2025.11.01 (土)会員の皆様月刊東洋療法

    東洋療法369号

    東洋療法369号(電子ブック版)

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    東洋療法369号(PDF白黒版)(2.53MB)

    目次

    *****

    1 第24回東洋療法推進大会in石川 開催 大会テーマ「ささえあい つながり 共に生きる!」
      復興途上の石川に延べ624名が参集!
    2 居住サポート住宅制度について
    3 スポーツケア委員会 活動報告
    4 Dr.タコのちょっとエッセイ 「道具は上手に使って」
    5 京都府鍼灸マッサージ師会附属治療院 京都府庁内に開設
    6 中医学コラム(11)
    7 スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会のご案内
    8 インフォメーション 研修会・イベント開催予定
    9 News
    10 年末年始の休館のお知らせ
    11 協同組合ニュース
    12 編集後記

    *****

    以下本文

    1 第24回 東洋療法推進大会in石川 開催

    大会テーマ「ささえあい つながり 共に生きる!」
    復興途上の石川に 延べ624名が参集!
    【写真:開会式・会長・石川県師会長・ビデオメッセージ】

     全国の鍼灸マッサージ師が一堂に会する東洋療法推進大会が、9月28日・29日石川県金沢市「金沢東急ホテル」にて盛大
    に開催された。
     初日の9月28日、開会式が厳かに執りおこなわれ、長嶺 芳文(ながみねよしふみ)会長は「開会の挨拶」の中で、永年にわ
    たり本会を支えてくださった関係各所への感謝とこれからの東洋療法の発展と社会的役割の重要性について熱く語られた。
     続いて、石川県師会 常盤 和成(ときわかずしげ)会長より開催地を代表してのご挨拶があり、昨年被災した石川県での開催
    に至った経緯と活動状況、県内のあはきの現状と課題を紹介。地元に根差した東洋療法の重要性を強調された。
     ご来賓祝辞では、徳田 博(とくだひろし) 石川県副知事(馳 浩 はせひろし 知事 代理)より、県民の健康と福祉における鍼
    灸マッサージの意義、今後のさらなる活躍を期待する旨の力強い御祝辞を頂戴した。また、自見(じみ)はなこ参議院議員、釜
    萢 敏(かまやちさとし)参議院議員、日本医師会 松本 吉郎(まつもときちろう)会長からはビデオメッセージにて祝辞を、臼
    井 正一(うすいしょういち)参議院議員、福岡 資麿(ふくおかたかまろ)厚生労働大臣からも祝電・祝辞をいただいた。それ
    ぞれ、東洋療法の持つ可能性と重要性について温かい言葉が寄せられ、大会の成功を祈る旨が述べられた。
     最後に、往田 和章(おおたかずあき)副会長より閉会の挨拶があり、多くの来賓や関係者に対する謝意を述べるとともに、本
    大会が実りあるものとなるよう、今後のプログラムにも期待を込められた。
                                         (理事 郷田 大介 ごうだだいすけ)

    ●第24回 東洋療法推進大会in石川

    ■東洋療法推進大会in石川 開催お礼
    【写真:常盤(ときわ)会長】

     「東洋療法推進大会in石川」の開催に際し、全国の会員の皆さまのご支援とご協力により、多くのご来賓ならびに関係者の皆
    さまのご参加もいただき、盛会のうちに終了することができました。今大会は、能登半島地震の経験から学びを共有したく大会
    を開催いたしました。「ささえあい・つながり・共に生きる」をテーマに地域医療とこれからの東洋療法の発展を目指す決意を
    新たにしました。大会が無事に開催されましたことをあらためて皆さまに感謝申し上げます。
    (公社)石川県鍼灸マッサージ師会 会長 常盤 和成(ときわかずしげ)
    ※【オンデマンド】全鍼師会(ぜんしんしかい)HP 大会ページ内にて11月1日から30日配信。

    ■【県民公開講座】 災害シンポジウム・特別講演・ディスカッション
    【写真:講師の皆様】

     石川県開催で意味を持つ「令和6年能登半島地震 災害支援鍼灸マッサージ活動」の報告。シンポジウム「DSAMと石川県両師
    会の連携」をDSAM代表 是元 佑太(これもとゆうた)氏、「初期対応の重要さ」を県師会 田中 良和(たなかよしかず)副会
    長、「活動詳細」を県鍼灸師会 定池 寿(さだいけひさし)会長、「アセスメント活動」についてDSAM副代表 仲嶋 隆史(なか
    じまたかし)氏が語った。
     特別講演「地域医療再生と支援~JMAT活動を通じて~」を石川県医師会JMAT調整本部長の齊藤 典才(さいとうのりとし)先
    生が講演。ディスカッションも災害協定締結や活動裏話等あり、最後に顔の見える関係構築で災害発生時には、JMATや石川県両
    師会と協力し支援することで恩返しができればとの言葉もあり気づきの多い講演となった。
                                          (石川県師会 田中 良和 たなかよしかず)

    ■【特別講演】「フェムテック-伝統的医療技術と最先端のAI技術の融合による女性の健康問題を解決」
    【写真:菅(すが)講師】

     フェムテック領域における鍼灸マッサージの活用とデジタルトランスフォーメーション(DX)の戦略について、菅 万希子
    (すがまきこ)先生より提言がなされた。
     先生は、単なる製品販売ではなく、患者とのコミュニケーションや信頼関係を基盤とした仕組みづくりの重要性を強調。具体
    的には、施術前後のアンケートや表情分析を取り入れたアプリを通じ、施術効果を数値化・可視化することで患者自身が実感
    し、治療の継続につながることが示された。さらに、匿名化されたデータを研究や技能向上に活用することで、業界全体の発展
    に寄与する好循環を目指すとしている。フェムテックをウェルビーイング実現の手段と位置づけ、女性患者と女性鍼灸師双方の
    幸福度向上に貢献する展望が示された。
                                             (理事 向井 陽子 むかいようこ)

    ■【保険講演】「令和8年度あはき療養費の料金改定に向けて」
    【写真:往田(おおた)委員長】

     オンライン資格確認の導入率は7月時点で51.1%と低く、未導入の施術所は行政指導や受領委任登録取り消しの重大なリス
    クに直面している。令和8年療養費改定は賃上げ・物価高騰対策が中心だが、抜本的改正はなし。約7割を占める個人事業主は
    国の賃上げ政策の直接対象外で、所得格差拡大が懸念される。マッサージの包括化や鍼灸の保険適用課題は未解決。協力金申請
    は9月30日まで、10-11月には賃上げ・訪問施術の実態調査アンケートが実施される。
                                          (保険委員長 往田 和章 おおたかずあき)

    ◆懇親会
    【写真:芸妓衆】

     1日目プログラム終了後、懇親会が開催された。
     開会すぐに、金沢ならではの華やかな芸妓衆の演舞が披露され、会場を彩り参加者を魅了した。伝統文化に触れる機会は、特
    別な思い出となった。
     開会にあたり、石川県師会 常盤(ときわ)会長より主催者代表の挨拶があり、遠方からの参加への感謝と、東洋療法のさらな
    る発展に向けた強い思いが語られた。続いて、ご来賓の皆様から心温まる祝辞を賜り、いずれも、地域医療における東洋療法の
    役割や期待、診療報酬等の政策の意気込み、鍼灸マッサージ災害支援活動のお礼を述べられ、参加者一同が改めてその使命を胸
    に刻んだ。乾杯の発声は、次回開催地の北海道師会 水上(みずかみ)会長によりおこなわれ、会場は大きな拍手とともに華やか
    に開宴した。和やかな雰囲気に包まれた会場では、北陸の旬の料理や地酒がふるまわれ、各地の取組みや業界の課題について活
    発に意見交換がおこなわれ、会場内では久々の再会を喜ぶ声、新しい出会いに笑顔を交わす姿があちこちに見られ、まさに「つ
    ながり」と「絆」をさらに強める契機となった。
     狩野(かのう)副会長による中締めの挨拶、最後は尾野(おの)副会長の閉会の言葉により、盛会のうちに幕を閉じた。今回
    の懇親会は、全国から集った仲間が互いに励まし合い、地域や立場を超えて心を通わせる貴重な機会となった。
                                            (理事 郷田 大介 ごうだだいすけ)

    ■【シンポジウム(1)】 組織・将来ビジョン等検討委員会
    【写真:会場風景】

     将来ビジョンの討議では、会員数の減少を危機として共有し、現会員・潜在有資格者・学生・若年層の4層へ働きかける方針
    が示された。稼げる業界像を発信し、SNSや動画で魅力を伝えること、若手交流やメンター制度、学生実習やヘルスキーパー連
    携、スポーツ・災害・海外活動の拡大、企業との協業などを推進。各師会の成功事例を学び合い、一人1名勧誘や定期調査を通
    じて、業界全体を持続的に発展させる道を描いた。
                                  (将来ビジョン等検討委員長 北川 裕基 きたがわひろき)

    ■【シンポジウム(2)】 法制委員会
    【写真:会場の様子】

     例年同様、法制委員会としてシンポジウムを開催。厚生労働省 医政局 医事課 栁田 聡(やなぎたさとし)医事専門官をお迎え
    し、「続・広告ガイドラインと無免許問題」と題しておこなわれた。最初に、厚生労働省から現状の報告があり、続いて各師会
    から保健所等との協議内容について報告をいただいた。全鍼師会として、まずは自分達の襟を正すことから始め、無免許対策に
    関しては、連携体制を確立していかなければならない。ここからがスタート。みんなで力を合わせて頑張っていきましょう。
                                         (法制委員長 森 孝太郎 もりこうたろう)

    ■【閉会式】
    【写真:大会旗、集合写真】

     2日間にわたり開催された第24回東洋療法推進大会in石川は、9月29日、閉会式を迎えた。大会を主催した石川県師会 常
    盤(ときわ)会長より大会総括がおこなわれ、関係者の尽力と全国から集った参加者への感謝の言葉が述べられた。
     続いて、石川県から次期開催地の北海道へと大会旗が手渡され、北海道師会 水上(みずかみ)会長が、北海道の地で東洋療法
    推進のさらなる飛躍を実現していく決意が表明された。
    ◇第25回東洋療法推進大会in北海道◇
    日程:2026年10月18日(日)から19日(月)
    会場:京王プラザホテル札幌 開催予定
     最後に、長嶺(ながみね)会長より閉会の挨拶があり、石川県での大会が実りある成果を残せたことへの感謝と、次回に向け
    てのさらなる発展を願う言葉で締めくくられた。
     参加者一同、次回の北海道大会での再会を誓い帰路についた。
                                           (理事 郷田 大介 ごうだだいすけ)

    ◆臨床研究発表 【オンデマンドにて】今回の臨床研究発表は以下の会員の先生方です。
    1.(公社)石川県鍼灸マッサージ師会 高田 外司(たかたそとし)氏
    『鍼灸甲乙経』の「大椎節=第一椎」は第1胸椎棘突起ではない!
    2.(公社)京都府鍼灸マッサージ師会 髙橋 聡一(たかはしそういち)氏
    「手指の痺れの臨床研究」
    3.(公社)大阪府鍼灸マッサージ師会 古田 高征(ふるたたかゆき)氏
    「東洋医学的な体質スコアと味覚の関係」
    (大阪・関西万博・共創チャレンジでの取組みから)
                              (学術委員会)


    2 居住サポート住宅制度について
       顧問弁護士 井上 雅人(いのうえまさと)

     先日、70代のAさんが遺言書の作成方法について相談に来られました。妻子はなく、年の離れたお兄さんも数年前に亡く
    なっており、甥や姪とは全く付き合いがないということでした。Aさんは、長年働いて貯めた預金があるため、自分が亡くなっ
    たときに預金が残っていたら生まれ育った自治体に全て遺贈したいとのことでした。ひと通りの説明を終えた後の雑談の中で、
    半年前に事情があって長年住んでいた賃貸住宅を引っ越すことになり、次の住まいを探したものの、高齢で身寄りがないと言う
    となかなか借りることができず、見つけるのに苦労したという話をされていました。
     他方で、家主さんから、一人暮らしの高齢者が部屋で亡くなっていたことに気づかず、隣人から「異臭がする」との連絡で発
    見された。身寄りのない人だったので、部屋の清掃や残置物処理の費用や手続きはどうすればよいのか、その費用は誰に請求す
    ればよいのかという相談を受けたこともあります。実際、家主が単身の高齢者の入居を拒否する理由としては、居室内での死亡
    事故への不安が最も多いと言われています。
     こうした借りる側と貸す側の課題に対応するため、令和6年5月に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関す
    る法律」(いわゆる住宅セーフティネット法)が改正されました(同年10月施行)。この改正では、国土交通省と地方自治体
    が中心となり、民間の賃貸住宅を登録・活用しながら、住まいを確保しにくい人々(住宅確保要配慮者)を支援する仕組みを整
    備して、家主が安心して住宅を貸すことができるように次の対策が講じられました。
    1 家主が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備
    ・終身建物賃貸借の利用促進
    ※賃借人の死亡時まで更新がなく、死亡時に契約が終了(相続人に相続されない)する賃貸借
    ・居住支援法人による残置物処理の推進
    ・国土交通大臣による家賃債務保証業者の認定制度の創設
    2 居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進
    ・見守りや生活支援を組み合わせた居住サポート住宅の認定制度の創設
     居住サポート住宅は、民間の賃貸住宅のうち、家主や管理会社が自治体に申請することによって「住宅確保要配慮者向け賃貸
    住宅」の登録がされます。この登録住宅の中から、見守りや生活支援などの仕組みを備えたものが「居住サポート住宅」として
    認定されます。これらの住宅では、連帯保証人がいなくても入居できる場合や、家賃が一定基準内で設定されている場合が多
    く、入居者の負担を軽減する工夫がされています。
     制度の利用を希望する人は、自治体や「居住支援法人」に相談します。居住支援法人とは、国土交通大臣の指定を受けたNPO
    法人や社会福祉法人などで、住宅探しから契約、入居後の見守り等を支援します。法人の担当者が本人の状況を聞き取り、希望
    や収入に合った住宅を紹介します。家主との調整や契約時の立会い、家賃保証制度の利用手続きなども支援法人がサポートしま
    す。
     入居後は、支援法人や地域の見守り団体が定期的な訪問や電話による安否確認をおこないます。体調の変化や孤立を防ぐため
    の生活相談も実施され、福祉サービスや介護保険制度、医療機関と連携する仕組みも整備されつつあります。こうした「住まい
    +生活支援」の組み合わせにより、単に住まいを確保するだけでなく、安心して暮らせる環境を維持することが居住サポート住
    宅の特徴です。

     先ほどのAさんのような身寄りのない高齢者が、市の福祉課を通じて居住支援法人に相談し、居住サポート住宅の紹介を受け
    て、見守りサービス付きで定期的に支援員が訪問し、体調確認や生活相談に応じてもらっている事例や、就労移行支援を受けな
    がら働いている40代の人が、自立を目指して一人暮らしをするための住まいを探したものの、収入が少なく通常の賃貸住宅の
    審査が通らず、支援法人を通じて手頃な家賃の居住サポート住宅を紹介してもらい、困ったときには相談できる体制が整い、就
    労と生活の両立が可能になった事例もみられます。

     住まいの安定は、日常生活や就労、地域とのつながりを支える基盤です。この制度を通じて生活再建や社会参加のきっかけを
    得ることも期待されています。居住サポート住宅は、単に「家賃が手頃な住宅」ではなく、住まいと生活支援を組み合わせた仕
    組みであり、単身の高齢者等の社会的孤立を防ぎ、地域で自立した生活が送れることを目指しています。もっとも、制度の周知
    不足や登録住宅の数が地域によって偏っていること、支援法人の人員・財源の確保など課題も残されており、今後は地方自治
    体・民間団体・家主が連携しながらこれらの課題を解決していくことが求められています。


    3 スポーツケア委員会 活動報告
    【写真:選手ケアの様子、集合写真】

     9月28日(日)から10月1日(水)、滋賀ダイハツアリーナ(サブアリーナ)において「わたSHIGA輝く国スポ(こくス
    ポ)2025」のバドミントン競技が開催された。全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)スポーツケア委員会の依頼をうけ、
    滋賀県鍼灸マッサージ師会ボディケアスタッフを中心に、バドミントン競技の選手および監督・コーチ、関係者総勢444名を
    対象にボディケア活動を初めて実施した。ボディケア活動は各日8から16名体制で、県内・県外の会員と履正社国際医療ス
    ポーツ専門学校の生徒合わせて 21名が参加し、4日間で76名のケアをおこなった。初日こそ選手に限定したこともありケア
    希望者は少なかったが、枠を広げたことにより、日毎にケア希望者も増えた。改めて選手のみではなく監督・コーチ・審判他、
    支援する側のケアをすることがいかに大切かと思い知らされ、ケア後はどなたも笑顔で感謝の言葉を下さった。
     全鍼師会のスポーツケア活動が国スポ(こくスポ)に普及するよう、今後も活動を継続し、次回開催県の青森に繋げていきた
    いと思う。
                                       (全鍼師会理事 中川 紀寛 なかがわとしひろ)

    4 Dr.タコのちょっとエッセイ 道具は上手に使って

     私が話す声は待合室までよく聞こえると言われることがあります。それほど声を張り上げているのかなと反省します。聴力が
    落ちているかたにはつい声が大きくなり、しまいには怒ってもいないのにしかりつけたみたいになって、自分でいやになってし
    まうこともあります。

     「一度補聴器を試してみたけど、うるさくてやめてしまった」という方が多いようです。「数十万円もする補聴器を作ったけ
    ど、滅多に使わない」という人もいます。あるとき、会話が成立しない患者様に「補聴器はお持ちでないんですか?」と聞くと
    「持っていますが、銀行とか大事な時だけつけてます」と言われてがっかりしたこともあります(病院での会話は大事ではない
    のだろうか?)。
     人の耳にはその場の状況でいろいろな音を聞き分ける能力がありますが(通常の)補聴器はすべての音を拡大するので、雑音
    まで大きくなってしまい煩わしく感じてしまうようです。
     最初は二人の会話の時だけつけて、次第に着ける時間・機会を増やすという風に、適当に使っている方のほうが慣れて長く使
    えるようです。話が聞こえなくなると、会話が少なくなり、相手も次第におっくうになり、閉じこもるきっかけになったり、ひ
    いては刺激が無くなったりして、認知症の最大の危険因子と言われています。
     まして病院での会話は不正確・不十分に伝わると治療に支障を来しますから大事ですよね。
     ただし難聴はひどくなると「佐々木さん」が「ははひはん」のように聞こえる場合があります。大きな声で話すだけでなく、
    ゆっくり、歯切れよく、相手の理解を待って話すなど、話す側の理解と工夫も重要です。ゆっくり丁寧に話せば、意外と通じる
    ものです、歴史の名言ではないですが「話せばわかる=離せばわかる」。
     さて、こんな患者さんもいます。だんだんやせてきて、胃がもたれるという。検査すると貧血がありますが胃内視鏡の検査で
    は大丈夫でした。よくお話を聞くと、あわない入れ歯を我慢して使っているとのことでした。つい柔らかいものばかり食べて、
    肉を食べなくなり、よくかまずに飲み込むために消化不良を起こし、栄養不良から貧血になっていたのでした。
     放置すれば体力の低下から、余病を併発したかもしれません。その意味で「歯が悪いのは万病のもと」です。たかが入れ歯と
    放っておかずに、歯医者さんに相談して矯正しましょう。
     また、腰が曲がって腰痛を訴える方や、歩行時にふらついたりする方に杖や歩行器を勧めるのですが、きまって「まだそんな
    ものにはたよりません」といわれます(80歳過ぎの方でも!)。見た目が年寄り臭いというのが嫌われる理由のようです。私
    はむしろステッキはステキに見えるし、自助的な道具だと思います。
     「頼るのは弱い情けないこと」というイメージかもしれません。でもいまどきはどこに行くにも「車に頼りっきり」情報は
    「スマホに頼り切り」ですが、だれも格好悪いとは言いません。東京の電車内で、ほとんどの人がスマホの画面を見ているのに
    愕然としました。
     自らの足でしっかり歩き、周囲を見わたし五感をフルに感じながら歩く、メディアとは距離を置いて、AIばかりでなく自ら
    の良心に尋ねながら判断する、タコはいつもそうありたいと自戒しています。
     補聴器・義歯・杖などの補助具はその特性を知って上手に使えば生活の幅を拡げ快適にしてくれるものです。お節介と言われ
    るのは承知ですが、年のせいだからとばかりいわず、先入観を捨てて試してみませんか?
     逆に若者は、クルマとスマホを手放し、からだを使い、景色を見渡し、目の前の人の顔を見て、杖をついて歩く先輩に声をか
    けてみてはいかがでしょうか!
    +++++
    Dr.タコ
    昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。
    田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

    5 京都府鍼灸マッサージ師会附属治療院 京都府庁内に開設
    【写真:治療院入口前にて】

     令和7年10月1日。開設に動き出してから早2年。やっとの思いで京都府庁内に京都府師会附属治療院を開設しました。
    きっかけは全鍼師会の佐々木(ささき)視覚障害委員長のヘルスキーパー事業に関する話でした。少しでも視覚障害の方の働く
    環境が作れるよう、議員や関係各所に相談に伺い、特に、京都府立盲学校と京都府立視力障害者福祉センターの卒業生の職域を
    増やせるようにとの思いでした。メインは視覚障害の方に働いてもらうこととし、相談を続け、時が経ったある日、京都府庁に
    伺うと、「職員福利厚生センターがあるので、そこを使って治療院を開設して下さい」との回答をいただきました。とはいえ、
    施術者がいないとどうにもなりません。現状は2名の視覚障害者、3名の晴眼者で切り盛りしています。これを足掛かりに実績
    を作り、京都府内の官公庁及び企業へと発展するよう期待し、また京都府庁と京都府師会が提携できるよう、理事一同京都府庁
    と足並みをそろえていきたいと考えています。
                                      (京都府師会 会長 森 孝太郎 もりこうたろう)

    6 中医学コラム(11)

    北京中医薬大学国際学院 名誉顧問・名誉主任 梅野 弘樹(うめのひろき)
    梅野(うめの)先生は、北京に本拠地を置く世界中医薬学会連合会常任理事として、「黄帝内経研究会」(毎週)、「中医学講座」(隔月)、「太極拳教室」(毎月2回)を通して、日本での中医学普及に努めておられます。
    連絡先:shiga-skm-shikai@leto.eonet.ne.jp
    電話:(077)526-4199 (077)523-4114

     陰陽説は単独で語られることは珍しく、大抵は五行説と一緒に「陰陽五行説」として扱われることが多い。書物によってはじ
    めて五行説が著されたのが『尚書(しょうしょ)』の洪範篇(こうはんへん)である。
     『尚書』とは、『書経(しょきょう)』とも呼ばれ、春秋戦国時代(しゅんじゅうせんごくじだい)に書かれた四書五経の中
    の9つの天地法則の1つとして著わされたものである。四書とは『大学(だいがく)』・『論語(ろんご)』・『孟子(もう
    し)』・『中庸(ちゅうよう)』の4つをいう。
     五経とは『詩経(しきょう)』・『書経(しょきょう)』・『易経(えきぎょう)』・『礼記(らいき)』・『春秋(しゅん
    じゅう)』の5つをいう。

    9つの天地法則とは以下のものを指す。
    1.五行(木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい))
    2.五事(貌(ぼう)・言(げん)・視(し)・聴(ちょう)・思(し))
    ※貌とは相手を大切に思う気持ち
    言とは素直な言葉遣いをすること
    視とは庶民の生活を見ること
    聴とは庶民の声に耳を傾けること
    思とは道理に明るいこと
    これらは全てリーダーが備えるべき礼節について述べている。
    3.八政(食(しょく)・貨(か)・祀(し)・賓(ひん)・司師(しし)・司空(しくう)・司寇(しこう)・司徒(しと))
    ※食とは食糧
    貨とは財政
    祀とは祭祀(さいし)
    賓とは皇室
    司師とは軍事
    司空とは行政
    司寇とは司法
    司徒とは教育
    これらは全て政治を行う際に必要な項目について述べている。
    4.五紀(歳(さい)・月(げつ)・日(にち)・星辰(せいしん)・暦数(れきすう))
    ※歳とは一年の長さ
    月とは一年の月数
    日とは一年もしくは一ヶ月の日数
    星辰とは星座
    暦数とは暦
    これらは全て農事に用いる暦について述べている。
    5.皇極(こうきょく・統治者が民衆の頂点に立つこと)
    6.三徳(さんとく・正直(しょうちょく)・剛克(ごうこく)・柔克(じゅうこく))
    ※正直とは正直な気持ち
    剛克とは強い志
    柔克とは柔軟な心
    これらは全てリーダーに必要な民衆への心構えについて述べている。
    7.稽疑(けいぎ・疑うこと)
    8.庶徴(休徴(きゅうちょう)、咎徴(こうちょう))
    ※休徴とは豊作
    咎徴とは凶作
    これらは全て穀物の収穫について述べている。
    9.五福六極(ごふくろっきょく・寿(じゅ)・富(ふ)・康寧(こうねい)・修好徳(しゅうこうとく)・考終命(こうしゅうめい)・凶短折(きょうたんせつ)・疾(しつ)・憂(ゆう)・貧(ひん)・悪(あく)・弱(じゃく))
    ※寿とは長寿
    富とは経済的余裕
    康寧とは心身的健康
    修好徳とは善良な心
    考終命とは天寿を全うすること
    凶短折とは短命
    疾とは病気
    憂とは憂慮
    貧とは貧乏
    悪とは悪事
    弱とは衰弱
    これらは全て人生の幸不幸について述べている。

    7 令和7年度 スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会のご案内

    スポーツ領域に関心のある方のご参加をお待ちしています!
    日程:令和8年2月21日(土)から2月22日(日)
    会場:横浜呉竹医療専門学校(予定)
    〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜2-7-24
    (「新横浜」駅下車)
    内容:国スポ、インターハイ、ねんりんピック、地元でおこなわれるスポーツイベント等に鍼灸マッサージ師としての特性を活
    かした、より実践に近いサポート内容を研修する。
    ※申込方法・参加費・振込先等、詳細は次号にて。宿泊の手配はお早めに。
    申込締切:令和8年1月30日(金)厳守
    ※入金も1月30日(金)厳守
    ★お問合せ(メールにて)
    (公社)全日本鍼灸マッサージ師会 スポーツケア委員会
    全鍼師会事務局 メールアドレス: zensin@zensin.or.jp

    8 インフォメーション 研修会・イベント開催予定

    各地での研修会・イベント情報をお知らせいたします。多くの方のご参加をお待ちしています。詳細・申込については各師会事
    務所へお問い合わせ下さい。
    (変更・中止等がある場合もありますので必ず事前にご確認下さい) なお、全鍼師会HP:トップページ内「全鍼(ぜんしん)
    ニュース」もご参照下さい。

    月日、師会(しかい)名、時間、場所、内容、一般参加、参加費、生涯研修単位の順番に掲載
    11月2日、石川、10時30分から12時30分、石川県立盲学校【ハイブリッド】、加賀・三策塾、可、無料、2単位
    11月2日、大阪、10時から15時50分、大阪府鍼灸マッサージ会館、保険取扱講習会、可、会員・学生無料 会員外1,0
    00円、6単位
    11月2日、山口、9時30分から16時、下関市市民会館、下関海響マラソンボランティア、可(事前申込)、―、5単位
    11月3日、石川、10時から12時、かほく市立中央図書館、私の鍼灸マッサージ臨床、可、河北師会会員・石川県師会会員
    のみ参加 無料、2単位
    11月3日、奈良、13時30分から15時30分、Zoom、卒後鍼灸「フェムテックの成長に向けたレディース鍼灸と美容」
    詳細:https://sotsugokansai.web.fc2.com/参照、可、4,000円/回、2単位
    11月8日、北海道(十勝三療)、15時15分から16時45分、とかちプラザ、睡眠障害に対する理療治療~不眠症を中心
    に~、可、会員無料 会員外2,000円、2単位
    11月9日、北海道(道東)、9時から12時、とかちプラザ、股関節痛に対する理療治療~変形性股関節症を中心に~、可、
    会員無料 会員外2,000円、4単位
    11月9日、和歌山、8時から17時、和歌山マリーナシティ、ランナーに対するマッサージボランティア、不可、無料、5単

    11月9日、島根、10時から15時、太田市 あすてらす、漢方薬入門(入門編)、不可、1,500円、5単位
    11月16日、北海道(道央)、9時30分から14時30分、北海道札幌視覚支援学校附属理療研修センター、高齢者に寄り
    添う鍼灸治療、不可、無料、5単位
    11月16日、東京、14時から17時10分、東京呉竹医療専門学校【ハイブリッド】、私の診察診断治療の特徴とその実
    際、可、無料、5単位
    11月16日、富山、14時から16時、高岡市ふれあい福祉センター【ハイブリッド】、ライフステージと精神科医療、可、
    富山県師会会員1,000円 会員外3,000円、2単位
    11月16日、兵庫、10時30分から12時、姫路市民会館、認知症サポーター養成講座(フレイル予防)、可(要問合)、
    無料、2単位
    11月16日、愛媛、13時から16時、新居浜市文化センター、8月9日はり・きゅう・マッサージの日 無料体験施術、可、
    無料、1単位
    11月23日、東京、14時から17時10分、NATULUCK淡路町【ハイブリッド】、医療保険を使った鍼灸マッサージの基
    本、可、無料、5単位
    11月23日、大阪、13時から16時10分、都シティ大阪天王寺、【府民公開講座】骨と腸W(ダブル)のケアで、あなた
    も元気に!、鍼灸はなぜ効くのか?最新科学から見える鍼灸の未来、可、無料、4単位
    11月30日、青森、10時から16時、八戸市福祉公民館、上肢・下肢へのアプローチと施術テクニック、可、青森県師会会
    員無料 会員外5,000円、5単位
    11月30日、山形、10時から16時、山形市霞城公民館(予定)、業界発展につなげる鍼灸マッサージの魅力~東洋医学の
    市民アピール~、下肢・腰部障害に対する運動療法、可、山形県師会会員1,000円 会員外2,000円、6単位
    11月30日、栃木、10時から15時、宇都宮市中央生涯学習センター【WEB】、肩こりに関する手技療法、可(県内)、無
    料、6単位
    11月30日、埼玉、8時30分から12時、川越水上公園、小江戸川越ハーフマラソンボランティア施術、可、無料 *賠償責
    任保険加入必須、5単位
    11月30日、和歌山、13時から15時30分、和歌山ビッグ愛【ハイブリッド】、保健医療行政について、あはき施術をお
    こなう上で知っておきたい倫理的配慮と法律との関係について、不可、3,000円、3単位
    12月6日・7日、福岡、6日18時から21時、オンラインのみ、【ナイトセミナー】私たち一人ひとりができること~当事
    者意識をもって考えるコロナ差別~、ひとり鍼灸院のリアル、可、6日のみ 無料、会員外・学生1,000円、4単位
    7日13時から17時、福岡医療専門学校、学生研究発表、業団における災害支援のパイオニアが語る~これまでの活動とこれ
    からの鍼灸マッサージ師の役割~、災害時に求められた鍼灸マッサージ、避難所における鍼灸師の役割と貢献~心理的側面の観
    かから~、福岡県師会生涯研修登録者、福岡医健・福岡医療専門学校生、無料、福岡県師会会員2,000円 会員外鍼灸師5,0
    00円 学生1,000円、6単位
    12月7日、秋田、13時から16時、はなび・アム、保険取扱説明会、症例報告会、不可、無料、2単位
    12月7日、石川、10時30分から12時30分、石川県立盲学校【ハイブリッド】、加賀・三策塾、可、無料、2単位
    12月7日、岐阜、10時から13時、岐阜県鍼灸マッサージ師会館、難病について、可、無料、4単位
    12月7日、大阪、10時から15時50分、大阪府鍼灸マッサージ会館、保険取扱講習会、可、会員・学生無料 会員外1,0
    00円、6単位
    12月7日、鳥取、10時30分から15時30分、伯耆しあわせの郷、会員による症例報告および評価・検討、可、会員50
    0円 会員外2,000円 一般・学生無料、5単位
    12月7日、愛媛、13時30分から15時、愛媛県視聴覚福祉センター【ハイブリッド】、第2回保険研修会、不可、会員無
    料、2単位
    12月13日、福島、13時30分から18時10分、泉崎カントリーヴィレッジ 泉崎さつき温泉、鍼灸・手技相互技術研修会
    &鍼灸マッサージと温泉療法の相乗効果!次世代の治療効果最大化メソッド、可(事前申込)、会員は無料 会員外3,000円、
    6単位
    12月14日、栃木、10時30分から15時30分、ライトキューブ宇都宮、東洋医学フェスタ2025in宇都宮、可、無
    料、5単位
    12月14日、埼玉、11時から16時30分、埼玉県鍼灸マッサージ師会会館*アーカイブ配信あり、てい鍼と温灸による美
    容鍼灸、可、埼玉県師会会員5,000円 全鍼会員7,000円 会員外15,000円 学生3,000円、6単位
    12月14日、奈良、9時から16時、奈良市鴻池グランド、奈良マラソン 走者への施術、不可、無料、5単位
    12月21日、東京、14時から17時10分、NATULUCK淡路町【ハイブリッド】、世界のスポーツ現場における手技療法の
    傾向、可、無料、5単位
    ※研修単位は会員のみ

    9News ★事務所移転
    ・熊本県師会
    〒860-0847 熊本市中央区上林町1-28 上通センタービル501
    ※電話等変更なし

    10 ★年末年始の休館のお知らせ★
    令和7年12月27日(土)より令和8年1月4日(日)まで全鍼師会会館を休館させていただきます。
    年始の開館は1月5日(月)からとなりますので、よろしくお願いいたします。
                                                                                               (事務局)

    11 協同組合ニュース

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    E-mail  jamm@jamm.or.jp Tel 03-3358-6363

    12 編集後記

     大阪・関西万博が閉幕し、会場ではパビリオンの撤去作業に向けた準備が始まった。2028年2月末までに更地にして土地所有者の大阪市に返還されるそうで、1970年大阪万博の年に生まれた私としては少し寂しい気がします。建設工事の遅れなどのトラブルはありましたが国内史上最多の国・地域が集まり、運営費の黒字確保が見込まれる。来場者は関西中心に尻上がりに増え、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした万博は意義のあるものになったのではないでしょうか。記録的な猛暑の中開催された万博。どうすれば地球に優しく暮らせるかを考え行動したい。
                                         (広報IT委員 中川 紀寛 なかがわとしひろ)

    以上本文

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    お申し込み:日本鍼灸マッサージ協同組合
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    発行所 〒160-0004 東京都新宿区四谷 3-12-17 全鍼師会会館内
    公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
    TEL.03-3359-6049 FAX.03-3359-2023
    全鍼師会ホームページURL  https://www.zensin.or.jp
    E-mail   zensin@zensin.or.jp
    協同組合ホームページURL  https://www.jammk.net/
    E-mail    jamm@jamm.or.jp
    名称   鍼灸マッサージ情報誌  東洋療法
    代表者   長嶺 芳文(ながみね よしふみ)
    郵便振替 00160-8-31031
    銀行口座 りそな銀行 新宿支店 普通口座 1717115
    名義/公益社団法人  全日本鍼灸マッサージ師会
    発行人   長嶺 芳文(ながみね よしふみ)
    編集人/広報IT委員長 廣野 敏明(ひろの としあき)
    購読料   3,600円  〒共(会員は会費より)

    口座名のフリガナは「シヤ)ゼンニホンシンキユウマツサージシカイ」となります

    以上