、ヘルニアがありましたね。多くの腰椎椎間板ヘルニアは足の神経痛、つまり坐骨神経痛を起こしますが、まれに腰痛だけの人がいるんですよ。」
「今後このまま放っておくと坐骨神経痛が出てくる可能性があるんです。」
芳子さん「先生、鍼で治りますか?」
先生「ええ、一生懸命治療して治るようにがんばりましょう。生活上の注意もありますから、芳子さんも努力してくださいね。」
芳子「はい。がんばります!」
その後芳子さんの腰痛は楽になり、いつものように家事をこなしていますが、たまに鍼灸院を訪れ先生といろんなお話をしながら体の疲れや不調を治してもらっています。
鍼をすると体が軽くなり、元気になります。
このままおばあちゃんになってもずっと鍼灸治療を続けていこうと思う芳子さんでした。
【解説】
坐骨神経痛はヘルニアの特徴といわれていますが、腰痛のみで足の神経痛を訴えない腰椎椎間板ヘルニアの患者さんがいます。
ヘルニアによる坐骨神経痛は、その圧迫よりは神経の炎症が強い場合に起こりやすいと言われています。
腰椎椎間板ヘルニアの91%に下肢痛(坐骨神経痛)が見られ、腰痛のみの症例は9%という報告があります。
坐骨神経痛を起こした椎間板ヘルニアの患者さんの症状の経過を調べました。90%以上の患者さんが一回以上の先行する腰痛を経験していたそうです。
その腰痛は平均3.5週先行したとのことで、坐骨神経痛を起こしてヘルニアかも?となる前に腰痛があるということです。
また、椎間板が脱出したものには坐骨神経痛が多く、膨隆しているだけの場合に腰痛が多いとの報告もあります。
いずれにしろ、養生をうまくやらないと腰痛が坐骨神経痛に変わる可能性があります。
参考文献:『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン』南江堂
でも、芳子さんがいつもと違う様子です。
お昼をとりに畑から帰ってきたおじいちゃんは、芳子さんに気がつきました。
おじいちゃん「あれ?芳子さん、どうしたんじゃ、ずいぶん腰が痛そうじゃが?」
芳子さん「そうなんですよ。おとといぐらいから少しずつ腰が痛くなって。このところ痛くて眠れないこともあるんです。思い当たることはないんですが、衣替えの行李(こうり)を持ったせいかしら?」
おじいちゃん「そりゃたいへんじゃ!すぐにお医者さんに行っておいで。」
「いやいや、この前ワシの腰が痛くなったとき鍼の先生に世話になった。あの先生はたいしたお方じゃ。まず鍼の先生にかかりなさい。」
「そうじゃ、そうじゃ、そうしなさい。」
芳子さんはおじいちゃんの薦めどおり、近所の鍼灸院を訪れました。芳子さんは鍼をするのは初めてで、なんだか心配です。
順番を待って芳子さんの診察がきました。
受付の女性に呼ばれて中へ入っていくと、優しそうな先生がデスクのイスに座っていました。
芳子さんは一通り病状をお話ししました。先生は芳子さんを診察ベッドへ誘導して、芳子さんの姿勢を観察したり、関節をできる範囲で曲げさせたり、ハンマーで足をたたいたり、ハケでなぞったりして診察をしていました。
再びデスクにもどると先生は「あなたの腰痛は腰椎椎間板ヘルニアの可能性があるので紹介状を書きますから、隣町の総合病院へ行ってMRIなどの検査を受けてきてもらえませんか?」「今日はとりあえず痛みが軽減するように鍼治療をします。」「しかしヘルニアがあれば今後の鍼治療のやり方も変えないといけないので、お手数ですがお願いします。」
芳子さんはびっくりです。芳子さんは足に神経痛をおこさなかったおじいちゃんの件でてっきりヘルニアは足に神経痛を起こすもんだと思っていましたから。ご近所のご主人のヘルニアも足に神経痛がきて痛くてしようがないって言ってたんですから。
その日の鍼治療は一つも痛くなく、気分がよくなり体も軽くなって帰ってきました。このまま治るんじゃないかと思ってみたりしましたが、一応鍼の先生もそう言ってるから、明日総合病院へ行こうと決心しました。
数日後の鍼灸治療院で。
芳子さんの病院での診察結果を書いた「診療情報」を見ながら鍼の先生は、
「やっぱり、ヘルニアがありましたね。多くの腰椎椎間板ヘルニアは足の神経痛、つまり坐骨神経痛を起こしますが、まれに腰痛だけの人がいるんですよ。」
「今後このまま放っておくと坐骨神経痛が出てくる可能性があるんです。」
芳子さん「先生、鍼で治りますか?」
先生「ええ、一生懸命治療して治るようにがんばりましょう。生活上の注意もありますから、芳子さんも努力してくださいね。」
芳子「はい。がんばります!」
その後芳子さんの腰痛は楽になり、いつものように家事をこなしていますが、たまに鍼灸院を訪れ先生といろんなお話をしながら体の疲れや不調を治してもらっています。
鍼をすると体が軽くなり、元気になります。
このままおばあちゃんになってもずっと鍼灸治療を続けていこうと思う芳子さんでした。
【解説】
坐骨神経痛はヘルニアの特徴といわれていますが、腰痛のみで足の神経痛を訴えない腰椎椎間板ヘルニアの患者さんがいます。
ヘルニアによる坐骨神経痛は、その圧迫よりは神経の炎症が強い場合に起こりやすいと言われています。
腰椎椎間板ヘルニアの91%に下肢痛(坐骨神経痛)が見られ、腰痛のみの症例は9%という報告があります。
坐骨神経痛を起こした椎間板ヘルニアの患者さんの症状の経過を調べました。90%以上の患者さんが一回以上の先行する腰痛を経験していたそうです。
その腰痛は平均3.5週先行したとのことで、坐骨神経痛を起こしてヘルニアかも?となる前に腰痛があるということです。
また、椎間板が脱出したものには坐骨神経痛が多く、膨隆しているだけの場合に腰痛が多いとの報告もあります。
いずれにしろ、養生をうまくやらないと腰痛が坐骨神経痛に変わる可能性があります。
参考文献:『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン』南江堂