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平成21年度第5回生涯研修会の報告
学術部長 泉木礼子


下記のとおり第5回生涯研修会を実施しました。

肩こりに対して坐位にて操体法、運動法、ストレッチを取り入れた実技を2人1組で実習し、腕の角度や頭の位置によって作用する筋が異なることが体験できました。

また鍼施術では奇経治療、子午調整、5色のカラー板でOリングテストなど長年の経験を元に自在に治療を組み立てていかれる様子に引き込まれ研修時間が足りないくらい充実した研修会となりました。



開催日時:
12月6日(日)13:00〜15:30

会場:
クレメントプラザ5階
クレメントサロン

講師:
元盲学校教諭
大上 武(おおうえ たけし)先生

テーマ:
「肩こりを中心とした手技と鍼治療」

参加者数:
37名(会員36名、会員外1名)



◆坐位による手技

1. 把握による固定運動法・・・術者は受者の後ろに立つ。

術者は肩上部(僧帽筋)を左右同時に把握し固定した状態で受者に以下の動作を促す。

・ 受者は頚をゆっくりと大きく右へ3回、続いて左へ3回まわす。
・ 次に両腕同時に前から後ろに大きく3回まわした後、後ろから前へ同様に行う。


2.胸筋伸展法・・・術者は受者の後ろに立つ。

術者は施術側と反対側の拇指で受者の肩外兪、天?(てんりょう)あたりを押さえておく。

・ 受者は肘を水平に挙げ90度屈曲位をとる。術者は受者の肘を水平に後ろに引く。この時肩背部を押さえた手で身体が後ろに動くのを制御する。
・ 腕をもう少し挙げた位置で同様に後方に引く。
・ 腕を垂直に挙げた状態で行う。


3.肩関節揺動法・・・術者は操作側と反対の側面に受者に向かって立つ。

・ 術者は背面側の手を肩甲間に当て、受者には肘を曲げ手の甲を側頚部に当ててもらい、術者は受者の前面から手を回して肘を包むように把握する。
・ 肘を手前に揺すると同時に肩甲骨内縁を押す。リズミカルに肘を引き揺すりながら肩から背中の緊張した部分を押すように位置を移動させる。


4.首部緊張緩和法・・・術者は側面に受者に向かって立つ。

・ 顎と大後頭隆起を保持し頭の角度を調節しながらやさしくリズミカルに揺する。
    頭の角度を変えると頸椎に作用する部位を調整できる。


5.首部伸展揺動法・・・術者は側面に受者に向かって立つ。

・ 顎の下と後頭部で頭を支えて引き上げた状態で前後にゆっくり動かし、そっと元にもどす。


6.呼吸首部緩和法・・・術者は受者の後ろに立つ。

  ・ 百会に両拇指を当てた状態からゆっくり息を吐きながら顎を前に突き出させ、息を吸いながら元にもどり一気に息を吐くと共に百会に当てた手を瞬時に離す。


7.胸部柔軟操作・・・術者は受者の後ろに立つ。
  ・ 受者は後頭部で指を組み合わせておく。術者は腋から前に出した手を受者が腕を曲げて出来た肘の空間を前からくぐらせ受者が組んだ手の上に重ねる。
・ 受者の背に術者の胸を当て身体を引き上げつつ反らせて受者の胸を反らせていく。


8.胸部緩和法・・・術者は受者の後ろに立つ。
・ 受者は後頭部で指を組み合わせておく。術者は後ろから両肘を把握しておき受者が両肘を前方で合わせようとする動きに抵抗を加えた状態で保持し両者一気に脱力する。


9.上肢回内抵抗法・・・術者は受者の横に立つ。

 ・ 受者が上肢を回内位から回外するのに対し術者は抵抗を加えた状態で数秒保持した後、両者一気に脱力する。



◆ 肩こりの鍼施術

施術の方法は現代医学に基づく方法や陰陽虚実の理論に基づく東洋医学的視点から行うものがある。

奇経治療、子午調整、円皮鍼様のMP鍼、Oリングテストなどの原理の説明の後、モデル(55才男性)に実際の治療を行った。

主訴:
左側頚部(大腸経)から肩上部にかけてつっぱり感と凝り感
右膝の屈伸時に痛みがある

治療:
仰臥位で診察し腹診、0リング、奇経理論などにより診断(黄色でリングの力が弱かった)
・内関に金の20番鍼を5分間当てる間、公孫に銀の1番鍼を置鍼(抜鍼後のOリングテストでは力がUPしていた)
・膝蓋骨の内側や下部に1番鍼を4カ所、数ミリ刺入し膝の屈伸運動を行うと痛みは軽減していた。
・ 坐位で天柱、百労、肩井、肩中兪に2〜3ミリ程度置鍼し頭頚部、肩を可動域いっぱいにゆっくり運動後、抜鍼するとつっぱり感は軽減したが側頚部にまだ違和感がのこっていた。
・ 最後に上記手技の4.首部緊張緩和法をして再度動かすと違和感もなくなった。



鍼治療はいろいろな方法があるが今回は簡便で治療効果が期待できる方法を紹介した。局所の治療だけでなく全体を整える治療を心がけると治療効果はさらに大きいものとなる。



 

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