2018.03.01 (木)会員の皆様月刊東洋療法

    月刊東洋療法 287号

    月刊東洋療法 287号
    月刊東洋療法287号(3月1日号)
    公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

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    目次
    1 2018年度介護保険制度改正
    はり師・きゅう師、機能訓練指導員 正式決定
    2 第23回 日本集団災害医学会 総会・学術集会に参加
    3 「DHEAT(ディーヒート:災害時健康危機管理支援チーム)」とは
    4 地方便り (滋賀県師会・埼玉県師会・京都府師会)
    5 医者いらず健康長寿処方箋 (50) 「皮膚感覚と脳地図」
    6 Dr.タコの外来小咄(95)
    7 認知症ミニ講座(28) 水分不足と認知症
    8 平成29年度 第2回学術セミナー報告
    (全鍼師会・神奈川県師会共催)
    9 平成29年度 認定訪問マッサージ師実技講習会開催
    10 FOCUS 「リテラシー」
    11 インフォメーション 研修会・イベント開催予定
    12 協同組合ニュース
    13 編集後記
    *****
    以下本文

    1 2018年度介護保険制度改正
    はり師・きゅう師、機能訓練指導員正式決定

    平成30年4月から、はり師・きゅう師が「機能訓練指導員」(日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練をおこなう能力を有する者)として介護保険内でフォーマルな活動ができるように厚生労働省より発表がありました。(平成30年2月6日)
    これまで、機能訓練指導員として活動することができたのは、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師のみ(いずれも「はり師・きゅう師」と同じ国家資格を有する者)でしたが、そこに、はり師・きゅう師が加わり、いよいよ介護保険内での活動が可能となりました。
    通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートスティ)、認知症対応通所介護(認知症デイサービス)、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などの介護施設では、機能訓練指導員を一人以上配置することが定められており、利用者のADL向上を目的とした機能訓練をおこないます。
    そして、近年は機能訓練をメインにした施設が多くなっているため、機能訓練指導員の必要性は高く、はり師・きゅう師の活動の場が広がったということであり、はり師・きゅう師にとってはたいへん喜ばしいことです。
    ただし、はり師・きゅう師が機能訓練指導員になるためには、既に機能訓練指導員を配置している介護施設で6か月以上勤務するという実務経験が必要となります。
    数年来、「はり師ときゅう師を機能訓練指導員の資格要件として加えていただきたい」という要望を目的とした協議は、(公社)全日本鍼灸マッサージ師会は小川 眞悟(おがわしんご)氏と長嶺 芳文(ながみねよしふみ)氏が、(公社)日本鍼灸師会は髙田 常雄(たかたつねお)氏と松浦 正人(まつうらまさと)氏が、それぞれの立場で別々に厚生労働省に働きかけ交渉をしていました。3年前からは協働して厚生労働省と定期協議をおこない、多数の確認事項(例えば全国のはり師・きゅう師の介護現場での活動状況の調査など)に対応して、また、はり師・きゅう師が機能訓練指導員の資格要件に入ることに消極的な考えを持つ団体に対して説明をおこない、加えて仲野 弥和(なかのひろかず)日本鍼灸師会会長と杉田 久雄(すぎたひさお)全日本鍼灸マッサージ師会前会長・伊藤 久夫(いとうひさお)全日本鍼灸マッサージ師会現会長が、厚生労働省や関連団体及び関係各位との折衝を繰り返しおこなうことで、本年4月の介護保険の改正時にはり師・きゅう師が機能訓練指導員の要件に入ることができました。
    今後は介護施設での半年間の研修期間の他に、利用者に求められる機能訓練指導員になるための研修会や講習会が必要となると思います。
    そして、社会保障審議会(平成29年12月18日)において「はり師・きゅう師が機能訓練指導員の対象になることについては、機能訓練の質が維持されるか、また、障害者の雇用などに悪影響が生じないかについて検証すべきである」と述べられていることを念頭に置き、はり師・きゅう師も機能訓練指導員として地域社会に貢献することを期待している、利用者、介護施設、他の専門職、行政に応えることが私たちに課せられた課題でもあります。
    機能訓練指導員の要件に加われたという法改正に結びついたことは、まさに業界団体が一つになって協働したために成しえたもので、今後の業界団体のあるべき姿を示すものといえるでしょう。

    *この報告書は、(公社)全日本鍼灸マッサージ師会と(公社)日本鍼灸師会の厚生労働省老健局定期協議担当者が協働で作成いたしました。

    2 第23回 日本集団災害医学会 総会・学術集会に参加

    【写真:会場・ポスター発表】

    平成30年2月1日~3日、第23回日本集団災害医学会総会・学術集会がパシフィコ横浜において開催された。メインテーマは「『災害時の医療』を客観視し多面的に捉える」。
    医師をはじめ、災害に関わる多業種のエキスパートが出席し、参加者数は1,300名を超えた。様々な講演の中で、パネルディスカッション「多職種連携をいかにしておこなうか」では、消防、医師、薬剤師、福祉の立場からの講演があった。多職種連携をするには、それぞれの立場、特性を知らなければ出来ないこと、災害に関する教育の必要性、重要性を力説されたことが印象に残った。
    鍼灸マッサージ業界からは、(公社)全日本鍼灸マッサージ師会の仲嶋 隆史(なかじまたかし)災害対策委員長、(公社)日本鍼灸師会の矢津田 善仁(やつだよしひと)危機管理委員が共同で「『平成29年7月九州北部豪雨』における鍼灸マッサージ師合同チームの活動―初動から亜急性期まで―」をポスター発表した。しかし、ほとんどの人の目に留まることがなく、まだ鍼灸マッサージ師の存在というものが全く知られていない印象であった。阪神淡路大震災から昨年の九州北部豪雨災害に至るまで様々な災害現場で鍼灸・マッサージをおこない、急性期から積極的に活動し一部の人達には評価されてきたが、自己満足に終始した感も否めない。大多数の人達には認知されていないのが現状であることを私たちは再認識しなければならない。
    今後、この学会やJIMTEF(ジムテフ)災害医療研修をはじめ、各地でおこなわれる様々な災害研修に積極的に参加し鍼灸師・マッサージ師以外の多職種の方々と交流し、情報共有と意見交換の機会を持つことで我々の特性を知ってもらうこと、また活動した際のデータを集積し発表していくことが急務であろう。次回は「日本災害医学会」に改名され鳥取県開催となる。
    (報告:災害対策委員長 仲嶋 隆史 なかじまたかし)

    3 「DHEAT(ディーヒート:災害時健康危機管理支援チーム)」とは

    2月3日、日本集団災害医学会「災害コーディネート救護団体連盟会議」の席上で「DHEAT(ディーヒート)(災害時健康危機管理支援チーム)」についての紹介がありました。
    DHEAT(Disaster Health Emergency Assistance Teamの頭文字)は行政の中に設置し、災害自治体の指揮調整部門の指揮調整機能を支援し、二次健康被害を最小に防ぐ役割を担う組織です。組織化の経緯、活動形態など、今後のDHEATの派遣調整システムと受振体制の構築の重要性について説明がありました。DHEATは、被災地で機能不全に陥った県・市町村の対策本部、保健所の支援をして、被災者と支援者を機能的に結び付ける役割です。
    今後は市町村で研修会を開き支援チームを育成していく必要が示されました。
    災害時には、今後このDHEATが県市町村の対策本部のコーディネートを補佐して活動がなされます。ただ発展途上であるともいえるようです。
    (報告:災害対策委員 朝日山 一男 あさひやまかずお)

    【DHEATの定義】 重大な健康危機が発生した際に、 健康危機管理に必要な情報収集・分析や全体調整などの専門的研修・訓練を受けた都道府県及び指定都市の職員によって組織された災害時健康危機管理支援チームであり、被災都道府県等に派遣され、被災都道府県等の本庁及び保健所に設置される健康危機管理組織の長による指揮調整機能等を補佐するものである。
    【厚生労働省の資料】http://goo.gl/tV4wx7

    4 地方便り

    ◆はり・きゅう・マッサージ防災協定締結 滋賀県師会
    【写真:協定書を渡す岳師会長・訓練風景】

    平成29年12月1日、滋賀県鍼灸マッサージ師会と滋賀県鍼灸師会は合同で、滋賀県と災害発生時の防災協定を締結した。避難所が設置された際に会員を派遣し、はり・きゅう・マッサージを通じて被災者の苦痛の軽減やエコノミークラス症候群の予防を図る等のケアをする。都道府県単位での協定の締結は全国初で、滋賀県鍼灸マッサージ師会の岳 東弘(おかはるみつ)会長は「組織として効果的に人を配置できるよう仕組みづくりを進め、全国に広めたい」と意気込み、「今後、滋賀県や全日本鍼灸マッサージ師会や日本鍼灸師会とも連携しながら被災者の健康に尽力したい」と述べられた。
    (報告:滋賀県師会理事 中川 紀寛 なかがわとしひろ)


    ◆「視覚障害者に対するガイドヘルプ講習会」開催 埼玉県師会
    【写真:ガイドヘルプ講習会の様子】

    埼玉県鍼灸マッサージ師会は平成30年2月11日、埼玉県所沢市にある国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、視覚障害者に対するガイドヘルプに関する講義および実技実習を開催した。
    きっかけは当会会員の視覚に障害を持つ先生が駅のホームから転落し命を落とす痛ましい事故が起きたことに始まる。さらに講習会では、一人でも多くの方が視覚障害者の方への誘導方法などについて知識や技術を習得し、視覚障害及び視覚障害者に対しての理解を深めることで、より良い共生社会を実現できればとの思いで開催した。
    当日は100名の予定に対し130名を超える盛況ぶりで、全鍼師会の仲澤 進(なかざわすすむ)視覚障害局長をはじめ国会議員や県議会議員、市議会議員にもご参加いただいた。
    講師は国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局第一自立訓練部視覚機能訓練課長の白浜 一(しらはまはじめ)氏、機能訓練専門職の佐々木 桂(ささきかつら)氏の2名にお願いした。講習内容は実技の時間を多く取り入れた具体的でわかりやすい内容のものとなり、参加者からは「とても役に立った」「すぐにでも実践してみたい」等、多くのメッセージをいただいた。
    一部の師会では、公的なガイドヘルパー認定講習会も開催されているが、このような取り組みが全国的にも広がれば幸いである。
    (報告:埼玉県師会理事 高野 広行 たかのひろゆき)


    ◆京都マラソン2018活動報告 京都府師会
    【写真:ランナーケアの様子・集合写真】

    東日本大震災復興支援として震災1年後の2012年3月11日から始まった京都マラソンも今年で7回目を迎え、京都府鍼灸マッサージ師会も第1回からランナーケアで参加しております。さる2月18日、都大路を国内外16,229人のランナーが走り、当会ランナーケアは鍼170名・マッサージ699名のサポートをすることが出来ました。
    大会前週は一時寒さも緩みましたが、土曜から再び雪が舞い、当日の朝も雪こそないものの厳しい冷え込みでした。終日お天気には恵まれ、8月に執りおこなわれる送り火の五つの山裾を走り、桂川・鴨川の河川敷を走りと風光明媚な京都のコースを満喫してもらっている頃には、体も冷え、例年以上に足の攣ったランナーが多く来られました。今年は寒さとの闘いとなりました。
    今回は東京をはじめ、会員の呼びかけで他府県からも応援に来て下さいました。
    例年よりも早いペースで待合席は埋まっていき、与えられた4時間で先生一人当たり20名以上のランナーを施術された事には頭が下がります。
    また、京都マラソンでは毎年2,000人以上の外国人ランナーが走り、50人以上が施術を受けに来られます。一昨年より国際交流協会にご協力を仰ぎ、今年も10名の英語・中国語の通訳の方に活躍してもらいコミュニケーションをとっておりました。
    初めてご参加いただいた先生からは「楽しかった!また来年!!」と言っていただき、僅かな時間の体験施術ですが、プロとして自信をもってランナーに接しておられる先生方の姿はカッコ良かったです!!
    例年、ランナーアンケートは集計し京都市や関係団体に配ります。ランナーの感想は担当された先生に一覧にしてお渡しています。
    ご協力いただきました先生方には心から感謝申し上げます。
    (報告:京都府師会広報部・スポーツケア部 戸中 照之 となかてるゆき)

    5 医者いらず 健康長寿処方箋(49)

    健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上 正康(いのうえまさやす)
    井上 正康(いのうえまさやす)先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!!
    ご連絡は下記URLより。
    健康科学研究所HP http://www.inouemasayasu.com/seminar/

    「皮膚感覚と脳地図」

    ブルース・リーの“燃えよドラゴン”で“Don’t think ! Feel !”と云う名セリフが出てくる。“Feeling”は皮膚の触覚を意味する言葉である。胎児の五感で最初に発達してくるのは皮膚の触覚であり、赤ちゃんが人生で初めて体感するのもお母さんの皮膚感覚である。ストレスの多い外界で赤ちゃんが生きていくには皮膚感覚が不可欠であり、お母さんの胸に抱かれる事により安心感や信頼感などが生まれ、空間的学習力や冒険心なども育っていく。お母さんとの皮膚接触が少ない乳児は発達障害を起こしやすく、肥満、2型糖尿病、心臓病、消化器疾患、精神疾患などの発症率も高くなる。未熟児死亡率が約70%だった時代のICUでお母さんが赤ちゃんを抱いて育てるカンガルーケアーにより死亡率が10%に激減した。一卵性双生児の研究により、皮膚の触覚刺激が脳の遺伝子発現を変化させて性格形成に大きく影響する事が判明している。この様に皮膚はエネルギー代謝、免疫系、循環器系、脳機能などに影響する社会的臓器なのである。手で触れる温かさは友好性や信頼性を無意識的に印象付ける皮膚情報であり、レストランでは客に軽く触れるウエイトレスの方が多くのチップを貰える事や温かい手で患者に触れながら診察する医者の方が信頼されて評判が良い事も知られている。
    成人の皮膚は約7kgで筋肉に次いで大きな臓器であり、強力な免疫防御系や内分泌系に加え、外界を認識する情報収集装置がひしめいている。皮膚には手の平、足の裏、唇、乳首、生殖器粘膜の様に無毛組織とそれ以外の有毛組織があり、両組織に分布する知覚神経の種類と密度は大きく異なっている。ヒトの指先には指紋があり、メルケル盤、マイスナー小体、パチニ小体、およびルフィ二終末と呼ばれる知覚神経の終末が高密度に分布し、質の異なる刺激情報を脳へ送っている。指先や唇のメルケル盤は表皮と真皮の境界に局在しており、物の表面の湾曲や質感を鋭敏に感知している。指先の2点間識別域値は約1mmであり、これによりポケットの中の十円玉や百円玉を正確に識別できる。毎分120字もの速度で点字を読む事が出来るのもメルケル盤のお陰である。指先の細い女性では2点間識別能力が男性より0.2mmも鋭敏である。脳地図上では手や顔に対する1次体性感覚野の領域が極めて大きく、ここに皮膚のメルケル盤から情報が送られて脳を活性化する。プロの弦楽器奏者は毎日長時間練習する為に、左手の知覚運動領域が右手の領域より2倍も大きくなる。雌ラットの胸部に対する1次体性感覚野も授乳により1.5倍に肥大するが、離乳後には妊娠前のサイズに戻る。ラットの前足1側をギブスで固定して動けなくすると、対応する脳の1次感覚野の面積が1週間で50%も縮小する。脳も身体も鍛えれば年齢に関係なく強化され、使わなければ廃用性萎縮するのである。ベッドで寝たきりになると脳や身体の機能が目に見えて低下するのはこの為である。“健全な魂は健全な肉体に宿る”と云われる様に、末梢の皮膚や筋肉からの刺激が精神世界を豊かに育むのである。子供に皮膚接触やスポーツが大切なのはこの為である。年齢と共に身体接触が少なくなると認知機能も低下してくるが、これにも皮膚や筋肉による脳刺激の減少が関与している。事実、20歳頃に比べると80歳では皮膚のメルケル盤やマイスナー小体の密度が30%に低下するが、この加齢性低下も皮膚刺激により予防可能である。親しい者とのハグや皮膚刺激は年齢に関係なく大切なのである。
    マイスナー小体は皮膚組織のコラーゲンと連結しており、皮膚と物体とのズレや振動を検知している。タイヤの溝がスリップ事故を予防する様に、適度な汗を分泌する指先の指紋はグラスなどを落とさず的確に掴む事を可能にしている。ビールを楽しく飲めるのも指紋と触覚のお陰である。パチニ小体は真皮の深部に局在しており、皮膚の圧迫や微妙な振動に対して地震計の様に反応し、弦楽奏者の弓や盲人の白杖のごとく延長された手の感覚器として機能している。車のハンドルを握る手の平や足裏の感覚がタイヤの振動を介して路面情報を脳に伝え、視覚脳と共役して車体を自分のボディースペースとして認識させる。
    ルフィ二終末もコラーゲン繊維と結合しており、皮膚表面と平行方向の張力に対して鋭敏であり、優しい愛撫に反応して脳の報酬系を活性化する。脳地図上では親指が顔の隣人であり、生殖器は足先の友人である。この様な脳地図上での相互関係が美意識、セクシャリティー、フェティシズム、思考や行動を無意識的に支配している。足の機能を抑制する纏足、シンデレラのガラスの靴、歩き難いハイヒールは足先の廃用性萎縮を介して脳地図上で隣接する生殖器の感覚領域を拡張する大人の施術用具なのである。カンヌ映画祭でフラットシューズの女優が入場を拒否された事から多くの女優が女性差別だとして抗議した。映画祭のドレスコードに反発してジュリア・ロバーツは裸足でレッドカーペットを歩いたが、ハイヒールに隠された欲脳のドレスコードには纏足が最高位の履物なのである。

    6 Dr.タコの外来小咄 (95)

    全国いや全世界的にインフルエンザが大流行です。受験生がいる家庭では心配ですよね。うちもそうですが「少し寒気がする」といったらかみさん「うわっ大変、うつさないでよ」とのことで一人で隔離されて寝て治しました。大雪低温もあり、いろんな意味で春が待ち遠しいこの頃です。

    ◎イマジン(想像してごらん)
    「便秘がひどくて下剤もらえねえすべが」
    「いいですけど、ちなみに何日くらい出てないんですか?」
    「んだすな、一週間でないこどもあるす」
    「ひえ~、ホントに?お腹張らないのかな」
    「ふつうに食べれるすよ」
    「でもね、ちょっと想像してみてくださいよ。お肉やご飯や魚を混ぜて36℃で一週間おいておいたらどうなるか。腐ってカビが生えてすごいニオイになるでしょう」
    「んだすな」(ホントは想像したくもない)
    「そんなものをお腹の中にいっぱい詰め込んでるのと一緒なんですよ」
    そんなこと言われても出ないモンは出ないんですけどね

    ◎もしかして業界用語?
    患者さんを送り出すときに声をかけますね
    「お大事になさってください」「お大事にどうぞ」
    それがつまって結構言いますね、看護婦さん
    「お大事ください・・」ちょっとヘンな表現
    「患者様」はかえってよそよそしいので使いません

    ◎もっと現実的にね
    「Kさんクスリいつも切れてから来てますけど」
    「ええ、なかなか忙しくて」
    「でしたら、無理しないで、2週間じゃなくもっと多めに出しますよクスリ」
    「そうですね。でも、2週間に一回くらい病院に来ないと、やっぱり」
    「そうですか、まあいいですけど」
    その次もKさんはやはりクスリが切れてからいらっしゃるのでした、トホホ

    ◎のんでるヒマがない!?
    「今日はやけに血圧が高いですね」
    「ええ、病院に来ると思って朝急いで来たから、クスリまだのんでないんですよ」
    「急いでといっても、朝ご飯は食べたわけでしょう?」
    「ええ(笑)」
    「おまけに朝のドラマもしっかり見てきたでしょうし、だったらのむヒマがないとはちょっとねえ」
    (それにヤニ臭いから一服してきたのはあきらか)
    気持ちに余裕がないヒトが血圧が上がるのかもしれません

    +++++
    Dr.タコ 昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

    7 認知症ミニ講座(28) 水分不足と認知症

    国際医療福祉大学大学院 教授・竹内 孝仁(たけうちたかひと)先生は、著書『認知症は水で治る!田原 総一朗(たはらそういちろう)が真実に迫る』『水をたくさん飲めば、ボケは寄りつかない』や、テレビ出演等で近年注目されています。
    竹内(たけうち)先生は、認知症は水分不足から引き起こされる意識障害と考えています。人の体重の50%は水分が占めており、水分が循環することで正常に活動できます。水分が不足すると、失った水のパーセンテージによって次のような障害が出てきます。
    1~2%: 疲労感・イライラ・頭がぼんやりする
    3%: 血液循環が悪化・脳梗塞
    5%: 体の自由がききにくい
    7%: 幻覚・幻聴・意識混濁
    10%: 死に至る
    認知症になる高齢者のほとんどが、意識がぼんやりしている状態だといいます。例えば、夏の熱中症では、まず現れる症状は意識レベルの低下です。頭がぼーっとして、そのうち体がふらつき、倒れてしまう。体から水分が1%減ってしまうと、体全体の細胞を正常に機能させることができなくなるため、意識が朦朧とし、熱中症になったような意識障害が起こるのです。一日の水分排出量は2,500ml程度、食事に含む水分量は1,000ml程度です。つまり、不足する1,500mlを補わないといけないということです。高齢者の方は頻尿やトイレの心配などから特に水分を控える傾向にあり、これを補えていません。そして結果、脳に意識障害が起こっている状態である認知症がひどくなってしまうというメカニズムだそうです。
    「水の量と物忘れの度合いは完全にリンクします。水を飲んで覚醒水準が上がると、物事を見聞きした時の印象が強く残るようになる。頭がシャキッと起きるんですね。すでに認知力が落ちていた人でも、体の細胞に水分が満たされてくれば、覚醒水準は必ず上がってきます」。徘徊や夜中に大声をあげたり暴れたりする認知症の症状は完全に水分不足であり、しっかり水を飲めば、数日で劇的によくなると竹内先生は言う。「若年性認知症も高齢者の認知症も原理は一緒。物忘れ防止のためにも、40~50代から水を飲む習慣を身につけておいた方がいいんです」(竹内 たけうち 先生)

    8 平成29年度 第2回 学術セミナー報告(全鍼師会・神奈川県師会共催)

    【写真:会場の様子・実技風景】

    平成30年2月18日、神奈川県の横浜市技能文化会館にて、第2回学術セミナーが全鍼師会・神奈川県師会共催で開催された。
    第1部の講演は、「鍼灸マッサージ師のための関節モビライゼーション」のテーマで、筑波技術大学教授の藤井 亮輔(ふじいりょうすけ)先生にご講演をいただいた。ポイントとして、関節モビライゼーションの禁忌となる疾患を理解しておくことはもちろんのこと、関節運動の法則(凹凸の法則等)を踏まえて離開法や滑りの施術をおこなうこと、施術前の評価をしておくことが大事とのお話があった。今回の講義は実技の時間を多くとり、力の加え方の程度や方向、施術者の体勢など細かな指導をしていただいた。また、セルフケアの方法をご教示いただくなど、明日から使える充実した内容であった。関節モビライゼーションは関節可動域の拡大や運動痛の改善だけでなく、緩徐な手技で安全面にも優れていることから、施術の一つに加えるのも良いのではないかと感じた。
    第2部では、「2020年東京大会に向けての体制と今後のスポーツへの関わり・マッサージ実技」のテーマで、全鍼師会スポーツ事業委員長の朝日山 一男(あさひやまかずお)先生によるお話があった。
    現在、全鍼師会、日本鍼灸師会、全日本鍼灸学会、東洋療法学校協会の4団体で連携し、2020年東京大会準備委員会を組織し準備を着々と進めている状況で、ボランティアへの参加条件(研修会への参加、自賠責への加入、免許保有証の取得等)の説明があった。実技では、マッサージオイルを使った背部や下肢の施術をご披露いただいた。朝日山(あさひやま)先生より会員の積極的な参加協力の呼びかけがあり、講習会を締めくくられた。
    (報告:学術委員 西村 博志 にしむらひろし)

    9 平成29年度 認定訪問マッサージ師実技講習会開催

    【写真:実技風景】

    平成29年度認定訪問マッサージ師講習会(実技講習)が、平成30年2月3日~4日に東京医療福祉専門学校で開催された。
    実技講習の内容は、訪問医療マッサージの現場で求められる身体機能評価として関節可動域検査(ROM-T)、徒手筋力検査(MMT)、日常生活動作検査(ADL-T)の (1)目的、(2)測定方法、(3)注意事項について座学、実技がおこなわれ、マッサージ実技・機能回復訓練・片麻痺訓練では (1)起居動作訓練、(2) 体位交換と良肢位、(3)移乗動作訓練、(4)立位歩行訓練、(5) 応用歩行訓練、(6)変形徒手矯正法、(7)マッサージ法についての座学、実技がおこなわれた。
    講師陣は臨床経験豊富な理学療法士の先生方で、(公社)全国病院理学療法協会を中心としたメンバーが選ばれ、熱い講義がおこなわれた。
    参加者からは、検査での留意点が実践例からの説明でわかりやすかったことや、視覚障害に対する配慮が大変ありがたかったこと、実際の臨床での疑問に対して質問でき大変有意義な講義と実技の内容であったとの声が聞かれた。
    受講者は講習会受講での単位取得の他、期限内に3症例の報告書を提出し、審査に合格することで認定される(認定証は5年間有効)。
    主催は(公社)全日本鍼灸マッサージ師会をはじめとする関連7団体がまとまり運営するマッサージ等将来研究会で、主催者から本講習会の趣旨は、今回の講習を受講することで、共通のフォーマットによる報告書が作成でき、地域包括ケアシステムにおいて医師や訪問マッサージに係わる医療・介護関係者との連携を深めることが出来るよう学んでほしい旨のコメントがあった。

    ★平成30年度開催予定(会場:東京医療福祉専門学校)
    第2回~4回受講者対象 更新研修 7月1日
    平成30年度講習会(基礎実技) 11月24日~25日
    (実技講習) 平成31年2月2日~3日

    月刊東洋療法およびHPからのアナウンスに注目して下さい。
    (報告:認定訪問マッサージ実行委員会)

    10 FOCUS 「リテラシー」

    本来「リテラシー」は、その大きな分野で修得すべき知識を、理解し活用する力、また分析し判断する総合能力を表す言葉として使用されてきました。日本語では「識字率」と同じ意味で用いられています。最近、ビジネスシーンでは、その前後の状況に応じて、限られた部分の応用力の高さを指し示す言葉として使用されることが増えています。「コンピューターリテラシー」や「情報リテラシー」「統計リテラシー」といったように、関連する言葉をつけて「○○リテラシー」というように使用されています。
    社会の情報化が進み、多様で大量の情報が溢れ、人々は良くも悪くもそれに影響を受けることが多いため、「情報リテラシー」の重要性が指摘されています。また、メディアが情報操作や世論操作をおこない、様々な問題が生じることが増えるにつれ「メディアリテラシー」の重要性も説かれるようになっています。一段高い視点から、「送り手の悪しき意図を見抜き、流されている情報をそのまま鵜呑みにせず、その悪影響を回避する能力」が必要ということでしょう。

    11 インフォメーション 研修会・イベント開催予定



    各地での研修会・イベント情報をお知らせいたします。多くの方のご参加をお待ちしています。
    詳細・申込については各師会事務所へお問い合わせ下さい。(変更等がある場合もございますので事前にご確認下さい)
    なお、全鍼師会HP:トップページ内「事務局より」もご参照下さい。

    月日、師会(しかい)名、時間、場所、内容、一般参加、参加費、生涯研修単位の順番です

    3月4日、石川、10時30分~12時30分、石川県立盲学校、『ビジュアルでわかるトリガーポイント療法』、実技「体幹(2)腰部」、可(有資格)、無料、2単位
    3月4日、和歌山、13時30分~16時40分、ビッグ愛、「はり灸マッサージで健康づくり」施術デモンストレーション、新養生訓~ケガしない・病気にならない・疲れにくい体の作り方、可、無料、3単位
    3月10日~11日、岡山、9時~16時、倉敷市役所仮設テント、ツーデーマーチ(鍼・マッサージ・ストレッチ、足湯、スポーツ相談)、可(有資格)、無料、5単位
    3月11日、石川、9時20分~12時30分、福井県済生会病院 臨床講堂、日本東洋医学会北陸支部春季講演会、可、医師4,000円 それ以外3,000円、5単位
    3月11日、岐阜、13時~16時、恵那市総合福祉センター、家庭で出来る関節のこわばり、むくみの取り方、可、無料、富山県鍼灸マッサージ師会館、うつ病や気分障害に対する鍼灸治療~現代医学的な考え方~、うつ病や気分障害に対する鍼灸治療~東洋医学的な考え方~、可、3,000円、4単位
    3月18日、京都、14時~16時30分、京都社会福祉会館、医者要らずの健康長寿処方箋、可、無料、3単位
    3月25日、北海道、14時30分~16時、わくわくホール、良導絡入門、可、道鍼会員1,000円 学生1,000円 一般2,000円、2単位
    3月25日、和歌山、10時~12時15分、和歌山県鍼灸マッサージ会館、スポーツマッサージ研修、不可、無料、3単位
    3月25日、徳島、12時~13時30分、保険師会事務所、とくしまマラソン2018事前実技講習会、不可、無料、2単位
    3月25日、徳島、14時~18時、藍場浜公園(予定)、とくしまマラソン2018後夜祭ランナーマッサージ、不可、無料、5単位
    ※研修単位は会員のみ

    12 協同組合ニュース

    110番補償制度は6月1日更新となります。ご加入者の皆様には3月中旬までに更新案内をお送りしますので、案内に従ってお手続き願います。
    ・自動引落しの先生は、特に変更がなければ手続き不要 です。
    (自動更新となります)
    ・ゆうちょ銀行で払込みされる先生はお早めにお手続き をお願いします。
    ・未加入の先生方には新年度パンフレットをお送りします ので、協同組合までご連絡下さい。

    お問合せは、協同組合・保険担当まで。
    TEL:03-3358-6363
    FAX:03-3359-2023
    メール:jamm@jamm.or.jp

    13 編集後記

    スマートホンの使い方は各人各様と思いますが、調べ物をする時にも便利ですよね。浅学非才の身ですが広報担当者として、間違った言葉を使うことは避けたいと願っています。で、誤用されることが多い言葉ランキングを調べてみました。小学館『大辞泉』編集部発表によると第1位は「ハッカー」、コンピューターに侵入し、不正行為をおこなう人という意味は間違いで、正しくはコンピューターやインターネットに詳しい人、とのこと。私も含め8割近い方が誤解しています。5位には「姑息(こそく)」(な手段)が挙がっています。これは私もよく耳にして気になっていました。本来は、一時しのぎ(の手段)ですが、卑怯な手段という意味で使う方が6割強おられます。「間が持たない」と「間が持てない」、「声をあらげる」と「声をあららげる」、「足元をすくう」と「足をすくう」、「采配を振るう」と「采配を振る」、「怒り心頭に達する」と「怒り心頭に発する」、「押しも押されぬ」と「押しも押されもせぬ」、「熱にうなされる」と「熱に浮かされる」、「上には上がいる」と「上には上がある」なども半数以上の方が誤用されています。いずれも後者が正しい用法です。
    (広報局長:廣野 敏明 ひろのとしあき)

    以上本文
    以下広告

    ◇学校法人呉竹学園
    呉竹学園は、時代に適応した人材を育成し社会に貢献する努力を続けます
    設置学科: 鍼灸マッサージ科 鍼灸科 柔道整復科
    鍼灸マッサージ教員養成科(東京医療専門学校のみ)
    http://www.kuretake.ac.jp

    <東京医療専門学校>
    〒160-0008 東京都新宿区三栄町3番地
    TEL03-3341-4043
    <呉竹鍼灸柔整専門学校>
    〒222-0033 横浜市港北区新横浜2-7-24
    TEL045-471-3731
    <呉竹医療専門学校>
    〒330-0854 さいたま市大宮区桜木町1-185-1
    TEL048-658-0001

    ◇全鍼師会 110番補償制度 好評発売中!
    この制度は会員の先生方が、安心して日常の業務に専念いただけるよう、不慮の施術事故をはじめ院内施設の不備や日常生活中の事故により損害賠償
    責任を負った時に、その損害をお支払いするものです。
    ※会員以外の方は加入できません。(更新日6月1日)

    ・掛金と補償額についてはお問合せ下さい。

    お問合せ:日本鍼灸マッサージ協同組合
    TEL:(03)3358-6363
    ■元受保険会社 三井住友海上火災保険株式会社

    ◇鍼灸院の開業設備から治療室の改装設備等ご相談はカナケンへ
    http://e-kenkou.jp

    株式会社カナケン
    本社: 〒225-0002
    神奈川県横浜市青葉区美しが丘2-17-39
    TEL_045-901-5471(代)
    FAX_045-902-9262
    オンラインショップ http://e-kenkou.jp/
    E-mail info@kanaken.co.jp
    大阪営業所:TEL_06-6935-3016(代)
    FAX_06-6935-3017
    新潟営業所:TEL_025-286-0521(代)
    FAX_025-286-8870
    福島営業所:TEL_024-961-7211(代)
    FAX_024-961-7221
    仙台出張所:TEL_022-287-6273(代)
    FAX_022-287-6218

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    発行所 〒160-0004 東京都新宿区四谷 3-12-17
    全鍼師会会館内
    公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
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    ホームページURL http://www.zensin.or.jp
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    協同組合
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    E-mail jamm@jamm.or.jp
    名称 鍼灸マッサージ情報誌 月刊東洋療法
    代表者 伊藤 久夫(いとうひさお)
    郵便振替 00160-8-31031
    銀行口座 りそな銀行 新宿支店 普通口座 1717115
    名義/公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
    発行人 伊藤 久夫(いとうひさお)
    編集人/広報局長 廣野 敏明(ひろのとしあき)
    購読料 3,600円 〒共(会員は会費より)

    口座名のフリガナは「シヤ)ゼンニホンシンキユウマツサージシカイ」となります

    以上