2024.05.01 (水)会員の皆様月刊東洋療法

    月刊東洋療法360号

    月刊東洋療法360号(電子ブック版)

    月刊東洋療法360号(PDFカラー版)(5.06MB)
    月刊東洋療法360号(PDF白黒版)(3.22MB)

    *****

    目次

    1 令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました〈障害者差別解消法の改正〉
    2 業務及び会計監査終了
    3 令和6年度 定時総会開催のお知らせ
    4 第23回 東洋療法推進大会in徳島開催のご案内
    5 第17回 地域健康つくり指導者研修会報告
    6 令和5年度 スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会報告
    7 契約のトラブルに巻き込まれないために―消費者契約法―(続き)
    8 中医学コラム(4)
    9 Dr.タコのお気軽クリニック 「元気に長生きの秘訣」
    10 インフォメーション
    11 訃報
    12 協同組合ニュース
    13 編集後記

    以下本文


    1 令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました <障害者差別解消法の改正>

     令和3年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が改正され、令和6年4月1日からは
    事業者などによる障がいのある人への合理的配慮の提供が義務付けられました。障がいのある人もない人も、互いに認め合いな
    がら共に生きる社会の実現を目指しましょう。
    ●「障害者差別解消法」とは
     障がいを理由とする差別をなくし、全ての人が分け隔てなく、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につ
    なげるための法律です。合理的配慮の提供や、不当な差別的扱いの禁止が求められます。
    【障害者差別解消法改正のポイント】
    合理的配慮の提供:     行政機関 義務、 民間事業者努力義務→義務
    不当な差別的取扱い: 行政機関 禁止、 民間事業者 禁止
    ●「合理的配慮」とは
     合理的配慮の提供とは、障がいのある人から何らかの配慮を求められた場合に、社会的障壁を取り除くために、負担が重すぎ
    ない範囲で対応することを指します。
     負担が重すぎると判断した場合、障がいのある人にその理由を丁寧に説明し、別の方法を提案することも含め、柔軟に検討す
    ることが大切です。
    (合理的配慮の不提供の例)
    ・筆談による説明を求められたが、筆談をしなかった。
    ・レストランでメニューの読み上げを求められたが、読み上げをおこなわなかった。
    ・エレベーターやスロープがない建物へ入る際に介助を求められたが、介助をおこなわなかった。
    (合理的配慮の例)
    ・飲食店などで、車いすの人も利用できるようにテーブルやいすの配置を変更する。
    ・病院やホテルの待合室などで、聴覚障がいのある人を呼び出す時は、口頭ではなく座席まで呼びに行く。
    ・商業施設の案内所などで、知的障がいのある人などにわかりやすいように、フロアガイドにふりがなをつけて渡す。
    ・電話のみでおこなっている予約受付を、聴覚障がいのある人などのために、ファックスでもおこなえるようにする。
    ・視覚障がいのある人から署名などの代筆を頼まれた時、代筆可能な書類の場合は意思を十分確認してから代筆する。
    ・会議などで、障がいのある人の参加が事前にわかっている場合、障がいの特性に応じた資料の準備やサポートする同伴者の参
    加を検討する。

    「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」(内閣府)
    ★リーフレット (ファイル名:gouritekihairyo.pdf サイズ:1.78MB)
    ・障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト
    https://shougaisha-sabetukaishou.go.jp
    ・障害者差別解消に関する事例データベース(内閣府)
    https://jireidb.shougaisha-sabetukaishou.go.jp
    ※内閣府「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」内において、行政機関や事業者等の相談窓口に寄せられた「合
    理的配慮の提供」等の具体的な事例をデータベース化した「障害者差別解消に関する事例データベース」が開設されており、障
    がい種別や事例が生じた場面に応じて検索することができます。


    2 業務及び会計監査終了

     4月18日、令和5年度監査会が伊藤 徳也(いとうのりや)監事・常盤 和成(ときわかずしげ)監事と副会長4名によりお
    こなわれ、全鍼師会の事業及び財務関係はすべて承認され、監査を終了した。
    正味財産増減は次の通り。(財務委員会)

    ★令和5年(2023年)度 正味財産増減計算書
    前期正味財産    226,566,512円
    当期経常収益     70,734,653円
    当期経常費用     73,501,465円
    当期経常増減     △2,766,812円
    当期経常外収益     0円
    当期経常外費用     0円
    当期経常外増減     0円
    当期正味財産    223,799,700円


    3 令和6年度 定時総会開催のお知らせ

     定時総会を下記の通り開催いたしますので、任期中の代議員各位のご出席(※ハイブリッド形式)をお願い申し上げます。代
    議員には別途ご案内文書をお送りしていますので、ご対応をよろしくお願いいたします(事務局)
    ●日時 5月26日(日) 11時から15時 ※受付開始10時30分から
    ●場所 BIZ新宿(区立産業会館)多目的ホール ※ハイブリッド形式
    〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-8-2(※地下鉄丸ノ内線「西新宿駅」出口2より徒歩5分)
    ●内容 ・令和5年度事業報告・決算報告、令和6年度事業計画・予算、地方提出議案等
    【参考】連盟総会、協同組合総代会も同日同会場で開催予定です。


    4 第23回 東洋療法推進大会in徳島開催のご案内

    大会テーマ「新たな潮流・生み出す未来」
    令和6年度「第23回東洋療法推進大会」は、下記の通り徳島市で開催されます。
    今年度も、ハイブリッド形式にて、特別講演とシンポジウムを主体として企画しています。
    徳島の人は、よく「何もない」と言われていますが、そんなことはありません!
    「鳴門のうず潮」や「祖谷のかずら橋」をはじめ、日本百名山(ひゃくめいざん)のひとつ「剣山」、室戸阿南海岸国定公園な
    ど豊かな大自然に恵まれ、四季折々の景観が各地に点在しています。また、阿波おどり、阿波人形浄瑠璃、藍染めをはじめとす
    る伝統文化、おもてなしの心が伝わる四国遍路や、おいしい空気と水がはぐくむ山海里(さんかいり)の食文化など、多彩な魅
    力の宝庫です。そんな魅力いっぱいの徳島県、多くの皆様のご参加をお待ちしています!

    日程: 9月29日(日)・30日(月)
    会場: 徳島グランヴィリオホテル
    徳島市万代町3-5-1
    ※JR徳島駅から徒歩約20分。送迎バスも予定。
    内容:
    特別講演(1) 丸岡 いずみ(まるおかいずみ)氏
    徳島県出身 フリーキャスター(元日本テレビアナウンサー)
    NNNストレイトニュース・情報ライブミヤネ屋・news every等で活躍中
    うつ病、結婚、代理母出産、離婚と、様々なことを経験されてきたなか、東洋医学的な治療経験もあり、特別講演ではその時の
    経験も踏まえてお話していただく予定です。
    特別講演(2) 菅 万希子(すがまきこ)先生
    関西医療大学フェムテック寄附講座 特任教授
    鍼灸マッサージにおけるフェムテック、続編をお話しいただく予定です。
    シンポジウム 保険、無免許、将来ビジョン等、業界の課題についてご意見をお願いいたします。

    大会参加費:会員現地 10,000円 (WEB 3,000円)
    会員外現地 12,000円 (WEB 5,000円)
    学生(あはき養成校) 2,000円(WEB 1,000円)    
    ※あはき免許の無い介助者 無料
    申込開始: 6月以降(7月下旬締切を予定)
    ※詳細が決まりましたら、全鍼HPに随時発表いたします。                
    大会実行委員会


    5 第17回 地域健康つくり指導者研修会 報告

     3月9日、第17回地域健康つくり指導者研修会が開催されました。参加者は介護委員と研修参加者・認定講習者・各師会地
    域包括ケア担当者。(後日、期限付きアーカイブ配信)

     12時50分より開会式、13時より厚生労働省 老健局老人保健課 増田 利隆(ますだとしたか)先生による講義「介護保険
    の最新情報・介護保険の今後の動向 ~介護予防を中心に鍼灸マッサージ師が取り組むポイント~」。ここでは介護保険の現状と
    今後の取り組むべきポイントが話され「集いの場」の重要性や多職種連携の必要性などを学びました。
     次に、経済産業省 ヘルスケア産業課 藤岡 雅美(ふじおかまさみ)先生による講義「健康経営の推進とヘルスケア政策」で健
    康経営の考え方やその関わり方。
     続いて、第一生命保険株式会社 経営企画部 ヘルスサポート事業開発室 河合 信彦(かわいのぶひこ)氏より、第一生命グルー
    プの「『健康・医療』領域におけるwell-being向上に向けた取組について」講義を受け、企業におけるヘルスケアの現状と今後
    の展開について学びました。
     15時30分からは全国地域包括ケア担当者会議をおこない、各師会担当者と様々な意見交換がおこなわれました。一例とし
    て、平栗(ひらぐり)先生(福島県)からは、「地域健康つくり指導者の底辺を拡大し、地方でもどんどん認定者を増やしてほ
    しい。健康つくりも世間への周知が少なく、地域包括ケアシステムにも入ってない。先日、日赤で七尾市へ支援者支援にもおこ
    なってきたが、主に心のケアボランティアであった」や小泉(こいずみ)先生(沖縄県)「ケアマネや訪問マッサージ師として
    の活動の話、介護保険の総合事業で要支援の方々への参入のチャンスがあると思う。地域リハビリテーションなどでのミニデイ
    など公民館での活動も良いと思う」等。
    最後に、長嶺委員より「全鍼師会では健康経営・運動指導の2本柱でおこなっています。集団に対して一人で話をして運動指導も大変かと思いますが、今後は健康経営などが大事になってきますので、本会としてもより良い事例、情報を紹介しながら進めていきます」と総括がありました。
    迫りくる少子高齢化社会に対して、鍼灸マッサージ師の活躍が期待されていることを改めて感じることが出来る研修会でした。
                                          (介護委員長 狩野 裕治 かのうゆうじ)


    6 令和5年度  スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会 報告

     3月23日から24日、横浜市技能文化会館を会場にスポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会が開催され、現地参加延べ4
    4名・オンデマンド参加延べ78名の合計延べ122名が参加しました(学生・会員外含む)。内容は下記のとおりです。

    ★講習1日目
    第1部 eスポーツ「アスリート~地域活動」
    講師:スポーツケア委員 古田 高征(ふるたたかゆき)
    近年注目のeスポーツの現状、選手やゲームをする若者のケガや危惧される生活習慣についての報告とそれに期待される鍼灸
    マッサージ師の役割について。
    第2部 パラスポーツが築く「未来」
    講師:旭川医科大学病院 リハビリテーション部 主任理学療法士 塚田 鉄平(つかだてっぺい)先生
    理学療法士としてのパラスポーツとの関わり方、ご自身の住む北海道旭川市のパラスポーツへの取り組み等。
    第3部 スポーツへの関わり方
    講師:スポーツケア委員
    自身のトレーナー活動、大会でのケアボランティア企画運営まで等を発表。
    会場参加されていた松浦(まつうら)先生や戸中(となか)先生にも大会や行政への関わり方を発表していただいた。

      ★講習2日目
    第4部・第7部 テーピング実技
    講師:スポーツケア委員 朝日山 一男(あさひやまかずお)
    前半後半に分けてキネシオテープ・ホワイトテープを使い、上下肢へのテーピングの実技。会場ではベテランの先生方が学生や
    不慣れな先生へ指導する姿があちこちで見られた。
    第5部 グッドコーチの在り方
    講師:流通経済大学 スポーツ健康科学部大学院 スポーツ健康科学研究科 教授 黒岩 純(くろいわじゅん)先生
    グッドコーチのコーチングスタイルとして提唱されている「プレーヤーズセンタードコーチング」の考え方に沿った「4つのア
    プローチ(TELL指示・SELL提案・ASK質問・DELEGATE委譲)」を3人1組になり身体を動かしながら実践形式で学習。
    第6部 スポーツ現場におけるリコンディショニング
    講師:日本福祉大学 健康科学部 リハビリテーション学科 教授 小林 寛和(こばやしひろかず)先生
    身体に何らかの不具合を有してスポーツ活動を制限されている者を対象とするリコンディショニングを今回は特に運動機器の問
    題に対する内容について解説。また、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(J-PO-AT)の現状についても解説。
    今回は身体を動かす講義が多く、会場はベテラン・新人・学生が一緒になり和気(わき)あいあいとした空気の講習会になりま
    した。これから大きな大会がいくつもおこなわれるので、今回の学びを生かしてトレーナー活動に参加したいです。
                                      (スポーツケア委員 今泉繭子 いまいずみまゆこ)


    7 契約のトラブルに巻き込まれないために -消費者契約法-(続き)

    顧問弁護士 井上 雅人(いのうえまさと)

     前回は不当な勧誘によって契約内容を誤認したり、困惑して契約を結んでしまったとき、消費者契約法によってその契約を取
    り消すことができる場合を説明しました。そこに記載した「誤認」や「困惑」に該当する類型を読んでいただき、あのときの契
    約はこれに当たるんじゃないかと思われた方もおられるのではないかと思います。今回は、令和5年6月に施行された改正法
    (以下「改正法」と言います。)に規定された消費者を「困惑」させる場合の新たな三つの類型を紹介します(消費者契約法4
    条関係)。
     1つ目は、「退去困難な場所への同行」です。これは、契約の勧誘が目的だということを告げずに、退去することが困難な場
    所へ消費者を同行し、そこで契約を結ぶように勧誘することです。例えば、物を売りつけようとする目的を告げずに高齢者を山
    奥の温泉旅行に招待してマイクロバスで連れて行き、そこで事業者が高額の物品の購入を勧誘するような場合が考えられます。
     2つ目は、「威迫(いはく)する言動を交えて相談の連絡を妨害する」場合です。消費者が店舗等で契約の勧誘を受けている
    ときに、契約するかどうか判断に迷って家族や友人等に連絡をとりたいと言ったにもかかわらず、事業者が威迫(いはく)する
    言動(こんなことぐらい一々相談せずに自分で決めろ!と怒鳴るなど)により妨害することです。
     3つ目は、「契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にした」場合です。例えば、物干し竿の販売に来た業者
    が、その家の物干し台の長さに合わせて竿を切って元に戻せない状態にしてしまって代金を請求するような場合です。
     このように、悪徳商法はいろいろな手口を使って契約を結ばせようとするので、法律の内容に当てはまらない場合が出てくる
    ため、改正によって新たな内容が追加されてきました。
     次に、消費者契約法が、消費者の利益を不当に害する契約条項を無効としていることについてお話しします。事業者と消費者
    との間には情報の質や量、交渉力に大きな差があるため、事業者の損害賠償の責任を免除する条項(事業者は一切責任を負わな
    いとする条項や、自社に過失があることを認めた場合に限り損害賠償責任を負うとする条項など)は無効としています(同法8
    条)。また、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等(平均的な損害の額を超える高額のキャンセル料を支払わせる条項
    など)は無効としています(同法9条)。さらに、消費者の利益を一方的に害する条項も無効とされています(同法10条)。
     例えば、どんな理由があっても一切キャンセルできないとする条項などです。この10条によって契約の条項が無効とされた
    裁判例としては、賃借人に自然損耗等の原状回復義務を負担させる特約条項、入学辞退者に対する入学金不返還の特約条項、敷
    金の敷引き特約条項などがあります。
     これらに加えて改正で追加されたのは、事業者が免責される範囲が不明確な条項を無効とすることです(同法8条3項)。例
    えば、「事業者は、法令上許される限り、賠償限度額を○(まる)万円として支払います。」というような条項です。一見する
    と問題がないように思われますが、法律の専門家ではない消費者には分かりにくく、消費者が賠償請求できる場合にも請求をあ
    きらめてしまうおそれがあるので無効になると考えられます。
     その他、改正法では、契約を結ぶときだけではなく、解除をしようとする時についても、事業者は消費者の求めに応じて、解
    除できる場合にあたるかどうか、その手続の方法など、必要な情報を提供するように努めなければならないことになりました
    (同法3条)。
     最後に、消費者契約法が適用されるのは、消費者と事業者との間の契約です。事業者には会社その他の団体、個人事業者(事
    業として又は事業のために契約当事者となる場合)も含まれます。契約をしてしまった後で、なぜこんな契約をしてしまったの
    だろう、契約しなければよかったと思うこともあります。そのような場合の全てがここで説明した取消や無効の類型のいずれか
    に該当するということではありませんが、気になる場合は各地の消費生活センターに問い合わせてみるとよいでしょう。また、
    消費者庁のホームページにも色々な情報が掲載されているので参考にして下さい。


    8 中医学コラム(4)

    北京中医薬大学国際学院 名誉顧問・名誉主任 梅野 弘樹 (うめのひろき)

      梅野(うめの)先生は、北京に本拠地を置く世界中医薬学会連合会常任理事として、「黄帝内経(こうていだいけい)研究会
    (毎週)、「中医学(ちゅういがく)講座」(隔月)、「太極拳教室」(毎月2回)を通して、日本での中医学普及に努めてお
    られます。
    連絡先:shiga-skm-shikai@leto.eonet.ne.jp 電話:(077)526-4199 (077)523-4114

     さて般若心経(はんにゃしんぎょう)の全文を筆者流に訳すと次のようになる。原文をそのまま訳すると、難解な文章が続い
    てしまうので、ここは敢えて筆者が元のニュアンスから大きく離れない程度にとびきり簡単に訳してみた。

     ≪今から仏様が説かれた偉大な般若心経の話をしてみたいと思う。
     観世音菩薩がこの世の真理を追究した結果、ある1つの真理に到達した。それはこの世は5つのものから成りたっているとい
    うことである。この5つを五蘊(ごうん・色受想行識)と呼ぶ。「色(しき)」とは物質、「受(じゅ)」は感覚、「想(そ
    う)」は想像、「行(ぎょう)」とは意志、「識(しき)」とは認識のことである。
     しかしその五蘊は全てが「空(くう)」だということも分かった。つまりこの世に存在する全てのものは空なのである。
     この悟りによって、私はこの世の全ての苦しみや災厄から逃れることができた。この世の全てが空なので、たとえ形があるよ
    うに見えても、実際は空であり、逆に空だからこそ形になり得るのである。空が見えるものに変化したもの、それが物質なのだ
    と言い換えると分かりやすいかもしれない。
     もちろん物質だけではない。我々の心の中にある受(感覚)、想(想像)、行(意志)、識(認識)もまた、永久に存在しな
    い空なのである。
     この世の全てが空なので、新しいものが生まれることもなく、消えて無くなることもない。
     増えることもなければ、減ることもない。
     見えるものもなければ、見えないものもない。
     迷いもなければ、迷いがなくなることもない。
     老いや死もなければ、老いや死がなくなることもない。
     苦もなければ、苦の原因もない。
     苦をなくすこともなければ、なくす方法もない。
     四諦(したい・仏教が説くこの世の4つの真理)と言われる苦諦(くたい・人生は苦である)、集諦(しゅうたい・苦の原因
    は執着である)、滅諦(めったい・執着を絶つこと)、道諦(どうたい・悟りに至るために為す正しいおこないのことで、八正
    道(〈はっしょうどう〉という)すらない。
     真実を見極めることもなければ、真実を得ることもない。
    人間は物質や知識を問わず、さらに多くのものを得たいという欲望の中で毎日を生きているが、実は一生をかけて得られること
    なんて何もないのだ。
     したがって、この世で得ることもなければ、失うこともないのである。
     般若心経によってこの世の真実を理解することができれば、邪心によって心を奪われることがない。これこそが人生の悟りで
    あり、だからこそ未来に対して恐れない堂々とした生き方ができるのである。
     あなたが過去、現在、未来どころか、前世、現世、来世、どこにいても、この世の真実はこの般若心経に書かれていることに
    尽きる。
     あなたもこの般若心経をよく理解し、そして実践しなさい。般若心経は偉大な教えであり、人生の光明を照らしてくれる教え
    である。まさにこれ以上のものはない。
     般若心経こそが全ての苦を取り除いてくれる教えであり、一点の曇りもないこの世の真実なのである。
     さぁ、みんなで般若心経独特の呪文を唱えて、般若心経に書かれていることを実践しよう!
    〝羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提僧莎訶″(ぎゃーてい ぎゃーてい はらぎゃーてい はらそうぎゃーてい ぼーでぃそわか)
    以上で般若心経を終わります≫
     いったい何人の勇敢な僧侶が、民衆を苦から救うことができる教えが西方にあると聞いて、現在の中国からインドへ旅立った
    のだろう。成功したのは玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)ただ1人。
     グーグルマップで調べてみたが、玄奘三蔵が旅立ちのスタート地点にした河南省洛陽から、ゴール地点である印度東方までの
    直線距離は約3,000km。実際は直線距離で旅することはできず、かなり遠回りしたので、玄奘三蔵が歩いた距離を想像する
    と気が遠くなる。
     途中で山賊に襲われることもあっただろう。襲ってくるのは人間だけではない。獣や毒を持つ虫、それに細菌やウィルスとも
    戦わなければならない。
     夜は全く灯りがないし、冬にはコートもない。食糧も現地調達しないといけないし、水道設備の無い時代、どうやって水分補
    給したのだろうか。
     道案内の人間1人と、馬1頭だけの孤独な旅である。
     我々がこの般若心経の内容を信じるか否かは個人の自由に委ねられている。しかしたとえ一日だけでもいい。般若心経の教え
    にしたがって生きてみてはいかがだろうか。
     たとえどんな病になっても、治らない病なんてものはない。なぜなら元々我々人類はどんな病に対しても治癒できるだけの能
    力が備わっているからである。だから悩む必要がない。…と心に想いながら。


    9 Dr.タコのお気軽クリニック 「元気に長生きの秘訣」

     春・秋の農繁期はもちろん、雪かきの必要な冬にも、肩・腰の痛みや疲れを訴えて医院に来られる方が増えます(幸い今季は
    だいぶ雪が少なくて助かりました)。鎮痛剤の処方や注射を希望されるかたも多いのですが、それらはあくまで対症療法です。
     痛みに目をつぶっているだけで原因が消えたわけではないので、よけい無理をしてしまうということにもなりかねません。

     周囲にある温泉に通うのも非常によいことですが、意外と敬遠している患者さんが多いようです。温泉通いをしている方は病
    気知らずなのかもしれませんね。
     痛みや怪我の予防策として、農作業や雪かきの前後にはストレッチをしましょう。体を温めてから、ゆっくりと筋肉・すじを
    のばします。意識して行えば労働も運動に変えられます。子供の頃教えられたラジオ体操も、大人が続けないのはおかしなこと
    ですよね。テレビ体操も画面を眺めているのでなく一歩踏み出して自ら体を動かしましょう。
     骨粗鬆症は、転倒から骨折をきたして寝たきりの第一歩になります(最近はフレイルともいいます)。タコは老人ホームの嘱
    託医もさせていただいていますが、入所者が転倒した、ベットから転落した、はては知らないうちに骨折していました、そんな
    ことは日常茶飯事です。それがきっかけで、介護度が悪化することも非常に多いのは残念なことです。
     転倒防止には、住宅や町の整備改修も必要ですが、もっと簡単で効果が上がるのは、自らの筋力・柔軟性・平衡感覚を高め
    て、転びにくい体になることです。これは若い頃からの継続した取り組みが必要です。
     歩行するスピードは高齢者の自立能力をよく反映し、速く歩ける人ほど元気で長生きができるとされます。ふだんからの
    ウォーキングが大切です。田舎は散歩コースが豊富ですが、自動車に頼る分、都会人より歩かない人も多いのです。タコのいる
    県は歩く歩数は最下位で肥満度がトップという統計があります。東北三県は歩数で日本のワースト3に入っていることがこれを
    証明しています。
     さらには筋肉を鍛える運動も必要で、腰や膝の痛みの予防や改善にも有効です。筋肉トレーニングでからだの抵抗力を高め
    て、病気を減らし医療費も減らそうという方向に向かっています。財務省が絡むとちょっといやらしいんですけど。
     忘れてならないのは十分な水分補給です。歳をとるに従いのどの渇きにまかせて飲んでいるだけでは、体が必要としている量
    よりも不足しがちになります。塩分摂取が多い人は脱水になりやすいので、意識して水分を摂りましょう。
     脱水は血液の循環を悪くして脳梗塞の一因にもなります。どろどろ血の解消のためにも水は薬より安くて有効です。頻繁に少
    しずつ補給する習慣をつけましょう。まず一日2リットルが目標です。皆様は食事の際にお茶をいっぱいがせいぜい、なので一
    リットルにも足りません。朝起きたら一杯、トイレに行ったら一杯、入浴前に一杯、風呂上がりに一杯、寝る前に一杯です。手
    元にペットボトルを一本置いて、ちょこちょこ飲むのがおすすめです。
     夏には熱中症予防として水分補給が勧められますが、実は冬場でも脱水には注意が必要です。皆さんこたつや電気毛布で体を
    温めています。これは電子レンジに入っているようなもの、乾燥している上に寒いのでと、意外と水分補給が疎かになりがちで
    す。また肌の痒み(かゆみ)を訴えられる方も多くなりますが、原因の一つはやはり脱水です。保湿クリームを処方しますが、
    やはり水分が足りない方が多いです。
     この時期には何だか便(べん)が固くなって出にくいんですという訴えも増えます。これもおそらくは脱水が一因と感じま
    す。水分不足の場合、体は排出物から水分を回収する方向になります、つまり腸排出物=便から水分を回収→便が固くなる、腎
    臓排出物=尿から水分を回収→尿量の減少、という症状です。
     高齢者では喉の渇きに気づきにくいという特性があります。脱水の兆候としては、尿量が減る・舌が渇く・立ちくらみがする
    などですが、これは実は危険なレベルです。「元気に長生きが」一番です。高齢者と括られがちですが、そのうち認知症・介護
    が問題となるのはじつはその2割なのです。弱者という片寄ったイメージを払拭すべくアピールしていきませんか。おこがまし
    いですが人生の先輩としての誇りを持ち、後輩に範を示すという、本来の高齢化社会を招来しようではありませんか。
    +++++
    Dr.タコ
    昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。


    10 インフォメーション 研修会・イベント開催予定

     各地での研修会・イベント情報をお知らせいたします。多くの方のご参加をお待ちしています。詳細・申込については各師会
    事務所へお問い合わせ下さい。(変更・中止等がある場合もありますので必ず事前にご確認下さい) なお、全鍼師会(ぜんしん
    しかい)HP:トップページ内「全鍼ニュース」もご参照下さい。

    月日、師会(しかい)名、時間、場所、内容、一般参加、参加費、生涯研修単位の順番で記載
    5月5日、石川、10時30分から12時30分、石川県立盲学校【ハイブリッド】、加賀・三策塾、可、無料、2単位
    5月12日、福島、9時から15時、白河市 関川寺(かんせんじ)敷地内道場、東日本大震災における東洋医学による医療活
    動、健康寿命を延ばすには!、可、無料、7単位
    5月12日、奈良、13時30分から15時30分、Zoom、プライマリー・ケアと家庭あはき学―家庭あん摩マッサージ師、
    家庭鍼灸について~、可、4,000円/回 ※HPで要確認、2単位
    5月12日、島根、13時30分から16時30分、ホテル武志山荘、腸内細菌から漢方薬をサイエンスする~茵蔯蒿湯(いん
    ちんこうとう)~、可、1,000円、5単位
    5月26日、石川、9時から17時、新神田公民館、新神田ソフトボール大会ボランティア、不可、無料、5単位
    6月2日、石川、10時30分から12時30分、石川県立盲学校【ハイブリッド】、加賀・三策塾、可、無料、2単位
    6月2日、岩手、10時から15時30分、アイーナ【ハイブリッド】、保険関係の最新情報、マイナ保険証及びアプリ取扱い
    講習会、臨床研究発表、「アトピー性皮膚炎に対する小児はりの一症例、不可、1,500円、5単位
    6月9日、福島、10時から15時15分、郡山市 橘地域公民館、鍼灸マッサージ業界の動向と展望について、保険取扱適正指
    導研修会(改正点の説明と新申請書記載法)、可、無料、6単位
    6月16日、愛媛、10時から12時、松山市総合コミュニティセンター【ハイブリッド】、第1回青年女性基礎セミナー 婦人
    科疾患(基礎理論、弁証〈べんしょう〉、配穴(はいけつ)まで)~女性の生理周期に合わせた体調管理~、可、会員・学生無
    料 日鍼会(にっしんかい)会員2,000円 他有資格者5,000円、2単位
    6月16日、鹿児島、10時から15時、かごしま県民交流センター【ハイブリッド】、婦人科・不妊治療、マッサージ理論・
    実技(仮)、可、3,000円、5単位
    ※研修単位は会員のみ


    11 【訃報】

     当会会長 伊藤 久夫(いとうひさお)儀、令和6年4月14日午前10時35分、享年72歳にて永眠いたしました。ここに
    生前のご厚誼に心より感謝し謹んでお知らせ申し上げます。
     葬儀は家族葬を以て終えており、故人の意向によりご厚志については固くご辞退申し上げます。なお、当会といたしまして
    「お別れの会」を7月頃に予定しております。


    12 協同組合ニュース

    スイカの季節がやってきました
    毎年大好評の「富里スイカ」。全国的に有名なブランドスイカです。中でも、平成25年に千葉県知事賞を富里市で唯一受賞した農場で生産された最高品質のスイカを、今年も格安の組合員価格で提供させていただきます。
    申込受付:令和6年5月1日から6月末日
    発送期間:令和6年5月下旬から7月上旬予定
    料金(税込):    L玉、1個3,100円、2個6,200円
    2L玉、1個3,400円、2個6,800円
    3L玉、1個4,000円、2個8,000円
    送料は下記表参照
    千葉1,350円/北海道1,930円/東北・信越・北陸・東海・関東(千葉以外)1,450円/近畿1,550円/中国・四国1,680円/九州1,930円/沖縄2,080円
    お申込み・詳細は
      日本鍼灸マッサージ協同組合
      HP https://www.jammk.net
      E-mail jamm@jamm.or.jp TEL 03-3358-6363


    13 編集後記

     令和3年に障害者差別解消法が改正され、4月から事業者による障がい者への合理的配慮の提供が努力義務から義務に引き上
    げられました。現在の日本では、16人に1人が身体や心に障がいを抱えていると言われています。日常・社会生活における設
    備やサービスの中には、障がい者にとっては利用が難しく、結果的に活動などが制限されてしまうことがあり、義務化は障がい
    者との共生社会を目指すうえで、大きな一歩になるのではないでしょうか。障がいは十人十色(といろ)。困っている部分は違
    うけれど、一人ひとりの正しい理解を進めて誰もが生き生きと暮らせる社会になるために、合理的配慮は欠かせません。
                                          (広報IT委員 中川 紀寛 なかがわとしひろ)

    以上本文


    以下広告
    ◇学校法人呉竹学園
    伝統と歴史を刻み、進化する未来へ。
    呉竹学園は、時代に適応した人材を育成し、社会に貢献する努力を続けます。
    2026年 呉竹学園は創立100周年を迎えます

    東京呉竹医療専門学校 旧校名:東京医療専門学校
    横浜呉竹医療専門学校 旧校名:呉竹鍼灸柔整専門学校
    大宮呉竹医療専門学校 旧校名:呉竹医療専門学校

    ◇鍼電極低周波治療器 KANAKEN
    Lasper-A・MC ラスパーA・MC
    ■2つの波による鍼通電
    ・第1の波 Lasper Wave
    ・第2の波 MC Wave
    ■鍼電極低周波治療器+マイクロカレント
    マイクロカレントは実績のデュアルクロス通電方式
    ラスパーA・MC
    KE-600 65,000円(税込75,900円)
    [クラスⅡ/特管] 認証番号 230ALBZX00034000

    総発売元 株式会社カナケン
    本社: 〒225-0002 神奈川県横浜市青葉区美しが丘2-17-39
    TEL_045-901-5471(代)
    FAX_045-902-9262
    オンラインショップ http://e-kenkou.jp/
        E-mail info@kanaken.co.jp
    大阪営業所:TEL_06-6935-3016(代)
    FAX_06-6935-3017
    新潟営業所:TEL_025-286-0521(代)
    FAX_025-286-8870
    福島営業所:TEL_024-961-7211(代)
    FAX_024-961-7221
    仙台出張所:TEL_022-287-6273(代)
    FAX_022-287-6218

    ◇全鍼師会(ぜんしんしかい)

     110番補償制度 好評発売中!
    会員の先生方が、安心して日常の業務に専念いただけるよう、不慮の施術事故をはじめ院内施設の不備や日常生活中の事故により損害賠償責任を負った時に、その損害をお支払いするものです。
    ※会員以外の方は加入できません。(更新日6月1日、中途加入もできます。)

    ・掛金と補償額についてはお問合せ下さい。

    お問合せ:日本鍼灸マッサージ協同組合
    TEL:(03)3358-6363
    ■元受保険会社 三井住友海上火災保険株式会社
    万が一の収入減を補償する所得補償保険やおケガや病気に備える団体生活総合補償保険も募集しています。是非ご活用ください。(更新日8月1日、中途加入もできます。)

    以上広告


    発行所 〒160-0004 東京都新宿区四谷 3-12-17
    全鍼師会(ぜんしんしかい)会館内
    公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
    TEL.03-3359-6049 FAX.03-3359-2023
    全鍼師会(ぜんしんしかい)
    ホームページURL  https://www.zensin.or.jp
    E-mail   zensin@zensin.or.jp
    協同組合
    ホームページURL  https://www.jammk.net/
    E-mail    jamm@jamm.or.jp
    名称   鍼灸マッサージ情報誌  東洋療法
    代表者   伊藤 久夫(いとうひさお)
    郵便振替 00160-8-31031
    銀行口座 りそな銀行 新宿支店 普通口座 1717115
    名義/公益社団法人  全日本鍼灸マッサージ師会
    発行人   伊藤 久夫(いとうひさお)
    編集人/広報IT委員長 廣野 敏明(ひろのとしあき)
    購読料   年1,800円  〒共

    口座名のフリガナは「シヤ)ゼンニホンシンキユウマツサージシカイ」となります

    以上