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◆あんま・マッサージ・指圧って?


一般的に「マッサージ」と言われていますが、その中身を分類すると「あん摩」、 「マッサージ」、「指圧」と言う3つの手技療法に分けることができます。
 あん摩や指圧では、「経穴(けいけつ:ツボ)」や「経絡(けいらく:ツボとツボ を系統的に結ぶ流れ)」を意識して、着衣の上から施術を行うのに対して、マッサー ジは「血管やリンパ」、「筋肉」、「神経」などの走行に従って、オイルやタルクな どの滑剤を用いて直接素肌に施術を行うのが一般的です。
 また、あん摩や指圧は、体の上から下へ、中心から手足先へ(遠心性)施術をする のに対し、マッサージでは、手足先から心臓に向かって(球心性)施術をするのが標 準的です。
 その他にも、「あん摩」は奈良時代に中国から日本に伝わり発展したものであるの に対して、「マッサージ」は明治時代以降にヨーロッパから伝わったもの、また「指 圧」は大正時代に古法あん摩などにアメリカの整体療術の理論と手法を取り入れ日本 独自に体系化されたもの(英語でも「SHIATSU」という)と言ったような違いもあり ます。
 あん摩・マッサージ・指圧は、単なる”癒し”として行われるものではありません。  医師の同意に基づいた保険取り扱いが認められているように、医療現場でもその効 果が認められた治療法の一つなのです。
 従って、あん摩・マッサージ・指圧を仕事として行うためには、国家資格が必要と なっており、養成学校や施設などに3年間(大学は4年間)通い、卒業後に厚生労働 省の国家試験に合格しないと資格を得ることはできません。

◆あんま・マッサージ・指圧の効果


あん摩・マッサージ・指圧などの手技療法は、いずれも「揉む」「さする」「押す」 「こねる」「たたく」「ふるわす」などの6つの手技により、人体に対し刺激を与え、 健康へと導こうとするものですが、その作用・効果をまとめると以下のようになりま す。
○興奮作用
 病的に機能の減退している神経や筋肉、組織に対してマッサージなどを行うことに より、興奮性を高め、機能の回復を図ります。 → (運動神経麻痺や知覚減退など)
○鎮静作用
 病的に機能の昂進している神経や筋肉、組織に対してマッサージなどを行うことに より興奮性を減退させ鎮静を図ります。 → (神経痛や痙攣(けいれん)、知覚過敏 など)
○反射作用
 病巣から離れた場所にマッサージなどを行い、生体の反射機能を利用して、神経や 筋肉、内臓などの機能の調整を図ります。 → (胃腸の不調に対して背腰部への施術、 便秘に対する腰や下肢への施術など)
○誘導作用
 炎症や外傷などがあり直接患部への施術ができない場合に、その遠心部あるいは 求心部にマッサージなどを行うことにより、血液やリンパの流れを促進して患部の状態 を改善します。 → (足関節の捻挫に対する下腿部への施術、頭ののぼせに対する頸 肩部への施術など)
○矯正作用
 関節の拘縮などで、正常な関節の運動範囲が制限された場合に、マッサージなどの 施術を行うことで、滲出物の吸収を促進させ、関節周囲の筋、腱、靱帯などの癒着を 剥離し、正常な関節の機能に近づけます。 → (捻挫や脱臼、骨折後の関節拘縮など)

◆あんま・マッサージ・指圧の適応症


あん摩・マッサージ・指圧は、健康管理や疲労回復を目的として広く親しまれてい ます。
 一般的には、下記のような疾患が、指圧・あん摩・マッサージの適応症とされてい ますが、適応症だからといって、その病気そのものを治療すると言うよりは、その病 気が表す症状の緩解に対して一定の効果が認められているというご理解でお願いいた します。
【神経系疾患】
 神経痛、麻痺(まひ)、痙攣(けいれん)、脳卒中後遺症、ノイローゼ、不眠症な ど
【運動器系疾患】
 慢性関節リウマチ、筋肉痛、筋萎縮、筋力減退、軽症の筋炎・腱炎、関節の拘縮、 癒着の剥離、関節の変形、骨折・脱臼・捻挫(ねんざ)の後遺症など
【循環器系疾患】
 心臓神経症、局所性の充血・鬱血・貧血、浮腫など
【呼吸器系疾患】
 気管支喘息(ぜんそく)、慢性気管支炎など
【消化器系疾患】
 胃下垂、慢性胃炎、常習性便秘など
【生殖、泌尿器系疾患】
 膀胱炎など
【新陳代謝系疾患】
 痛風、脚気(かっけ)など
【その他】
 疲労回復、いわゆる不定愁訴症候群、眼精疲労、病後の体力回復など
※1 上記の疾患であっても、発熱のある場合や伝染病(感染症)、がん(悪性腫瘍)、 急性の炎症、外傷などがある場合には、あん摩マッサージ指圧の禁忌症となります。
※2 また、動脈硬化症や妊娠中の方、皮膚に創傷や発疹のある場合、脳卒中の初期の 方なども、施術を受ける前に、状態をしっかりと伝え、施術者とご相談いただきます ようよろしくお願いいたします。
※3 診断名に関りなく筋麻痺(まひ)や関節拘縮(こうしゅく)に対しては、医師の 同意に基づく健康保険によるマッサージなどが可能です。