適正な医療保険の取扱いについて

 ●公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会からのお知らせです●


ご存知ですか?健康保険で鍼灸マッサージ治療




 鍼灸やマッサージの治療は、多くのみなさまにご利用され、高い評価をいただいておりますが、その各種保険取り扱いの普及は十分とはいえません。どんな場合に、どのようにすれば健康保険での鍼灸マッサージ治療を受けられるのかについて紹介します。詳細については、受診を希望する鍼灸院、マッサージ院にお問い合わせください。


【健康保険(社会保険・共済保険・国民健康保険・後期高齢者医療保険)による鍼灸マッサージ】

A.鍼灸治療


 医師の治療を受けていて、思うように効果があがらないような場合に、健康保険を使って鍼灸治療を受けることができます。健康保険で鍼灸治療を受けられる疾患は、神経痛(座骨神経痛など)、リウマチ(関節がはれたりいたんだりするもの)、頚肩腕症候群(頚から肩・腕がしびれたり痛んだりするもの)、五十肩(肩の関節が痛くて腕があがらないもの)、腰痛症(慢性の腰痛)頚部捻挫後遺症(むちうち症)などです。
 健康保険で鍼灸治療を受ける場合、同じ疾患に対する鍼灸治療と医師の診療を同時に受けることはできません。例えば、腰痛症のときに鍼灸治療を受けながら、病院で牽引療法や鎮痛剤の処方を受けることはできませんから、一旦医師の診療は中止していただきます。また、上記の疾患の中で、一つしか保険での治療は受けられないことになっています。

B.マッサージ治療・徒手矯正術


 医師の治療を受けていて、思うように効果があがらないような場合や、医師の治療と同時に行なってより高い治療効果を期待できるような場合に、健康保険を使ってマッサージ治療や徒手矯正術を受けることができます。健康保険でマッサージ治療を受けられる疾患は、麻痺症状と関節の運動障害です。例えば、脳出血などの半身不随や半身麻痺、顔面神経麻痺、手術後の関節拘縮による運動障害などです。また、健康保険で徒手矯正術を受けられる疾患は、主に四肢の変形・拘縮を矯正する必要があるような場合で、骨折後遺症や、変形性関節症などの慢性の関節疾患による拘縮などです。
 健康保険でマッサージ治療や徒手矯正術を受ける場合、医師の同意書または診断書が必要ですが、鍼灸と違うところは医師の診療と同時に治療できることで、むしろ定期的に医師の診察を受けるべきでしょう。

C.自力・他力での通院が不可能な場合の往診治療


 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)による半身不随などで、自力での通院はもちろんのこと、介助者の支援があっても外出できず、自宅で療養されている患者さんが、鍼灸やマッサージの治療を希望される場合、往診での鍼灸・マッサージ治療を受けることができます。その場合も、医師による同意書が必要です。

D.治療を受ける手順


 まず、鍼灸院・マッサージ院に、健康保険で治療を受けたい旨を申し出てください。鍼灸院・マッサージ院で、同意書または診断書の用紙をお渡しします。 その用紙を、日ごろ治療を受けている病院・医院に持参して、必要事項を記入していただいてください。 記入済みの同意書または診断書、保険証と印鑑を鍼灸院・マッサージ院に持参していただければ、治療を開始できます。その後の手続きは、鍼灸院・マッサージ院で行います。


【その他の保険治療】


 以下に示す保険で、鍼灸やマッサージの治療を希望される場合、治療を受けたい鍼灸院、マッサージ院に、お気軽にお問い合わせください。

1.自賠責保険による鍼灸マッサージ(交通災害共済を含む) = 交通事故によるむち打ち症等の後遺症がなかなか治らない場合等に、
  患者さんが希望し、保険会社が認めれば、鍼灸やマッサージ治療を受けることができます。

2.労災保険による鍼灸マッサージ = 勤務中の障害や事故、通勤時の事故が原因で発病した疾患のうちで、鍼灸マッサージ治療で
  治る可能性がある場合、労災保険で治療を受けることができます。

3.生活保護世帯の医療扶助としての鍼灸マッサージ = 生活保護世帯のみなさまが、医療扶助で鍼灸やマッサージの治療を希望する
  場合が対象です。鍼灸やマッサージの適応疾患等は、健康保険に準じます。

4.高齢者や身障者に対する鍼灸マッサージ施術費助成制度 = 高齢者や身障者に対し、茨城県内の多くの市町村では、鍼灸マッサージの
  施術費助成制度を設けています。市町村によって異なりますが、一定の回数、施術費のうちの一部を、市町村が負担してくれます。


■鍼灸マッサージ施術費助成事業実施状況      茨城県鍼灸マッサージ師会 平成22年5月調べ

取り扱い市町村名  対象者          1回の助成金額  1年の回数

○大洗町       高齢者(70歳以上)   1000円     3回
          障害者
          母子及び父子世帯の父母
          低所得者で助成を必要と認めた者

○古河市       高齢者(70歳以上)   1000円     2回
          障害者(1級・2級)

○下妻市       高齢者(70歳以上)   1200円    10回
          65歳以上の障害者(1級・2級)

○常総市       高齢者(70歳以上)   3200円     2回

○筑西市       高齢者(70歳以上)   1000円     2回
          障害者

○つくば市      高齢者(70歳以上)   1000円     8回

○つくばみらい市   高齢者(65歳以上)   1000円     4回
          障害者

○土浦市       高齢者(70歳以上)   1400円     6回
          65歳以上の障害者
          65歳以上の障害者を介護する者

○東海村       高齢者(70歳以上)   1000円    12回
          障害者(1級・2級)

○取手市       高齢者(70歳以上)   2000円    12回
          65歳以上の障害者
          障害者(1級・2級)

○日立市       高齢者(65歳以上)   1000円     10回
          障害者(1級・2級)

○常陸太田市     高齢者(75歳以上)   1000円     4回
          65歳以上の障害者(1級・2級)

○常陸大宮市     高齢者(70歳以上)   1000円    10回
          60歳以上の障害者
          障害者(1級・2級)
          その他助成を必要と見とめた者

○ひたちなか市    高齢者(65歳以上)   1000円    15回
          障害者

○水戸市       高齢者(70歳以上)   1000円     5回
          障害者(1級・2級)

○守谷市       高齢者(65歳以上)   1000円    12回
          障害者



 鍼灸やマッサージの治療を長期間ご利用されている方は、その優れた効果について肌身で感じていただいている事と思います。今後、厚生労働省が目指している「予防的医療手段」として重要な役割を果たす事と思われます。その為にも、この業務に携わる私達は、これからも一層知識と技術と人格を磨き、みなさま方の期待に応えられるよう努力してまいります。(保険部)




また、茨城県鍼灸マッサージ師会では適正な保険申請のため、月一回保険審査会を実施しています。

【次回保険審査会開催予定日】

4月7日(金)予定
5月8日(月)予定