2017.04.01 (土)会員の皆様月刊東洋療法

    月刊東洋療法 276号

    月刊東洋療法 276号
    月刊東洋療法276号(4月1日号)
    公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会


    目次
    *****
    1 あはき療養費
    「受領委任制度」導入か!?
    2 第6回理事会報告
    3 第10回地域健康つくり指導者研修会報告
    4 平成29年度スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会のご案内
    5 役員選任に関する告示
    6 平成29年度 定時総会開催のお知らせ
    7 平成29年度行事カレンダー(予定)
    8 保険局便り 「疑義解釈資料」第4弾発出(厚生労働省)
    9 医者いらず健康長寿処方箋(39) 『授乳とオキシトシン戦争』
    10 インフォメーション 研修会・イベント開催予定
    11 Dr.タコの外来小咄(84)
    12 認知症ミニ講座(21) ニュース
    13 編集後記
    *****
    以下本文

    1 あはき療養費「受領委任制度」導入か!?

    【写真:厚生労働省】

    平成29年3月21日、厚生労働省医療保険部会・あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費(以下「あはき療養費」)検討専門委員会において「あはき療養費の見直しについて」のこれまでの主な意見をまとめた資料が示された。
    あはき療養費が年々増加している中、不正請求もまた増加しているが、柔道整復療養費のように地方厚生(支)局及び都道府県(以下「地方厚生(支)局等」という。)が関与した受領委任協定・契約ではないので、施術者を登録・管理する仕組みがなく、地方厚生(支)局等による指導監督もおこなわれていない。資料によると、このような現状を踏まえ、次のような不正対策に取り組むべきとしている。(1)患者本人による請求内容の確認(2)医師の同意・再同意のあり方(3)長期・頻回の施術の必要性(4)往療のあり方(5)療養費の審査体制。
    また、指導監督権限の強化策として、受領委任制度の導入による指導監督権限の強化と、地方厚生(支)局等による指導監督等を挙げ、特に、受領委任制度については、これを認めても弊害の生じる危険性が乏しく、下記の理由から、あはき療養費に受領委任制度を導入する必要性・相当性があると考えられる、と結論づけている。
    (1)あはき療養費が1000億円を超える規模となり、代理受領が95%以上となっているにもかかわらず、現在、ルールや指導監督の仕組みがないが、これを受領委任協定・契約とすることにより、ルールが明文化される。
    (2)代理受領では、施術者や請求代行業者が代理請求・受領をおこなっているが、 受領委任制度では請求の責任が施術者にあると明確に定められる。
    (3)不正請求に関して、地方厚生(支)局等による指導監督がおこなわれる。
    (4)不正請求に関して、地方厚生(支)局等による不正請求の認定に基づく受領委任の取扱い中止がおこなわれるとともに、当該認定を根拠とした、不正をおこなったあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の国家資格についての行政処分がおこなわれることになる。
    (5)代理受領から受領委任制度となっても、大半の患者が一部負担で受療するということは変わらず、負担の変化によって給付費が大きく増えるということはない。
    (6)代理受領から受領委任制度となっても、請求者は、施術者や請求代行業者が施術者になるものであり、患者本人以外であることは変わらず、このことによって不正が増えるということはない。
    また、受領委任制度の導入とともに施術所や施術管理者を登録する仕組みと、登録の更新制を検討すべきとしている。
    ただし、いかなる支給方法とするかについては保険者の合理的な裁量に委ねられているとともに、受領委任制度は保険者が地方厚生(支)局等に委任することが端緒とされており、受領委任制度に参加するかどうかについては、保険者の裁量によるとしている。
    これについて施術者団体側の意見では、より効果的・効率的な指導監督の実施をおこなうため、また取扱いが異なることによる患者の受療機会の不公平性を解消する観点から、一律の取扱いとすべきであると考えている。
    今後、厚生労働省は、この委員会での意見を踏まえ、具体的な制度設計について平成29年度中におこない、平成30年度中に受領委任制度と不正対策をあわせて実施できるよう準備を進める。

    2 第6回理事会報告

    【写真:理事会のようす】

    3月14日12時30分より、東京「BIZ新宿」において平成28年度第6回理事会が開催され、平成28年度の各事業と決算見通しが報告された。その後、平成29年度の事業計画案、予算案、「第16回東洋療法推進大会in京都」の開催案等について、慎重審議の結果すべて承認可決された。

    3 第10回 地域健康つくり指導者研修会報告

    【写真:会場のようす、谷内講師】

    3月4日(土)、5日(日)と東京の新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校にて、「総合事業で鍼灸マッサージ師は何ができるか?」をテーマに第10回地域健康つくり指導者研修会が開催された。
    1日目にはまず、帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科非常勤講師の朝日山 一男(あさひやまかずお)氏による運動指導の基礎知識、ゼンシン体操、経絡ストレッチの実技を含む講義がおこなわれた。その後、「介護予防・日常生活支援総合事業とは」と題して、厚生労働省老健局振興課課長補佐の谷内 一夫(たにうちかずお)氏を講師にお招きし、ご講演いただいた。講演では、「4月から本格的にスタートする総合事業によって、国から地域への一元的な制度から、それぞれの地域のニーズに合ったものを地域で構築し国にあげていくといったフレキシブルなものに変化していく。地域に根差している鍼灸マッサージ師は、地域の高齢者は何を求めているのか、また何が必要なのか、それらを把握している存在である。ぜひ積極的に行政や他職種、地域住民等と連携をとり、新しい制度、システム構築のために協力してほしい」といったことが語られた。
    その後のシンポジウムでは、まず埼玉県川口市役所長寿支援課生きがい対策係の岩淵 里栄(いわぶちさとえ)氏による「川口市の介護予防・日常生活支援総合事業・キーワードはつながるしくみ」の講演、続いて地域健康つくり委員の狩野 裕治(かのうゆうじ)氏、同委員長の長嶺 芳文(ながみねよしふみ)氏により、それぞれの総合事業に対する考えや具体的な取り組みが発表された。最後に厚生労働省の谷内氏にもご登壇いただき、会場からの様々な質問にお答えいただいた。
    2日目は、初回者・ステップアップ研修者に分かれ、それぞれチェアーエクササイズや、3分間スピーチ・運動指導の実践をおこなった。その後、参加者全員でグループワークとして「行政へのアプローチ法」をテーマに、具体的にどう行動していくべきかを話し合い、それぞれ発表をおこなった。
    今回で地域健康つくり指導者研修会も第10回となった。今後、介護予防分野のサービスは国から地域へと主体が移り行く中で、地域に根差した鍼灸マッサージ師の担う役割はますます増えていくものと思われる。地域健康つくり指導者研修会もそれらを踏まえ、より柔軟に社会のニーズや受講者のニーズにこたえられる研修会を目指していくものである。どうぞこれからも当研修会にご期待ください。
    (報告:高野 広行 たかのひろゆき)

    4 平成29年度 スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会のご案内
      スポーツ事業委員長 朝日山 一男(あさひやまかずお)

    2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ケアボランティアに参加出来る体制づくりのために、スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会の認定条件を引き上げ、技術的・理論的にスキルアップを目ざし、講習会を実施します。各地でオリンピック・パラリンピックのキャンプ地の対応等、選手や関係者のケアに対応できる準備を整える必要があります。そこで、各都道府県のA級・S級認定の皆様が中心となり、その受け入れ体制づくりが急務となります。多くの方の当講習会の参加をお願いいたします。

    1.A級取得の必須条件
    (1)年間3大会以上のスポーツ現場活動(マラソン大会、トレーナー活動等)をおこなう。
    ※活動報告書提出(活動期間:前年度11月1日~当年度10月31日、提出日11月15日事務局必着)
    ※S級は年間5大会以上の現場活動を要す。
    (2)スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会(新規はすべてのカリキュラム)の受講。
    ※A級認定期間内の者は前・後期の内2日以上、S級認定者は1日以上受講する。
    (3)救命救急講習を受講し、修了証(有効期限内)コピーを提出。(最寄りの消防署、日本赤十字社、国際救命救急等)
    (4)賠償責任保険の加入および証明できるコピーを提出。
    (5)認定登録料(年会費)を5月19日(金)までに納付厳守。

    2.A級・S級の役割
    (1)所属師会内でのトレーナー活動の企画運営
    (マラソン大会・各種競技会への参入)
    (2)講習会の企画運営
    (3)現場の提供(S級認定者)
    (4)県体育協会・競技協会との連携

    3.講習会予定
    日時:「前期」6月17日(土)・18日(日)
    「後期」12月9日(土)・10日(日)
    会場:湘南医療福祉専門学校
    (JR横須賀線東戸塚駅下車徒歩2分)
    【新規受講費】 新規全鍼会員20000円/年会費
    (前・後期講習・認定登録料含む)
    一般あはき師30000円/年会費(前・後期講習)
    学生 10000円/年会費(前・後期講習)
    ※平成26年以前の認定取得者は新規扱いとなる。
    【登録更新費】(既にA・S級認定を受けている者)
    認定登録更新料/年間5000円
    ※2年以内に条件を満たさない場合は失効する。
    申込期間:4月10日(月)~5月19日(金)厳守
    *講習会の詳細については、全鍼師会ホームページ・トップ「事業報告」内、「スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会」ページ内を確認して下さい。
    (URL https://www.zensin.or.jp/12_jigyou/03_sport/index.html)

    お問い合わせ・お申込み先
    全鍼師会事務局(スポーツ事業委員会)
    TEL:03-3359-6049 FAX:03-3359-2023
    メールアドレス:zensin@zensin.or.jp

    5 役員選任に関する告示

    平成29年度任期満了に伴う本会の役員(理事及び監事)の選任については、公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会定款第16条、第24条、第25条の規定及び役員選任に関する規程(平成29年3月14日理事会決議)に基づき、下記の通り実施することをここに告示する。尚、立候補される方は立候補届出書と役員選任の実施細則を選挙管理委員会中央委員会(以下「選管中央委員会」という)からお取り寄せください。
    1、選任の方法と投票日
    役員の選任については、選管中央委員会が候補者を募り、平成29年5月28日(日)の定時総会において代議員の投票により選出し、これを決議する。
    2、立候補の資格について
    (1)立候補できる会員資格は正会員に限る。尚、員外監事については会員外の者に限る。
    (2)理事及び監事に同時に立候補することはできない。
    (3)代議員は辞任した後でないと立候補することができない。
    (4)選挙管理委員は候補者や推薦者になることができない。
    3、立候補の届出方法
    (1)所定の立候補届出書に、理事については10名以上、監事については複数名の正会員の推薦者を記入し届け出るものとする。
    (2)立候補者は、選挙広報の原稿を800字以内(データ)にて選管中央委員会へ提出のこと。
    4、立候補届出期間
    (1)平成29年4月4日(火)~4月17日(月)とし、立候補届出書は4月17日(月)までに、全鍼師会 会館内の選管中央委員会へ提出または
    書留郵便にて必着するように送付すること。
    (2)立候補者は、期間内に選挙広報の原稿を800字以内(データ)にて選管中央委員会へ提出のこと。
    5、立候補者氏名の公表
    立候補者氏名は平成29年5月1日発行月刊東洋療法に掲載する。尚、立候補者の氏名・住所・所属師会及び推薦者などは、5月14日迄に代議員へ文書便またはメールにて通知する。
    6、選挙運動期間
    候補者の選挙運動期間は平成29年5月15日(月)から5月27日(土)までとする。
    7、選任結果の発表と公表
    平成29年6月1日(木)に本会のホームページ、7月1日発行月刊東洋療法にも公表する。
    8、その他
    その他、役員(理事及び監事)の選任に関することは全鍼師会 会館内の選管中央委員会へお問い合わせください。
    (TEL 03-3359-6049)(E-mail zensin@zensin.or.jp)
    以上
    平成29年4月1 日
    公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会 選挙管理委員長 池田 信幸(いけだのぶゆき)

    6 平成29年度 定時総会開催のお知らせ

    定時総会を下記の通り開催いたしますので、任期中の代議員各位のご出席をお願い申し上げます。任期中の代議員には別途ご案内文書をお送りしますので、出欠等については必ず期日内にご回答くださいますようお願いいたします。
    (事務局)
    ●日時 平成29年5月28日(日)12:00~ 受付開始
    ●場所 ホテルルポール麹町
    電話:03-3265-5361(代)
    東京都千代田区平河町2-4-3
    (※東京メトロ「麹町駅」「永田町駅」下車)
    また、5月29日は連盟総会、協同組合総代会を同会場において開催予定です。

    7 平成29年度 行事カレンダー(予定)

    日程 行事名 場所 の順番で記載。
    5月28・29日 総会等 東京(麹町)
    6月17・18日 スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会 前期 神奈川(東戸塚)
    9月24・25日 第16回 東洋療法推進大会in京都 京都(京都)
    10月22日 共催 学術セミナー(1) 災害対策委員会合同 神奈川(東戸塚)
    11月5日 あはき法制定70周年式典 東京(有明)
    11月12日 都道府県師会会長会 東京(未定)
    12月9・10日 スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会 後期 神奈川(東戸塚)
    2月18日 共催 学術セミナー(2) 神奈川(関内)
    3月3・4日 地域健康つくり指導者研修会(ステップアップ・初回者研修会) 東京(四谷3丁目)

    8 保険局便り
      「疑義解釈資料」第4弾発出 厚生労働省

    平成29年2月28日、厚生労働省保険局医療課より、地方厚生局医療課等に宛て「はり、きゅう及びあん摩・マッサージの施術に係る療養費の取扱いに関する疑義解釈資料」の事務連絡が発出されましたので、その「鍼灸に係る療養費関係」全文と、「マッサージに係る療養費関係」の一部(鍼灸と異なる部分)を掲載します。

    ○鍼灸に係る療養費関係
    【通則関係】
    問1 法律上、療養費については保険者が認めた場合に支給することができるものとされているが、一方で療養費の取扱いに係る各種の通知等が発出され
    ている。法律の規定とこれらの通知等との関係はどのように考えたらよいか。
    答 療養費の支給の可否を決定するのは保険者であるため、支給決定に当たっての最終的な判断は保険者に委ねられているが、療養費の支給は療養の給付の補完的役割を果たすものであり、保険者ごとにその取扱いにおいて差異が生じないよう、取扱い指針としての支給基準等を国が通知等により定めているところである。その趣旨をご理解いただいた上で、通知等に沿った適切な取扱いをおこなっていただきたい。

    問2 「施術者に対しては、本留意事項の周知を図り、連携して円滑な運用に努めること」とあるが、具体的にはどのようなことか。
    答 例えば、講習会等の場で留意事項についての周知を図り、施術者に対して、患者の施術前に療養費制度の趣旨やルールについて説明してもらうようにすることなどが考えられる。なお、講習会等の実施に当たっては、必要に応じて施術者団体等に協力を求めるなど円滑な実施に努められたい。
    (「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」(平成16年10月1日保医発第1001002号。以下「留意事項通知」という。)別添1第1章の3)

    問3 「請求のあった療養費は、適正な支給を確保しつつ速やかに支給決定するよう努めること」とあるが、「速やか」とは、具体的にどのくらいの期間を指すか。
    答 具体的に「何日以内」と確定的に期限を示すものではないが、可能な限り速く支給決定するよう保険者に対して求めたものである。
    (留意事項通知別添1第1章の4)

    【医師の同意関係】
    問4 療養費支給申請書には、毎回同意書の写しを添付する必要があるか。
    答 療養費の支給が可能とされる期間内における2回目以降の請求にあっては、その添付を省略して差し支えない。
    (留意事項通知別添1第3章の3、第5章の1)

    問5 支給申請書に記載する再同意の日付については、いつの日付を記載するのか。
    答 再同意の日付については、実際に医師が再同意をおこなった年月日を記載する。
    (留意事項通知別添1第3章の4、第5章の1)

    問6 初回に取得した同意書に基づく支給可能期間が終了した後、一定日数経過後に医師の再同意があった場合には、改めて同意書を添付することが必要か。
    答 支給可能期間終了後、再同意取得までの間の施術に対する療養費の支給は当然認められないが、支給申請書に再同意に関する記載が適切になされており、再同意日以降の施術が前回療養費の支給対象とした施術から継続しておこなわれているものと客観的に認められると保険者が判断した場合は、再同意書の添付がなくても再同意日以降の施術に対する療養費を支給して差し支えない。
    (留意事項通知別添1第3章の4、第5章の1)

    問7 同意書の様式について、保険者の判断により項目を追加することは可能か。
    答 必要に応じて保険者において基準として掲げた項目以外の項目を追加することは差し支えないが、あくまで支給の可否を判断するうえで必要な項目に留めるべきであり、また医師が回答できる範囲とすべきである。なお、保険者独自の様式を使用しないことのみをもって不支給とすることや返戻をおこなうべきではない。
    (留意事項通知別添1第3章の5、別紙1)

    問8 保険者が同意医師に対して行う照会等について、6疾病(神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症及び頸椎捻挫後遺症)に対するものと6疾病以外の疾病に対するものとで、その取扱いに違いはあるか。
    答 6疾病以外の疾病については、保険医より同意書の交付を受けておこなわれた施術」であっても、同意書の記載内容等から、保険者が改めて慢性的な疼痛を主症とするものかどうか、医師による適当な治療手段のないものであるかどうかといった支給要件を個別に判断し、支給の適否を決定することとされている。
    一方、6疾病については、その傷病名から慢性的な疼痛を主症とすることが明らかであり、かつ施術による効果が期待できる疾病であることから、保険医より同意書の交付を受けておこなわれた施術であれば、医師による適当な治療手段のないものとして療養費の支給対象として差し支えないこととされている。
    なお、6疾病以外の疾病・6疾病ともに、治療の先行(一定期間の治療の有無)については、要件とされていないところである。6疾病に対するものと6疾病以外に対するものとでは、上記のとおりその取扱いに違いがあるため、審査上の必要があって照会等を行う場合には、当該同意書発行の趣旨を踏まえ、適切な照会等の内容とするよう配慮されたい。再同意があった場合も同様である。
    また、鍼灸の施術に係る医師の同意は、鍼灸の施術の適否や必要性について同意するものではないことに留意し、その趣旨を逸脱した照会等の内容とならないよう努められたい。
    (留意事項通知別添1第2章の1、第2章の2、第2章の3、第3章の5、第3章の6、別紙1)

    問9 「保険者が同意医師に対しおこなう照会等は、必要に応じておこなわれるべきものであること」とあるが、具体的にはどのようなことか。
    答 例えば、療養費の適正給付のために保険者が同意内容を確認する必要がある場合や、6疾病以外の疾病に対して同意書が交付された場合において保険者が支給要件を個別に判断する必要がある場合を指す。(留意事項通知別添1第3章の6)

    【療養費の算定関係】
    問10 「同一疾病にかかる療養の給付(診察・検査及び療養費同意書交付を除く。)との併用」とは、どのようなことを指すのか。
    答 同意を受けて施術が行われた疾病と同一の疾病に対して処置や投薬がおこなわれた場合をいう。
    (留意事項通知別添1第5章の2)

    問11 投薬に関して同意書に記載された病名以外の病名で痛み止め等が処方されている場合、鍼灸の施術に係る療養費を支給してよいか。
    答 痛み止めや湿布薬等が医療機関から処方されている場合は、患者本人、あるいは処方した医師に投薬の目的が同意書に記載された病名に対するものかどうかを確認し、当該病名以外の病名に対するものであることが確認できれば、支給して差し支えない。(留意事項通知別添1第5章の2)

    問12 療養費の支給にあたり患者への照会を行うことは差し支えないか。
    答 療養費の支給の可否にかかる判断に疑義が生じた場合等、必要に応じて患者に対して照会等をおこない、療養費の適正な支給をおこなうよう努められたい。ただし、患者照会等にあたっては、支給決定がいたずらに遅れることがないよう、審査上、不必要な事項についての照会や患者や施術者にとって過度の負担となるような内容での照会は避けるなどの配慮をされたい。
    (健康保険法第59条・国民健康保険法第66条・高齢者の医療の確保に関する法律第60条、留意事項通知別添1第1章の4、第5章の3)

    【往療料関連】
    問13 特別養護老人ホーム等の施設に赴いた場合に往療料は算定できるか。
    答 特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、ケアハウス、グループホーム等の施設に入所している患者に対する往療に関しては、往療料の支給基準を満たす患者であれば、算定して差し支えない。老人保健施設、介護療養型医療施設に往療をおこなった場合は往療料のみならず、施術料も算定できない。
    (留意事項通知別添1第6章の6)
    以上

    ○マッサージに係る療養費関係では、上記(問4)が以下のように変わる。
    問4 療養費支給申請書には、毎回同意書の写しを添付する必要があるか。
    答 療養費の支給が可能とされる期間内における2回目以降の請求にあっては、その添付を省略して差し支えない。なお、変形徒手矯正術については、初療の日又は再同意日から起算して1ヶ月を超える場合は、改めて同意書の添付を必要とする。
    (留意事項通知別添2第3章の5、第4章の1)

    ※鍼灸の問8、問10、問11は、鍼灸のみに係るものであり、マッサージには記載が無い。
    ※鍼灸の問9、問12、問13が、マッサージではそれぞれ問8、問9、問10となる。
    【参照】http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/03.html
    (厚生労働省)

    9 医者いらず 健康長寿処方箋 (39)

    健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上 正康(いのうえ まさやす)
    井上 正康(いのうえまさやす)先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!!
    ご連絡は下記URLより。
    健康科学研究所HP http://www.inouemasayasu.com/seminar/

    『授乳とオキシトシン戦争』

    ソーシャルネットワーク時代の今日ではおびただしい量の個人情報が巷に氾濫している。公序良俗に反する画像は御法度であるが、プライベートな関係者しか目撃できない種類の写真も少なくない。最近、有名セレブの“授乳シーン”が“愛情と養育母性を示す行為で隠す必要はない”とのコメント付きでSNSに投稿され、これを巡って様々な議論が炎上している。その写真がセレブの豪邸やカメラ目線でのゴージャスな暮らしぶりを見せつけるショットであったことに反感を抱いた方から多くの批判的コメントが寄せられた様である。又、3歳児への授乳シーンであった事から、“母乳は生後6ヵ月で止めるべき”とか“授乳は満2歳までと法律で定めるべきだ”などと云う極端な主張もあった。3歳児への授乳を批判する根拠として、“母乳の質は出産後の時間と共に大幅に低下する”との説があげられていた。しかし、授乳開始後に母乳の成分は経時的に変化するものの、その栄養学的な質は長期間に渡り高く維持される事が判明している。母乳には大腸菌やメチシリン耐性菌などを抑えるIgA抗体などの多様な抗菌物資も含まれており、これらの活性も授乳中はキチンと維持されている。これらの医学的事実をフェイスブックに投稿したところ、数万件もの“いいね!”の反応があった。その中には“そうであれば自分の子どもにもっと長期間母乳を与えたかった”と残念がる母親もいた。事実、WHOは乳児をなるべく長期間母乳で育てる様に推奨している。大半の国では公共の場での授乳行為が母子の基本的権利として広く認められており、大きなデパートや公共施設などでは授乳室が設けられている所も少なくない。古くより「赤ちゃんは脳が生む」との名言がある。これは卵巣での卵子の発育から受精、着床、妊娠、出産、授乳、及び離乳に至る全プロセスが視床下部下垂体系を中心とするホルモンや自律神経系により制御されているからである。この一連の反応に関与するホルモンの中でも、特に愛情ホルモンと呼ばれているオキシトシンはストレスを緩和して幸せな気分をもたらす。オキシトシンは子宮平滑筋を収縮させて分娩を促すと同時に、大腸の平滑筋をも収縮させて排便を誘発する。自然分娩で産まれた赤ちゃんは、便と一緒に娩出されるのでお母さんの膣内細菌や腸内細菌に濃厚感染することになる。このため赤ちゃんの腸内細菌叢はお母さんの腸内フローラと酷似している。お産の時にお母さんから貰う腸内細菌は、その後の赤ちゃんの発育や健康を左右する大切なプレゼントなのである。一方、帝王切開で産まれた赤ちゃんの腸内細菌は術場や医療スタッフの常在菌が主体となっている。最近の研究では、赤ちゃんの腸内細菌が性格にも影響する事が明らかになりつつある。事実、帝王切開で生まれた赤ちゃんでは自閉症の罹患リスクが7倍も高い事が判明している。英国では昨年から帝王切開で生まれた赤ちゃんにお母さんの膣内細菌や腸内細菌を与える予防処置がスタートした。数千万年もの時間をかけて進化してきた哺乳類の自然分娩から授乳に至る行為には、最先端医学の常識を遥かに超えた無数の生命史的財産が内包されているのである。
    古くより、女性の表情で最も美しいのは授乳中のお母さんの表情であると言われてきた。事実、聖母マリアの授乳像から御近所のお母さんに至るまで、授乳中の表情は実に穏やかで幸せ感満載である。このお母さんの無意識的表情にも幸せホルモンのオキシトシンが関与している。赤ちゃんに見つめられたお母さんの脳では様々な代謝変化が誘起される。赤ちゃんの眼はお母さんの脳をコントロールする制御装置なのである。この大きな眼で見つめられたお母さんの視床下部ではオキシトシンの産生が増加する。又、授乳行為も自律神経を介してお母さんの脳を刺激してオキシトシンの産生分泌を亢進させ、乳腺の平滑筋を収縮させて乳汁分泌を促進する。分娩や授乳のみならず、お母さんの母性本能や幸せ感までコントロールするオキシトシンは生命継承を支援する生存ホルモンなのである。
    愛情ホルモンのオキシトシンはお母さんの専売特許ではない。触り心地の良い服や持ち物などに触れたり、老夫婦や恋人同士がハグすることでもオキシトシンの産生分泌が亢進する。オキシトシンは共同作業やイベントなどで高揚感が高まった際にも産生されて集団の仲間意識を強化する。この様な脳の共感反応は女性の嫉妬心や他者への排他的感情の基盤にもなっている。この同族仲間意識と排他的感情が共鳴してジハード意識が暴走すると聖戦を誘発する事につながる。第二次世界大戦における日本の神風特攻隊や現代のイスラムの戦士たちのジハードも近縁の遺伝子集団の生存を模索する脳の神々と愛情ホルモンのオキシトシンのなせる業なのである。人生では何事にも光と陰があるが、現代のSNS時代では、様々な投稿に対して脊髄反射的に炎上せず、その無意識的背景や行間を読み解く知性と感性を育む事が大切である。

    10 インフォメーション 研修会・イベント開催予定

    各地での研修会・イベント情報をお知らせいたします。多くの方のご参加をお待ちしています。
    詳細・申込については各師会事務所へお問い合わせ下さい。
    (変更等がある場合もありますので事前にご確認下さい)
    なお、全鍼師会HP:トップページ内「事務局より」もご参照下さい。
    月日 師会名 時間 場所 内容 一般参加可否 参加費 生涯研修単位 の順番で記載します。

    4月2日 石川 10時30分~12時30分 石川県立盲学校 「現代鍼灸臨床論」通読 産婦人科疾患 可 無料 2単位
    4月9日 福井 13時30分~16時 アオッサ 鍼灸マッサージ師の必要と役割(オリンピック・パラリンピックトレーナーを経験して) 可 無料 3単位
    5月7日 石川 10時30分~12時30分 石川県立盲学校 臨床研修会 可 無料 2単位
    ※研修単位は会員のみ

    11 Dr.タコの外来小咄 84

    最近あの方見ないなあなんて思っていると、回診先の介護施設でお会いしたりすることが多くなりました。「お年寄りに優しいコンパクトシティ」などといいますが、医療・介護・託児なんかがまとまった施設も増えています。かたやネット通販増加で宅急便は疲弊し・・今こそ「小を捨てよ、街へ出よう!」

    ◎人生ドラマチック
    「おなかに変なしこりがあるんです」
    「どれどれ、はっきりしたものはないようですけど」
    「これですよ、ここのこれ」
    「う~ん、せいぜい皮下脂肪にしか思えませんけど」
    「癌の転移とかじゃないですか?」
    →総合病院まで行って精査して「セルライト」と言われて帰ってきました
    「今度はどうされましたか」
    「微熱が続いてるんです、36.7度とか」「平熱ですが」
    「いえ、私は普段35度台なので、熱があるんです」
    「なにか症状があるんですか」
    「いえ、でも微熱が続いて調べたら白血病だったという人の話しを聞いて、心配で」
    「そうでしたか、それだったら血液検査で一発です。(後日)大丈夫、白血病ではありません!」
    「よかったー、あ”ー助かったわー、もうどうしましょう(ワナワナ)」
    (ヤレヤレ)
    TVドラマの見過ぎじゃないでしょうか!?

    ◎医院の親衛隊?
    「急に足が動かなくなってしまうんです」と90才のおじいさん(ちなみに初診です)
    「今は歩いてるから大丈夫なんですよね」
    「んだ、でも急に力が入らなぐなるんだ」
    「ここでも調べますけど、念のため一度脳外科で頭の検査をしてみたらどうですか?」
    「いいやこれは内科の病気だど思う」「そうですか」
    「私はここの病院しか来ない、他の病院には行かない、ここ一筋なんだ」
    「そういっていただけるのは嬉しいんですが、餅は餅屋、それぞれの役割と限界というものがありますから」
    「他さだば行がね」
    ぷらっと他へ移ってしまう患者さんも多い中、ありがたいことではありますが

    ◎わかってる!?
    「糖尿病の数値は少し上がってますね、これ以上あがると薬飲まないとね」
    「気になるのはね、ここんところ体重が3キロばかし増えてるんですよ」
    「はあ、口にものを運んでるのは自分ですからね」
    「食べ過ぎなのはわかってる、運動不足なのもわかってる」
    「それで食事や運動は気をつけましたか」「いや」
    「それは、わかってるとはいえないんだなあ」
    「変えなくちゃいけないのはわかってるんだ。頭だけでわかった気になってるというのもわかってる」
    「行動に表れなければわかったとはいえないでしょう」
    「それもよくわかってる」
    私に言わせれば、あなたは、なんにもわかっていません!(わかんないでしょうけど)

    ◎バタフライ効果
    「お変わりありませんでしたか?」
    「ええ、ただ、一ヶ月ばかし入院して手術しました」
    「え”っ!!」
    「整形外科に入院して腰のヘルニアの手術をしたんです」
    「それは大いに大変なことじゃないですか!?」
    「でも、血圧には関係ないですから」
    「関係大ありですよ。血圧高いと手術のリスクは高まるし、鎮痛剤で血圧が上がったり、胃潰瘍が悪化する人もいる、入院食(だけなら)で減量して血圧が下がることもあります」
    「そうですか」
    「やはりこの辺のことはご理解いただけないんでしょうね」
    地球の裏側のチョウの羽ばたきが台風を引き起こす(かも)という説すらあるというのに

    +++++
    Dr.タコ 昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

    12 認知症ミニ講座(21) ニュース

    「認知症初期集中支援チーム」は、介護や医療の専門家によるチームで、2015年1月に決定された「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」に掲げられている7つの柱のうち、「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」を実現するために誕生した。役割は、認知症当事者やそのご家族を訪問し、援助をおこなう前の評価(アセスメント)に基づいて、医療サービスや介護サービスと繋げること。チームの構成は、認知症などの専門医療の経験がある医師1名と保健師、看護師等の国家資格保有の専門職が2名以上とされ、2017年3月10日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議の資料ではこの中に鍼灸マッサージ師等も加えられた。チーム員になるには、業務年数や「認知症初期集中支援チーム員研修」の受講などの要件がある。
    また、平成30年度には全ての市町村において「認知症地域支援推進員」(以下「推進員」)を配置し、医療機関や介護サービス及び地域の支援機関をつなぐコーディネーターとしての役割を担う推進員を中心として、医療と介護の連携強化や、地域における支援体制の構築を図ることとされているが、推進員の要件となる専門職にも鍼灸マッサージ師等が追加された。

    13 編集後記

    「指導」とは、作業、業務等が正しく出来るように必要な知識・技能等を一定レベル以上に教育するための講習や訓練等を指し、「監督」とは、その作業や業務が適正に出来ているかどうかを見守り、問題が発生した時は適時罰則等を含む改善策を講じることであろうと思います。あはき療養費の「受領委任制度」は、まさにこの指導と監督の仕組みを構築するためのものであり、超高齢社会における「あはき」の可能性を考えるとき、業界団体としては必ず成し遂げるべき制度と言えるでしょう。この度の厚生労働省の「あはき療養費の見直し」に関する方向性と今後の制度設計について引き続き注視したい。
    (広報局長:廣野 敏明 ひろのとしあき)
    以上本文
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    ◇全鍼師会 110番補償制度 好評発売中!
    この制度は会員の先生方が、安心して日常の業務に専念いただけるよう、不慮の施術事故をはじめ院内施設の不備や日常生活中の事故により損害賠償
    責任を負った時に、その損害をお支払いするものです。
    ※会員以外の方は加入できません。(更新日6月1日)

    ・掛金と補償額についてはお問合せ下さい。

    お問合せ:日本鍼灸マッサージ協同組合
    TEL:(03)3358-6363
    ■元受保険会社 三井住友海上火災保険株式会社

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