2019.07.01 (月)会員の皆様月刊東洋療法

    月刊東洋療法 303号

    東洋療法303号(3.83MB)

    月刊東洋療法303号(7月1日号)
    公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

    目次

    *****
    1  第2期 伊藤 久夫(いとうひさお)会長 新体制が始まる!
         理事・監事・委員 委員会役務分掌
    2  災害支援活動報告
    3  第12回JIMTEF(ジムテフ)災害医療研修ベーシックコース(関西)開催
    4  岡山県師会合併報告
    5  東洋療法推進大会in神奈川 HOT情報
    6  医者いらず 健康長寿処方箋(66)「顔の進化と表情の生存戦略」
    7  Dr.タコの外来小咄(111)
    8  FOCUS パーソン・センタード・ケア
    9  認知症ミニ講座(39) 新オレンジプランとは(1)
    10 あはきTopics 「診療ガイドライン」とは何でしょうか
    11 厚生労働大臣免許保有証の申請受付が始まりました!
    12 インフォメーション 研修会・イベント開催予定
    13 News 事務局移転・新任師会長のご紹介
    14 協同組合ニュース
    15 編集後記
    *****
    以下本文



    1 第2期 伊藤 久夫(いとうひさお)会長 新体制が始まる!

     令和 元年6月13日、全日本鍼灸マッサージ師会・第4回理事会が開催され、定款に基づく公益各事業、法人運営、その他事業について役務分掌を協議した結果、新役員を含む事業運営体制が決まり、新体制のスタートが切られた。
      (役務分掌一覧表は次頁に掲載)

    ◇歴史・伝統・文化・国民に培われた鍼灸マッサージのステージを上げる改革

     この度は、令和 元年5月26日の定時総会におきまして、立候補者全員を信任していただき、新たな業務執行体制を構築させていただきましたことに心から御礼申し上げます。また同総会時に代議員の先生方より建設的なご意見・ご要望を数多くご提案いただき、重ねて御礼申し上げます。
     全鍼師会(ぜんしんしかい)は、晴盲一体の職能団体として、あはき師の業権擁護(ぎょうけんようご)を推進しかつ国民の利益に資する業務執行を図らなければなりません。その一つとして最優先課題であった「あはき療養費受領委任制度」が本年1月より開始されました。しかし開始直後の段階でも、まだまだ解決しなければならない諸問題が山積しております。第2期目にあたる今期は前期より更に一つひとつ着実に課題解決に向け厚生労働省はじめ関係機関と粘り強く交渉して参ります。
     また、あはき広告の適正化を図るため厚生労働省に「あはき柔整(じゅうせい)等の広告に関する検討会」が設置され広告ガイドラインを現在取りまとめているところです。全ての国民が安心安全で適切な「医療」および「あはき施術(せじゅつ)」を受けられるよう、国家資格の有る無しに関わらず表看板・リーフレット・ホームページ等に掲載されている内容が適正なものである必要があります。そのためには虚偽広告、誇大広告、比較優良広告、および公序良俗に反する広告等の指導監督の強化が必要であり、有資格者および無資格者の違法広告を排除しなければなりません。結果として国家資格保有者と国家資格外行為者(無資格者)を明確にすることになり、国民の生命を健康被害から守ることになります。
     新体制のもと今期も、あはき業界を取り巻く諸問題の解決に向け、役員一同一丸となり業務執行に努めて参りますので、会員各位にはご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
    会長 伊藤  久夫(いとうひさお)


    ◆理事、監事、委員(敬称略)

    ◎理事
    会 長    伊藤 久夫(いとうひさお)    
    副会長    廣野 敏明(ひろのとしあき)総務委員長/広報IT委員長
    副会長    長嶺 芳文(ながみねよしふみ)財務委員長
    副会長    往田 和章(おおたかずあき) 保険委員長
    副会長    中野 義雄(なかのよしお) 組織委員長
    業務執行理事    小川 眞悟(おがわしんご) 学術委員長
    業務執行理事    石川 英樹(いしかわひでき) 法制委員長
    業務執行理事    仲澤   進(なかざわすすむ) 視覚障害委員長
    業務執行理事    仲嶋 隆史(なかじまたかし) スポーツ・災害対策委員長
    業務執行理事    狩野 裕治(かのうゆうじ) 介護委員長
    理事(新任)    朝日山 一男(あさひやまかずお)スポーツ担当
    理事(新任)    足立 忠(あだちただし)    介護担当
    理   事     工藤 司(くどうつかさ)    法制担当
    理   事     常盤 和成(ときわかずしげ)    保険担当
    理   事     中川 紀寛(なかがわとしひろ)    広報IT担当
    理   事     西島 登貴子(にしじまときこ)    組織担当
    理   事     森 孝太郎(もりこうたろう)    法制担当
    理   事     吉田 高行(よしだたかゆき)    災害対策担当

    ◎監事
    監   事     今村 茂(いまむらしげる)
    監事(新任)    堀 昌弘(ほりまさひろ)
    員 外 監 事     君嶋 眞理子(きみしままりこ)

    ◎委員
    学術委員    尾野 彰(おのあきら)
    学術委員    西村 博志(にしむらひろし)
    学術委員    近藤 宏(こんどうひろし)
    スポーツ・災害対策委員    松浦 浩市(まつうらこういち)
    スポーツ・災害対策委員    古田 高征(ふるたたかゆき)
    スポーツ・災害対策委員    榎本 恭子(えのもとやすこ)
    スポーツ・災害対策委員(新任)成田 卓志(なりたたかし)
    広報IT委員    秦 章(はたあきら)
    広報IT委員    牧野 克則(まきのかつのり)
    広報IT委員    清水 洋二(しみずようじ)
    介護委員    髙野 広行(たかのひろゆき)
    視覚障害委員    佐々木 実(ささきみのる)
    視覚障害委員    梅宮 光男(うめみやみつお)

    ◆役務分掌一覧表
        
    ◎法人管理    
     ・総務委員会(事務局担当)委員長:廣野 敏明(ひろのとしあき)(副会長)    
      総務担当    
       委員:中川 紀寛(なかがわとしひろ)、西島 登貴子(にしじまときこ)、事務局
      会館運営委員会
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、堀 昌弘(ほりまさひろ)(組合)、金田一 功
        (きんだいちいさお)(事務局)
      定款等改正検討会    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、常盤 和成(ときわかずしげ)、吉田 高行(よしだたかゆき)、金田一 功(きんだ
         いちいさお)(事務局)、栗田 孫重(くりたまごしげ)(事務局)
      収益事業委員会    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、堀 昌弘(ほりまさひろ)(組合)、金田一 功
         (きんだいちいさお)(事務局)
     ・財務委員会(事務局担当)委員長:長嶺 芳文(ながみねよしふみ)(副会長)    
       財務担当    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、廣野 敏明(ひろのとしあき)、堀 昌弘(ほりまさひろ)(組合)、金田一 功
         (きんだいちいさお)(事務局)
     ・事務局(職員)局長:金田一 功(きんだいちいさお)(社団・組合)    
         室長(川畑 かわはた)、課長(中村 なかむら、栗田 くりた)、
         職員(真島 まじま、古川 ふるかわ)、治療院(北村 きたむら)、
         パート(河崎 かわさき、福田 ふくだ、谷内 たにうち、石崎いしざき)
     ・選挙管理委員会
                
    ◎公一事業    
    ・学術委員会 委員長:小川 眞悟(おがわしんご)(業務執行理事)
          〈長嶺 芳文 ながみねよしふみ 担当副会長〉    
      学術担当
       委員:長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、狩野 裕治(かのうゆうじ)、尾野 彰(おのあきら)、西村 博志(にしむら
          ひろし)、近藤 宏(こんどうひろし)
      マッサージ等将来研究会
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、狩野 裕治(かのうゆうじ)
      国民のための鍼灸医療推進機構(AcuPOPJ)
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、中野 義雄(なかのよしお)
      日本東洋医学サミット会議(JLOM)    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、中野 義雄(なかのよしお)
    ・保険委員会 委員長:往田 和章(おおたかずあき)(副会長)    
      保険担当
       委員:中野 義雄(なかのよしお)、常盤 和成(ときわかずしげ)、中川 紀寛(なかがわとしひろ)、石川 英樹(い
          しかわひでき)
      あはき保険推進協議会
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、中野 義雄(なかのよしお)
      東洋療法研修試験財団(施術管理者研修)    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、廣野 敏明(ひろのとしあき)
      厚労省保険局定期協議
       委員:中野 義雄(なかのよしお)
    ・介護委員会    委員長:狩野 裕治(かのうゆうじ)(業務執行理事)
         〈長嶺 芳文 ながみねよしふみ 担当副会長〉    
      介護担当
       委員:長嶺 芳文、小川 眞悟(おがわしんご)、足立 忠(あだちただし)、髙野 広行(たかのひろゆき)
      地域健康つくり指導者研修会    
       委員:長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、小川 眞悟(おがわしんご)、足立 忠(あだちただし)、髙野 広行(たかの
          ひろゆき)
      厚労省老健局定期協議    
       委員:長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、小川 眞悟(おがわしんご)
    ・スポーツ・災害対策委員会 委員長:仲嶋 隆史(なかじまたかし)(業務執行理事)
        〈廣野 敏明 ひろのとしあき 担当副会長〉    
      スポーツ・災害対策担当
       委員:廣野 敏明(ひろのとしあき)、吉田 高行(よしだたかゆき)、朝日山 一男(あさひやまかずお)、松浦 浩市
         (まつうらこういち)、古田 高征(ふるたたかゆき)、榎本 恭子(えのもとやすこ)、成田 卓志(なりたたか
          し)
      スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成    
       委員:吉田 高行(よしだたかゆき)、朝日山 一男(あさひやまかずお)
      災害鍼灸マッサージ支援合同研修(DSAM)    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、廣野 敏明(ひろのとしあき)、吉田 高行(よしだたかゆき)、朝日山 一男(あ
          さひやまかずお)
      DMAT、AMDA、JIMTEF等の連携及び研修    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、廣野 敏明(ひろのとしあき)、吉田 高行(よしだたかゆき)、朝日山 一男(あ
          さひやまかずお)
      スポーツ・災害等ボランティア活動    
       委員:廣野 敏明(ひろのとしあき)、金田一 功(きんだいちいさお)(事務局)

    ◎公二事業    
    ・広報IT委員会 委員長:廣野 敏明(ひろのとしあき)(副会長)    
      広報IT担当
       委員:中川 紀寛(なかがわとしひろ)、秦 章(はたあきら)、牧野克則(まきのかつのり)、清水 洋二(しみずよう
          じ)、中村 章(なかむらあや)(事務局)
      機関誌・ポスター・リーフレット等作成    
       委員:中川 紀寛(なかがわとしひろ)、秦 章(はたあきら)、牧野克則(まきのかつのり)、清水 洋二(しみずよう
          じ)、中村 章(なかむらあや)(事務局)
      ホームページ管理    
       委員:中川 紀寛(なかがわとしひろ)、成田 卓志(なりたたかし)、中村 章(なかむらあや)(事務局)
      広報担当者連絡会    全鍼(ぜんしん)・日鍼(にっしん)・学校協会・全日学広報担当
    ・法制委員会 委員長:石川 英樹(いしかわひでき)(業務執行理事)
          〈伊藤 久夫 いとうひさお 担当〉    
      法制担当    
       委員:森 孝太郎(もりこうたろう)、工藤 司(くどうつかさ)、往田 和章(おおたかずあき)、清水 洋二(しみず
          ようじ)
      あはき等法推進協議会    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、往田 和章(おおたかずあき)
      あはき等法改正検討会    
       委員:森 孝太郎(もりこうたろう)、工藤 司(くどうつかさ)、清水 洋二(しみずようじ)
      厚労省医政局定期協議    
       委員:森 孝太郎(もりこうたろう)、工藤 司(くどうつかさ)
    ・組織委員会 委員長:中野 義雄(なかのよしお)(副会長)    
      組織担当
       委員:廣野 敏明(ひろのとしあき)、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、石川 英樹(いしかわひでき)、中川 紀寛
         (なかがわとしひろ)、西島 登貴子(にしじまときこ)
      東洋療法推進大会    
       委員:廣野 敏明(ひろのとしあき)、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、中川 紀寛(なかがわとしひろ)、西島 登貴
          子(にしじまときこ)、堀 昌弘(ほりまさひろ)(組合)、金田一 功(きんだいちいさお)(事務局)
      国際普及検討会    
       委員:長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、石川 英樹(いしかわひでき)、小川 眞悟(おがわしんご)、仲嶋 隆史(な
          かじまたかし)、森 孝太郎(もりこうたろう)
      女性あはき師の職域拡大検討会
       委員:西島 登貴子(にしじまときこ)
      あはき業界統合検討会
       委員:石川 英樹(いしかわひでき)、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、小川 眞悟(おがわしんご)、仲嶋 隆史(な
          かじまたかし)、吉田 高行(よしだたかゆき)、常盤 和成(ときわかずしげ)、足立 忠(あがちただし)
      将来ビジョン検討会    
       委員:業務執行理事、堀 昌弘(ほりまさひろ)(組合)、宇須 章生(うすふみお)(連盟)
      周年事業検討会    
       委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、往田 和章(おおたかずあき)、堀 昌弘(ほり
          まさひろ)(組合)

    ◎公三事業    
    ・視覚障害委員会 委員長:仲澤 進(なかざわすすむ)(業務執行理事)
        〈伊藤 久夫 いとうひさお 担当〉    
     視覚障害担当
      委員:梅宮 光男(うめみやみつお)、佐々木 実(ささきみのる)
     情報伝達支援事業    
      委員:梅宮 光男(うめみやみつお)、佐々木 実(ささきみのる)
     助言相談事業    
      委員:梅宮 光男(うめみやみつお)、佐々木 実(ささきみのる)
     職業訓練事業検討会    
      委員:伊藤 久夫(いとうひさお)、廣野 敏明(ひろのとしあき)、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)、堀 昌弘(ほりま
         さひろ)(組合)、金田一 功(きんだいちいさお)(事務長)


    2 災害支援活動報告

    日時:令和 元年6月9日 10時~17時
    場所:呉市天応緊急仮設住宅
    広島県呉市天応緊急仮設住宅に災害支援活動を報告する。
     今回は全鍼師会(ぜんしんしかい)から仲嶋 隆史(なかじまたかし)委員長、朝日山 一男(あさひやまかずお)委員、榎本 恭子(えのもとやすこ)委員、山田 健三(やまだけんそう)広島県師会会長、福岡県鍼灸マッサージ師会から山田 真由美(やまだまゆみ)(助産師兼鍼灸師)氏5名が活動をおこなった。
     天応仮設は自治会によりあらかじめ鍼灸、マッサージの受療希望者を募っていただき、毎回20名前後の希望者があるが今回は17名であった。
     10時から鍼灸とマッサージの施術をおこない、どちらかというと鍼灸の希望者が多いように思われた。13時から約1時間サロン活動をおこなった。
     今回は朝日山(あさひやま)・榎本(えのもと)両委員のハーモニカ伴奏で5~6曲の唱歌を受療者の皆さんで歌い、ボッチャの簡易版で運動をおこなった。
     災害発生から約1年経過しているが、まだまだ復興の道のりは遠く、今でも雨音で不安になって心臓がどきどきするなどPTSDの症状が出ると訴えていた。
     今後の支援活動は、9月30日までの期間に月に1回ないし2回(第2、第4日曜日)の予定にしている。
    (報告:仲嶋 隆史 なかじまたかし)


    3 第12回 JIMTEF(ジムテフ)災害医療研修ベーシックコース(関西)開催

     6月15日・16日、神戸市の兵庫県柔道整復師会会館にてJIMTEF(ジムテフ)災害医療研修ベーシックコース(関西)が開催され、87名(全鍼師会5名)が参加しておこなわれた。
     災害医療概論や災害時におけるメンタルヘルス・生活機能や栄養の講義、グループワーク等で平常時こそ、いざという時に備える準備が必要であることを学習した。
     この研修は毎年、関東と関西で開催されるので、多くの参加者をお待ちしています。第13回ベーシックコース(東京)は9月21日、22日に開催予定です。
    (報告:仲嶋 隆史 なかじまたかし)


    4 岡山県師会合併報告

     (一社)岡山県鍼灸マッサージ師会は(公社)岡山県鍼灸師会との合併を視野に入れ、県や双方の正副会長や理事との話合いを重ね、両師会の臨時総会で合併が可決された。平成31年4月20日登記が完了し正式な統一となり、(公社)岡山県鍼灸師会が始動した。その中に全鍼窓口が設置されている。令和 元年6月2日合併祝賀会開催の運びとなった。来賓に日鍼会(にっしんかい)、全鍼師会(ぜんしんしかい)両会長、国際医療技術財団 小西 惠一郎(こにしけいいちろう)理事長、AMDA(アムダ) 菅波 茂(すがなみしげる)代表はじめ多くの方々のご列席を賜り、盛大に執りおこなわれた。これを機に全国の師会と中央団体の統一が近い将来実現することを期待したい。
    (報告:吉田 高行 よしだたかゆき)


    5 東洋療法推進大会 in 神奈川 HOT情報

    ■分科会 (神奈川県師会担当)
    演題:杉山 和一(すぎやまわいち)の生涯
    歴史研究家 内海 恒雄(うつみつねお)先生

     杉山 和一(すぎやまわいち)は、視力障害というハンディを乗り越え、「管鍼法(かんしんほう)」を考案し、現在の鍼灸術を確立させた新興の租です。
     5代将軍 綱吉(つなよし)の病を治した和一(わいち)は、綱吉(つなよし)が発した鍼治(しんち)新興令を受け、鍼術講習所である「杉山流鍼治導引稽古所」を開設し、視覚障碍者の生業の道を開きました。この功績に対し将軍が和一(わいち)に与えた3,000坪の本所一つ目の逸話は有名です。地元歴史研究家内海(うつみ)先生による杉山和一(すぎやまわいち)の生涯を講演して下さいます。

    ■「管鍼法(かんしんほう)と視覚障害者教育のルーツを知ろう」
    ~分科会連動企画 湘南江の島 杉山 和一(すぎやまわいち)の墓参ツアー~
     令和 元年の東洋療法推進大会開催県である神奈川県は横浜、横須賀、箱根など観光名所の宝庫として全国に知られています。しかし私たちの業(ぎょう)において決して忘れてはならない「管鍼法(かんしんほう)」の生まれた土地でもあります。盲人の鍼灸あん摩師である杉山 和一(すぎやまわいち)が管鍼法(かんしんほう)を発明した場所、神奈川県藤沢市の江の島には、現在も杉山和一(すぎやまわいち)の墓がその一角にひっそりと佇んでいます。東洋療法推進大会では杉山 和一(すぎやまわいち)の生涯について研究をされてきた地元藤沢市の歴史研究家 内海 恒雄(うつみつねお)先生をお招きして杉山 和一(すぎやまわいち)の生涯についてご講演いただく分科会と連動して、電車・バス・徒歩で1時間以上かかる(そしてとても分かりにくい場所にある)、杉山 和一(すぎやまわいち)の墓参ツアーを会場の新横浜プリンスホテルから直行バスにてご案内いたします。一生に一度、この業(ぎょう)に就いたからには是非とも行っていただきたい杉山 和一(すぎやまわいち)墓参ツアーに是非ご参加下さい。

    ★ 募集要項 ★
    参加定員:27名(先着順)
    費  用:お一人様4,000円(昼食として横浜名物 崎陽軒のシウマイ弁当とお茶付き)
    行  程:10月21日(月)12時30分新横浜プリンスホテル前出発。
         13時30分江の島着(江の島駐車場から墓所までは階段があります)杉山 和一(すぎやまわいち)墓所ご案内(藤沢市鍼灸マッサージ師会)、江の島観光
         15時30分江の島出発。16時30分~17時新横浜駅着。
         ※ご希望者によって羽田空港へ直通の京浜急行の駅にお送りする事も可能です。

    お申込み:(一社)神奈川県鍼灸マッサージ師会(045-242-7791)までFAXにて。氏名・住所・生年月日・連絡の取れる電話番号、京浜急行の駅で下車したい場合はその旨をご記載の上、お申込み下さい。FAXの受信時間による先着順とさせていただきます。


    6 医者いらず 健康長寿処方箋(66)

    健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授
    井上 正康(いのうえまさやす)

    井上 正康(いのうえまさやす)先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!!
    ご連絡は下記URLより。
    健康科学研究所HP http://www.inouemasayasu.com/seminar/

    「顔の進化と表情の生存戦略」

     ダイビングが趣味の私はボルネオやインド洋の珊瑚礁で色彩豊かな魚達と戯れながら別天地を楽しませてもらっている。熱帯魚の豊かな色彩を見ながら、彼らはどの様に世界を観ているのだろうかと思うことがよくある。イトマキエイなどの大型魚のみならず、クマノミなどの小魚の表情も千差万別であり、夫々が個性を主張している。縄張りを持つ魚達は隣近所の仲間と他所者を区別する事が出来る。
     魚類に限らず顔は縄張りや自己を主張する情報器官なのである。
     動物の生存には餌獲り反応が最重要課題であり、獲物を見つけて効率良く動けることが必要である。地中で暮らすゴカイやミミズなどは前後両方向に移動出来る事が有利であるが、水中や地上で餌を捕まえたり天敵から逃げるには特定の方向に素早く移動できる事が生死を分ける。この事が進化圧となり消化管の一方をめくれ返して口や唇を創り、これを口輪筋が取り囲むことにより餌を効率良く捕獲できる口が誕生した。更に、口の周辺に情報収集装置である眼や耳や鼻を集めることにより顔が誕生したが、全方向に動けるウニやヒトデでは顔は進化しなかった。顔の設計図は魚類が基本であり、餌を噛み切る歯は爪の様に皮膚が進化した組織である。
     食物を飲み込む為の舌は魚の第三のヒレであり、顎で餌を噛み砕く咬筋(こうきん)や側頭筋(そくとうきん)は顎弓筋(がくきゅうきん)から、情報を伝える表情筋(ひょうじょうきん)の口輪筋(こうりんきん)、眼輪筋(がんりんきん)、鼻根筋(びこんきん)などは舌弓筋(ぜっきゅうきん)から進化してきたのである。
     顔は捕食と情報収集の為の装置として進化してきたが、動く獲物を捕らえるには鋭敏な視覚がモノを言う。ヒトは周囲の風景がはっきり見えていると思っている。
     しかし、それは錯覚であり、実際には限られた範囲しか見えていない。本を読む時はページの一部が鮮明に見えているだけで、大部分はボヤけているので目を動かさなくては文章を読むことができない。特定の対象に意識を向けると眼が素早く動くが、その移動中に網膜に投影されたモノの大半は無視されている。ヒトは自分で行動を制御していると思っているが、その大半は無意識に支配されている。考え事をしながら歩いたり車を運転できるのも脳の無意識機能のお陰である。    
     ヒトでは光情報が網膜の神経細胞を介して後頭葉の1次視覚野に到達し、そこから更に三十ヶ所以上の視覚関連野に転送されている。これらの視覚領域は物体の形、色、方向、角度、動き、奥行などの要素を特異的に分別しながら世界を認識している。この領域は聴覚や嗅覚などの知覚系ともネットワークを形成し、共感覚(きょうかんかく)の神経基盤を構築している。脳の神経系も最初は1個の受精卵から出発して高次の機能を獲得しているが、本来は全ての五感を区別せずに感知している。音を聴いたり数字を見ると色が視えたりする共感覚が存在するのはこの為である。
     猿族の中でも白眼は人類だけにあり、相手を注目している事を伝えるメッセージとして機能している。新生児の眼は強度の近視であり、お母さんの顔は輪郭がボンヤリと見えるのみである。しかし、コントラストの強い白黒の眼を視たお母さんの視床下部では愛情ホルモンのオキシトシンやプロラクチンが産生されて授乳反応が誘起される。新生児の眼は母乳と愛情の誘導装置なのである。
     眼球が成熟すると外界の微細な情報を認識できる様になる。ヒトではこの機能は表情を読む能力としても重要である。顔や眼の周囲の表情筋(ひょうじょうきん)はヒトの感情を表現する無意識的言語である。眼や唇の周囲を取り囲む輪状筋(りんじょうきん)や口輪筋(こうりんきん)は両臓器をリング状に覆って保護すると同時に、微妙な収縮弛緩反応により感情を表出している。“顔は笑っているが、目は笑っていない”などと言われる様に、顔面神経で制御されている表情筋(ひょうじょうきん)の収縮反応の僅かな差異が心を反映しており、それを読み取る能力が人間関係の構築や生存に重要な役割を果たしてきた。
     最近、脳に顔を識別する“顔パッチ”と呼ばれる領域が存在する事が明らかになった。これは光により生じる額と口や眼窩と鼻のコントラストなどを認識する神経領域であり、ここに“顔細胞”と呼ばれる神経細胞が局在している。
     顔パッチは左右の脳半球に合計12箇所あり、サルでは約205個の顔細胞が50個の座標(50次元)を用いて顔の角度や見え方による違いを調整しながら画像処理している。
     古今東西、化粧では目と口を中心に創ろうが、これは相手の美意識やエロスを刺激する無意識的戦略である。喜怒哀楽を豊かに表現する眉毛を剃り落として表情筋(ひょうじょうきん)の無い額に眉墨を入れると能面の小面(こおもて)になる。これは表情を隠す事により視覚関連領域で幽玄の広がりを想像させる強かな能楽の戦略である。最近の若者でもアイシャドウやエクステにより目の周囲を黒くしてコントラストを増強し、“眼力”を強化するのがコスメの主流となっている。これが最も強化されたのがイスラームの黒いブルカであり、眼の周りの僅かなスペースで男脳のエロスを刺激している。“秘すれば花”は花伝書が極めた奥義である様に、顔の表情やコスメは進化が創生した無意識的生存戦略なのである。


    7 Dr.タコの外来小咄(111)

     地元で密かに守り育てられてきた藤棚がSNSで紹介され、2万人が訪れる名所になったり、或る菓子舗のお餅を有名人が取り上げたら全国から注文が殺到して一ヶ月待ちになったり、ネット社会の反響は想像以上です。良いにつけ悪いにつけ、いつも誰かに見られてるかも、と思うと気を抜けないタコです。

    ◎わがままの~ままで~
    「私が使ってる薬の能書見てください『前立腺肥大症、緑内障の方は使用を控えて』、私は両方あるのでどうかと思って」
    「症状が悪化したんですか」「そうじゃないけど」
    「副作用は1%でもあると全て列挙します、吸入薬だから頻度は高くないですが、ご心配ならやめるしかないですね」
    「そうしてください」
    「息切れは悪化する可能性はあります、効果と副作用を天秤にかけて使いますのでね」
    「この健診結果も見てください」
    「中性脂肪と肝機能障害ですか、お酒飲みのパターンですけど、まずお酒休んで下さい」
    「えっ、それは無理です」
    「おわかりですね、薬の副作用を気にしてやめてと言うのに健診異常の原因は除きたくないとおっしゃる、それはわがままじゃないですか?」

    ◎オンしたらオフはない
    「私の病名はなんですか?」
    「アルコール性肝炎ですね」
    「いつ治りますか」
    「いまのまま禁酒していれば、3ヶ月くらいで正常値には戻るでしょう、でもお酒飲んでいいわけじゃないですよ」
    「えっだめなんですか?」
    「あたりまえでしょう、飲んだらまた元の木阿弥、だから治るの意味がビミョーです」
    「いまでもお酒薄めて飲んでるんですけど」
    「そんなことだろうと思っていましたけど、酒飲みの医者でもそこは譲れない」
    「百円以下ならまた万引きしていいよ」って刑事が言わないのと同じです

    ◎じつは自分暗殺
    「胸のレントゲンを撮りましたが異常はないようですね、でも少し”汚い”感じがします、タバコは吸いますか?」
    「ええ、まだやめられなくて」
    「では禁煙を後押しする情報です、2012年に煙草に放射性物質が含まれていることが指摘されました。ポロニウムといいスパイの暗殺に使われて有名になった物ですが、ウランの100億倍の放射能を持ちひどい内部被爆を引き起こします」
    「100億倍!最近わかったんでしょ」
    「いえ1968年に指摘されてます。除去できずに葬られてきた。予想通りこの話題もニュースになることもなく忘れられましたけどね」
    知らないうちに寿命を縮めている悲しい現実です

    ◎ハラハラにドキドキ
    「血糖値が今回又ぐっとあがりましたよ」
    「えっ、どうしてでしょう?」
    「食事は変わらないでしょうしねえ」
    「ええ、ダンナが野菜好きなので毎日ほとんど野菜ばっかりですよ」
    「じゃあ、どうして(身体が脂肪の塊みたいになるんでしょうねえ)」
    「おっしゃりたいことは承知です」
    「いえ、私は何も言ってませんけど」
    「そういうのドクハラ(ドクター・ハラスメント)ですわよ、病気で悩んでるのにひどいわ」
    ハラハラ(ハラスメント・ハラスメント=ハラスメントだと苦情を言う)ってないのかしらん

    +++++
    ドクター タコ 昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。


    8 FOCUS パーソン・センタード・ケア

     パーソン・センタード・ケアとは、認知症をもつ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアをおこなおうとする認知症ケアの一つの考え方です。この考え方は、イギリス生まれの臨床心理士、故トム・キットウッド氏が提唱した認知症介護の理念です。
     パーソン・センタード・ケアが提唱される前のイギリスでは、認知症高齢者について、「何もわからない人」「奇妙な行動をする人」という考え方で介護がおこなわれていて、相手の立場や想いを考えることなく、時間になればオムツの交換をし、施設のスケジュールで入浴介助をおこなうといった、流れ作業のような介護がおこなわれていました。
     しかし、当時、トム・キットウッドは自ら施設に出向き、そこにいる認知症高齢者を膨大な時間をかけて観察し、認知症高齢者を物のように扱ったり、「こんなこともできないのか」と見下したりする風土を、施設全体で変える必要があると考えました。
     そして、認知症高齢者が同じ行動をとるわけではなく、その人の生活歴や習慣、趣味や性格などの背景に着目し支援することで、悪化しているように見える認知症の状態も、改善できるかもしれないと考えたのです。
     目の前の認知症をもつ人々の行動や状態は、認知症の原因となる疾患のみに影響されているのではなく、その他の要因との相互作用であるという考えをキットウッドは以下のようにまとめました。
    (1)脳の障害(アルツハイマー病、脳血管障害など)
    (2)性格傾向(性格傾向・対処スタイルなど)
    (3)生活歴(成育歴、職歴、趣味など)
    (4)健康状態、感覚機能(既往歴、現在の体調、視力・聴力など)
    (5)その人を取り囲む社会心理(周囲の人の認識、環境など)
     例えば、朝から妙に落ち着かず歩き回っているのは、便秘や発熱などの体調不良が影響している場合があります。また、元々主婦だった女性が家に帰りたがるのは、食事の準備が気になるという生活習慣の影響があるかもしれません。様々な行動をすべて原因疾患のせいにしてしまうと、抑制するには薬しかないと考えがちですが、その他の要因を探っていくことで、ケアの力を発揮することが可能になると考えられます。
     認知症をもつ人々は、体のどこかが痛くても部屋が騒がし過ぎても、ただ不快感に襲われるだけで、その原因を言葉でうまく表現できない場合があります。その結果、大声を上げたり暴れたりするという手段でその不快感を訴えざるを得ないのです。その人の立場に立って状況を理解しようという姿勢で接するか否かによって、認知症をもつ人々の行動や現れる症状は良くも悪くもなることを知っておくことがとても重要です。


    9 認知症ミニ講座(39) 新オレンジプランとは (1)

     厚生労働省の認知症施策で「認知症の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らしを続けることが出来る社会を実現する」ことを目的に、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて策定されました。正式には認知症施策推進総合戦略といいます。認知症の人は2025年には約700万人にのぼると言われており、環境整備は重要なポイント。認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて、認知症という病気に対する啓蒙も含め、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を包括的にケアするための戦略です。
     
    新オレンジプランの中核である「7つの柱」を紹介します。

    1. 認知症への理解を深める為の普及・啓発の推進社会全体で認知症の人を支える基盤として、認知症について正しく理解
      し、身近な病気であることを実感しましょうという内容です。
       認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者です。市町村や職場などで実施されている「認知症サポーター養成
         講座」を受講した人が「認知症サポーター」となります。

    2. 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
       認知症は進行性の疾患であり、発症すれば一生つきあっていく必要があります。
       そのため、医療の現場、介護の現場など、それぞれ分断された個別の対応ではなく、進行状態に合わせてその時々の容
      態に最適な対応が受けられる環境が必要です。
       発症の予防から人生の最終段階まで、医療・介護だけでなく、地域や関係機関との有機的な連携を図り、適切なサービ
      スを提供できる循環型の仕組み構築を目指します。具体的には以下などが挙がっています。
        ・かかりつけ医、歯科医師、薬剤師、看護・介護職員の認知症対応力の向上と認知症サポート医の養成
        ・認知症の早期診断や支援を行う認知症疾患医療センター、認知症初期集中
        支援チームの整備・設置
        ・認知症ケアパス※1の発行
        ・全市町村に認知症地域支援推進員を配置

        ※1 認知症ケアパス:認知症ケアパスとは認知症の容態ごとにいつ、どこで、どのような医療・介護サービスが受
          けられるかを示したもの

    3. 若年性認知症施策の強化
       認知症は高齢者がかかるものとは限りません。働き盛りに発症した場合、仕事や子供の養育費など、経済的な問題も大
      きいでしょう。そんな若年性認知症に対し、若年性認知症のハンドブックを配布するほか、就労支援や居場所づくりな
      ど、社会参加を支援します。 (次号へ続く)


    10 あはきミニTopics 「診療ガイドライン」とは何でしょうか

     我が国では旧厚生省(現厚生労働省)の医療技術評価推進検討会(1998~1999年)の報告書を契機に科学的根拠(EBM :根拠に基づいた医療evidencebased medicine)に基づいた様々な疾患、症状に対する診療ガイドライン(以下 ガイドラインと記載します)が策定されてきています。また、この診療ガイドラインもエビデンスが積み重なることにより、数年に1度改訂されている現状があります。
     そこで今回から暫くは、我々あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が施術行為をおこなう上で非常に重要な「診療ガイドライン」について記させていただきます。
     そもそも「診療ガイドライン(以下 GL(Guide Line)と記載します)」とは何でしょうか。厚生労働省から委託を受けて、様々なGLの収集及び評価・公開をおこなっているMindsが発行する「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル 2017第1章診療ガイドライン総論(Minds ガイドラインライブラリ https://minds.jcqhc.or.jp/)」によると「現代医学の進歩はめざましい。世界中で最新の診断法、治療法、予防法の研究開発が進み、研究成果が論文として公表されており、そのような研究成果が一日も早く日常診療で実現されることが望まれる。また、最新・最善の医療の普及が進まずに、同じ疾患・病態であるにもかかわらず異なる医療の方法が並行して実施され、結果として、診療の質に無視できない格差が生じていることが懸念される場合もある。医師をはじめ医療者は教科書や学術雑誌を購読し学会に出席して、最新の研究成果の習得に努めるが、例えば、ランダム化比較試験(RCT)に限っても1年間に1万件近い新しい研究成果が論文として公表される現状では、個人の学習努力には限界がある。また、自己流の研究成果の解釈は恣意的な判断に陥りやすく、我が国の医療を必ずしも最善の方向には導かない。
     このような最新エビデンスと日常診療の乖離を改善すべく導入の促進が図られてきたのが、診療ガイドラインである。診療ガイドラインは、日常診療の質の向上を図ることを目的として、その時点で最新のエビデンスを元に、最善の診療方法を推奨として医療者に提示する文書として導入が推進されてきた。
     診療ガイドラインに第一に求められるのは、その信頼性である。第一線の医療者も患者も、診療ガイドラインが提示する推奨が信頼できると判断しなければ、それを活用しようとはしない。そして、診療ガイドラインの信頼性の源泉は、エビデンスに基づいて科学的な判断がなされていること、そして、作成プロセスに不偏性(unbiasedness)が確保されていて偏った判断の影響が許容範囲内にあることである。診療ガイドライン以外にも、専門書、診療支援システムなど、最新のエビデンスに基づいて作成される情報源は数多く存在するが、作成プロセスの不偏性という観点からは、診療ガイドラインに優るものはなく、診療ガイドラインは、診療の質の向上に不可欠な情報源である。1)」と説明されています。
     また、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書。1)」と定義付けされています。
     医学、医療行為は常に進歩しており、その効果の有る無し、受療者にとってその医療行為がどの程度有益または有害か等については、日々論文として蓄積されています。ですが1編や2編の論文では、その結果が臨床上本当に再現性があるのかを判断することはできません。そこで同種の内容の論文を一定数集めて、その結果を一定の基準で検証した論文が必要になります。更に前者のタイプの論文を一定数蓄積され再度一定の基準で検証されてはじめて、その論文群でFocusされている結果(医療行為の有効・無効、有害・無害等)について現時点でのエビデンスと呼ばれます。GLでは更にエビデンスに対して検証をおこない、臨床医、医療関係者、自治体、国民が利用可能な形体にしていく作業と成ります。
     あん摩マッサージ指圧業、はり業、きゅう業は経験の行為と考えられがちですが、これらも先人達の行為の蓄積に自己の行為の経験を重ね合わせて用いられていることが多いと思います。
     今後現代医学・医療と共に業を発展させていく必要がある我々の業界としては、日々進化していく現代医学のGLにも注視していく必要があると考えます。
     ただしGLはある症候、疾患の標準的な治療行為に対する有効性などを示しているもので、これを利用する医療職種の方々の臨床経験を否定するものではないことを付け加えさせていただきます。

    引用:1)小島原 典子(こじまはらのりこ)、中山 健夫(なかやまたけお)、森實 敏夫(もりざねとしお)、山口 直人
         (やまぐちなおと)、吉田 雅博(よしだまさひろ) 編集、「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」第
         1章 診療ガイドライン総論「1.3 診療ガイドラインとは」・p4 公益財団法人日本医療機能評価機構EBM 医療
         情報部.2017公益財団法人日本医療機能評価機構 Mindsガイドラインライブラリ
         https://minds.jcqhc.or.jp/


    11 厚生労働大臣免許保有証の申請受付が始まりました!

     無資格施術(せじゅつ)行為者との区別のためにあなたの免許を証明できる「厚生労働大臣免許保有証」を手にする1年に1度のチャンスです。
    【申請方法】
    1.https://skmsys.oitsk.jp/houserにアクセスし必要な登録をおこなって下さい。
    2.上記ページで登録終了後、「保有証」の「交付申請書」及び「写真貼付(てんぷ)用紙」をダウンロード、印刷して下さい。
    3.(公財)東洋療法研修試験財団ホームページの案内(http://www.ahaki.or.jp/doc3.pdf)を参照して、必要な書類を揃えて所属の都道府県師会に申請して下さい。

    ◇令和 元年度厚生労働大臣免許保有証の受付日程
    ●受付: 令和 元年7月1日(月曜)~8月31日(土曜)
    ●送付日:令和2年2月上旬送付予定
    まだ所有されていない方は必ず申請して下さい!


    12 インフォメーション 研修会・イベント開催予定

     各地での研修会・イベント情報をお知らせいたします。多くの方のご参加をお待ちしています。
    詳細・申込については各師会事務所へお問い合わせ下さい。(変更等がある場合もありますので事前にご確認下さい)
    なお、全鍼師会(ぜんしんしかい)HP:トップページ内「事務局より」もご参照下さい。

    月日、師会名、時間、場所、内容、一般参加、参加費、生涯研修単位の順番で記載

    7月7日・8日、東北ブロック(福島)、7日13時から8日12時、ホテルリステル猪苗代、脊柱管狭窄症の病態と治療、野口英世の研究から細菌学進歩の軌跡を探る、スポーツ鍼灸マッサージの効果を高めるための効果的な温泉療法、スポーツ鍼灸マッサージの研究発表、可、公開講座 無料、7単位
    7月7日、茨城、10時から16時、茨城県立盲学校    スポーツにおけるパイオネックスの使用、マラソンボランティア養成講座、可、会員2,000円会員外5,000円 学生1,000円 付添500円、6単位
    7月7日、石川、10時30分から12時30分、石川県立盲学校、加賀・三策塾可、無料、2単位
    7月7日、大阪、10時から15時40分、大阪府鍼灸マッサージ会館、保険取扱講習会、可、会員無料 会員外1,000円、6単位
    7月11日、神奈川、19時から21時、横浜市体育協会、各団体の活動内容の発表と相互理解、マラソンへの理解とケアコンディショニングブースにおける運営(横浜マラソン大会への初参加者必須研修)、可、無料、2単位
    7月12日、兵庫、13時30分から16時、垂水勤労市民センター、介護予防法と手技療法、可、無料、3単位
    7月13日、神奈川、8時から17時、パシフィコ横浜臨港パーク、フィールドにおける鍼灸マッサージケア、可、無料、5単位
    7月14日、秋田、13時から16時30分、大仙市エンパイヤホテル、美顔マッサージ、可、会員1,000円 会員外2,000円、4単位
    7月14日、奈良、9時から16時、橿原運動公園、全国中学校陸上通信奈良大会不可、無料、5単位
    7月14日、広島、11時から15時、広島市西区区民文化センター、経絡テストとM-Test、可、会員1,000円 会員外4,500円 学生2,000円(弁当代含む)、5単位
    7月14日、愛媛、14時から15時30分、愛媛県視聴覚福祉センター、アロマの基礎知識、精油の薬理作用、嗅覚反応分析について、可、会員1,000円 会員外3,000円 学生1,500円 一般1,500円、3単位
    7月14日、鹿児島、10時から15時(予定)、かごしま県民交流センター、災害とスポーツでの鍼灸師・マッサージ師の役割、可、会員・学生無料 一般1,000円、4単位
    7月21日、群馬、13時から15時、群馬県社会福祉総合センター、遺伝子の異常と肺がんについて、可、会員・一般3,000円 学生無料、3単位
    7月21日、東京、11時から17時、中野区産業振興センター、長野(ながの)教授の鍼術入門「唯掌論(ゆいしょうろん)と渾治法(こんちほう)」、可(要予約)、無料、6単位
    7月21日、石川、9時20分から12時30分、本多の森会議室、日本東洋医学会北陸支部夏季講演会、不可、3,000円、4単位
    7月21日、静岡、10時から15時30分、静岡医療福祉センター、在宅医療と鍼灸マッサージ師、うつ病に対する鍼灸マッサージ療法、可、無料、6単位
    7月21日、京都、13時から16時10分、交流プラザふくちやま、鍼・マッサージ手技療法、可、京都府師会会員500円 一般1,000円 学生500円、4単位
    7月21日、兵庫、10時30分から16時、ウイズあかし、認知症の最新医療、膝関節症の鍼灸治療、可、無料、6単位
    7月21日、愛媛、11時から15時、愛媛県立松山盲学校、スポーツドクターとして経験~ジュニアスポーツからオリンピックに至るまで~、可、会員1,500円 会員外有資格者3,000円 学生1,000円、4単位
    7月28日、神奈川、10時から17時、横浜市技能文化会館、耳の疾患~難聴・耳鳴り病因と治療法、ブロック代表者発表、オリパラの活動に向けて、可、神奈川県師会会員1,000円 会員外2,000円 学生500円、7単位
    7月28日、石川、13時30分から15時、白山市鶴来総合文化会館クレイン、第1回療養費適正指導研修会、不可、無料、2単位
    7月28日、島根、10時から15時、ライトハウスライブラリー、触れることの意味、不可、1,500円、5単位
    7月28日、山口、10時から15時15分、下関市立長府東公民館、災害時の鍼灸マッサージケアとその心得、可、有資格者2,000円(昼食込)一般無料、6単位
    7月28日、徳島、10時から16時15分、内町公民館、認知行動療法、可、会員2,000円 会員外4,000円 学生1,000円、7単位
    7月28日、佐賀、9時45分から14時30分、ほほえみ館、臨床に活かすM-Test~診断・評価・活用法~、可、会員3,500円 他師会会員3,500円 会員外10,000円 学生無料、5単位
    8月4日、岩手、10時から15時、アイーナ、鍼灸マッサージ県民公開セミナー2019、可、無料、6単位
    8月4日、山形、10時から16時30分、山形市山形テルサ、介護予防および災害支援について、スポーツ障害と鍼灸マッサージ、可、1,000円、7単位
    8月4日、福島、10時から15時15分(予定)、郡山市立中央公民館、地域健康つくり指導者研修会、可、無料、6単位
    8月4日、石川、10時30分から12時30分、石川県立盲学校、加賀・三策塾、可、無料、2単位
    8月4日、静岡、10時から15時30分、沼津労政会館、食と健康、五行論を意識した食生活、可、無料、6単位
    8月4日、大阪、10時から15時40分、大阪府鍼灸マッサージ会館、保険取扱講習会、可、会員無料 会員外1,000円、6単位
    8月4日、兵庫、10時30分から16時、ウイズあかし、肺癌の最新医療、生活習慣病に対する鍼灸治療、可、無料、6単位
    8月11日、福井、14時から16時30分、ハピリンホール、日本人の自然観と日本の風景美、可、無料、3単位
    8月11日、愛媛、10時~16時、松山市総合コミュニティセンター、鍼灸マッサージの日、可、無料、2単位
    ※研修単位は会員のみ


    13 News
    ・事務局移転
    (一社)山梨県東洋療法師会
    〒407-0044 韮崎市旭町上條北割2257
    電話&FAX:0551-22-3584

    ・新任師会長のご紹介 〈会長住所〉(6月24日現在報告)
    山梨県師会 澤登 拓(さわのぼりたく)会長
    〒409-3866 中巨摩郡昭和町西条1514
    電話:055-234-5031 FAX:055-234-5032

    ・新潟県師会 椛澤 知弘(がわさわともひろ)理事長
    〒955-0041 三条市三竹2-5-6 知倆庵
    電話 0256-35-3695

    ※前号の墨字版 新師会長のご紹介コーナー、富山県師会 宮西 和男(みやにし
    かずお)会長の施術所名は「宮西鍼灸治療院」です。訂正してお詫び申し上げ
    ます。


    14 協同組合ニュース

     梅雨の季節も終盤。和歌山県の南部(みなべ)地方では今年も梅の実が実りました。この日本一の梅を使った完熟南高梅(なんこうばい)(梅干し)は協同組合の人気商品の一つです。梅雨が明けると暑い夏。果肉が厚くジューシーな梅干しが、夏バテ予防にも役立ちます。
     お中元にお勧めなのが、一粒づつ丁寧に包んだ個包装タイプ。桐箱入りの豪華さもありご進物用に最適です。お中元に協同組合の梅干しをご利用になる会員さんも年々増えて参りました。またご自宅用には、お徳用タイプも用意しております。
    詳しくは、協同組合までお気軽にお問合せ下さい。ご注文をお待ちしています。
     お問合せ・お申込みは協同組合 購買担当まで
    TEL : 03-3358-6363 MAIL : jamm@jamm.or.jp


    15 編集後記

     普通、「二面性がある」と言われることはあまり良い意味ではないですよね。自分より上の人、強い人には媚び、逆の場合は上から目線で横柄になるといった表裏(おもてうら)、みんなの前ではカッコつけて八方美人、ところが気のおけない人だけになると、いない人の悪口を言う、家に帰ると地が出てだらしない、とか。でも、こんなことは自分も含めて、誰しも多かれ少なかれ持ち合わせていますよね。大半の人が人から良く思われたい、すかれたい、自分のすべてを他人に知られたくない、などと意識的にも無意識的にも動いていると思います。「二面性」というのは見方を変えると、人に合わせることが上手い、さまざまな場面に順応できる、協調性、柔軟性があるなど、結果的に高評価を得られることも多いので、単純に「マイナスイメージ」ばかりではありません。仕事とプライベートをしっかり分けることもそうです。普段は怖いくらい真面目で仕事ができる人でも、ふと可愛らしい仕草や笑えるような天然ボケを見せた時などは、その「ギャップ」に魅力を感じます。逆に、本当は実力があるのに普段はそれを隠し、いざと言うときに実力を発揮する「能ある鷹は爪を隠す」なんて人がいたら、カッコいいなとも思えます。多くの人は、いつも真面目であるからこそ、一人のときには自由奔放になる、といった反動、二面性が表れます。前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。人は、自分を一面的に見られていると、「浅くしか見ていない人だな」と感じるのですが、「あなたは一見○○(まるまる)な性格だが、真逆の△△(まるまる)な性格もある」と二面性を指摘されると、「この人は鋭い!」「私を本当に理解してくれるのは、この人だ!」と考えるようになるらしいです…。
    (広報IT委員長:廣野 敏明 ひろのとしあき)
    以上本文



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    *上衣はラグラン袖、背中にはセンタープリーツが入り、動きやすいデザイン
    です。
    *スラックスはツータック。
    *胸ポケットに治療院の刺繍もできます。(有料)
    ※サイズ(特SS・特M・特L・特LL)・値段等はお問い合わせ下さい。

    日本鍼灸マッサージ協同組合 TEL(03)3358-6363
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